もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

12 001 おおたとしまさ「なぜ中学受験するのか?」(光文社新書:2021) 感想4+

2022年12月25日 20時03分26秒 | 一日一冊読書開始
12月25日(日):  

201ページ     所要時間3:15       図書館

著者48歳(1973生まれ)。東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。1997年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立後、いい学校とは何か、いい教育とは何かをテーマに教育現場のリアルを描き続けている。新聞・雑誌・Webへのコメント掲載、メディア出演、講演多数。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験もある。

著者は、教育関連(特に中学、高校受験)で、今最も手堅いジャーナリストである。これまで公文式や塾歴社会など様々な教育産業と社会の在り方を分析・報告して来たが、本書の内容は、一周回って中学受験の意義について俯瞰的に論じた内容になっている。決して、受験技術などを論じたものではない。中高一貫教育を、昔の旧制高校の伝統を引き継ぐ良き制度として捉えている。6・3・3制による高校受験は、子どもの健全な反抗期を邪魔するものになっている。中学受験を必ずしも強く推すわけではないが、子どもと親のやり甲斐ある冒険として位置付けられれば、それはそれで良き取り組みになる。

うまく内容を伝えることができないが、よくよく事情の分かった人間による中学受験に対する極めて常識的な内容がきちんと記されている。俺は、著者の考え方にほぼすべて同意することができる。

なお、本書には中学受験に関するテクニック的なことは書かれていないので、大局的に考えたい人が読むのが良いと思う。

【目次】はじめに
第 一 章  12歳でやるか15歳でやるか 〜中高一貫教育の意味
第 二 章 シラバスよりハビトゥス 〜私学に通う意味
第 三 章  バットを持つか鉛筆を持つか 〜塾で学ぶ意味
第 四 章 偏差値よりも生きる指針 〜親子で取り組む意味
おわりに
【内容紹介】延々とくり返されてきた中学受験の是非論に、気鋭の教育ジャーナリストがファイナルアンサー‼ 私立中高一貫校の六年間で得られるものは何か、中学受験勉強の約三年間で得られるものは何か……。著者曰く「そもそも中学受験にメリットもデメリットもない。むしろ中学受験で得られるもののうち、何をメリットと感じ、何をデメリットと感じるかにそのひとの教育観、幸福観、人生観などの価値観が表れる」。ただし「中学受験はやり方次第で良薬にも毒にもなる」とも。中学受験を良薬にする方法とはこれいかに……。膨大な取材経験を背景に、ときに歴史を遡り、ときに海外にまで視野を広げ、さまざまなジャンルの参考文献に触れながら、中学受験をする意味とそこから得られるものの正体を、壮大なスケールで描き出す。/発売直後から続々重版、5刷出来の中学受験小説『翼の翼』の著者・朝比奈あすかさん推薦! 「単純な中学受験の指南書というより、人がよく生きるためにはどうしたらいいかについて書かれた本」(朝比奈さん)
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