もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

7 030 立松和平「はじめての老い さいごの老い」(主婦の友社:2010)感想3+

2018年02月02日 01時06分13秒 | 一日一冊読書開始
2月1日(木):    

191ページ    所要時間3:20    古本市場87円

著者62歳(1947-2010:62歳)。栃木県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。在学中に「自転車」で早稲田文学新人賞。卒業後、種々の職業を経験、故郷に戻って宇都宮市役所に勤務した。79年から文筆活動に専念する。80年『遠雷』で野間文芸新人賞、93年『卵洗い』で坪田譲治文学賞、97年『毒-風聞・田中正造』で毎日出版文化賞。国内外を問わず、各地を旺盛に旅する行動派で、自然環境保護問題にも積極的に取り組んでいた。2002年、歌舞伎座上演「道元の月」の台本を手がけ、第31回大谷竹次郎賞受賞

本書を読むまで、亡くなられていたことを知らなかった。本書は、雑誌連載などを集めた「遺稿集」ということになる。日々の忙しさにかまけて書を読まない言い訳はいくらでも湧いて出てくる。久しぶりのリハビリ読書として選んだ本。ご承知の通り、著者はアウトドア派でかつ、仏教に深い造詣を持つ“土のにおい”のする作家である。俺はこの人、嫌いではない。

本書の文章も質朴でとつとつと語り続ける感じである。なぜ60歳を前にして、まだ若い著者がこれほど人生の終わりについて考えていたのかは少し意外だったが、結局それが早過ぎる晩年の死生観を言い残すことになった。

解離性大動脈瘤破裂ののち入院、多臓器不全で死去。体を槍か何かで貫かれるような激痛とともに意識を失い入院、そのまま逝かれたのだろうか。何か迫るように身につまされる感じだ。

【目次】 第1章 老いへの入り口(人生のスタートとゴール/“老い”はさりげなくやって来る/棺を蓋いて ほか)/第2章 私に起こった体の変化(孫が重くて腰が痛い/腰の痛みを堪えて/腰痛登山で見えてきたもの ほか)/第3章 老いの雑感(晩年の自覚/切実な願い/仕事と本当の幸福 ほか)

【内容情報】2月に急逝した作家・立松和平の遺稿集。
雑誌『年金時代』に連載され、絶筆となった「はじめての老い」をまとめて収録。立松和平が自らの老い、そして家族の老いや死を通じて淡々と生きることの真実を語る。思うように動かなくなってゆく体、その変化についてゆけない精神状態を通じてみえてくる心の景色。「誰もが同じ道を通って必ず老いに至るのだから、失ってゆく若さに執着するということは苦しみを増すということだ」。
巻末に、息子・立松心平のあとがきを特別収録。
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