もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

9 014 池上彰「いま、君たちに一番伝えたいこと」(日本経済新聞出版社:2015)感想3+

2020年02月19日 01時07分35秒 | 一日一冊読書開始
2月18日(火):  

259ページ      所要時間2:30       古本市場86円

著者65歳。ジャーナリスト。東京工業大学リベラルアーツセンター教授。1950年長野県松本市生まれ。慶應義塾大学卒業後、1973年にNHK入局。報道記者として、さまざまな事件、災害、消費者問題、教育問題を担当する。1994年から11年にわたり「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。2005年よりフリーになり、書籍やテレビ、選挙報道等でニュースをわかりやすく解説

日本経済新聞連載「池上彰の大岡山通信 若者たちへ」に加筆・再編集したもの。読む尻から抜けていくが、とりあえず流れるように読むことができた。褒めているのではない、既読感が強くて新鮮味が無く、中身スカスカだった印象だった。これは俺が池上さんの著作をこれまで読んできたこと、歴史・地理が好きだということもあるが、東工大での学生向け教養講座の新聞コラムをまとめた本だということもある。

さまざまに目先は変えるが、限られた紙面コラム記事の中でどのテーマも深く掘り下げ切れていない。投げかける結論も比較的予測が立ちやすいということである。これでは物足りない。食い足りない。役に立たない。読みやすくて、労せずに一冊読めたのがよかったと言えば、良かった。

国債の発行や借入金などを合わせたいわゆる国の「借金」は、13年に初めて1000兆円の大台を超えました。略。この数字がどれだけ大きいかというと、日本が1年間に稼ぎ出す価値の総額である国内総生産(GDP)のおよそ2倍。その割合は財政危機に瀕したギリシャよりも深刻なのです」(174ページ) これを読むと池上さんは、プライマリーバランス黒字化をめざす財政再建論者である。しかし、れいわ新選組山本太郎代表の支持者となった俺の頭は、池上さんの主張を素直に聞けなくなっている。この点で、池上さんに対する関心が低下したと言える。特に、財政赤字の深刻な例として自国通貨を発行できないギリシャを挙げているのが納得いかない。これではデフレをより深刻化しかねない。
 
【目次】第1部 生きるということ(迷ったら、初心と理想を忘れるな/記者の仕事は、歴史を刻むことである ほか)/第2部 自分の頭で考えてみよう(流行の背後にマーケット戦略ありーAKB総選挙で考えるビジネス/政治家も科学的思考法を持てーSTAP細胞確認の「悪魔の証明」問題 ほか)/第3部 キャンパスでは今(ビジネスで役立つのは、多様な教養の蓄積こそ/教育とは、決して盗まれることのない財産である ほか)/第4部 世界は動いている(国の発展には、まず女性へ教育を/アジア諸国の友好で「共通の敵」に立ち向かうー国境の無い環境問題 ほか)

【内容紹介】常に念頭にあるのは、世の中の見方や生き方について、 一先輩として、若者たちにメッセージを送りたいということでした。(中略) 大学で新たに学ぶことになった若者たちにも、 学校を出てずいぶん経ってしまった?元若者?たちにも、 それぞれの立場で読んでいただける内容になっていれば幸いです。 --本書の「はじめに」より
生きること・学ぶこと・知ることについて、池上彰から読者へのメッセージ
「イスラム国」問題、STAP細胞事件、安倍首相の解散総選挙をはじめ、さまざまなニュースをとっかかりに、
ジャーナリズム論や流行の裏のマーケティング、政治の楽しみ方などを、池上先生が伝えます。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。