もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

4 007 堤未果「はじめての留学 不安はすべて乗り越えられる!」(PHP;2009/1994)感想3+

2014年10月06日 22時13分42秒 | 一日一冊読書開始
10月6日(月):

196ページ  所要時間 3:20   図書館

著者38歳・23歳(1971生まれ)。

著者の処女作「空飛ぶチキン―私のポジティブ留学宣言」(創元社出版;1994)を新たに編集し、改題したもの。そのせいか、はじめに登場したハウスメイトの詳細なエピソードが一番後ろに出てきて、筋立てが混乱したりした。

要するに、1990年、著者が19歳の時、カリフォルニア州モントレーのカレッジに留学した2年間を回顧した作品である。(その後、ニューヨーク州立大学に編入学する。)

ひと月の仕送り1000ドル(10万円)は、部屋代280ドルと金食い虫の通学用自動車セリカの維持費を入れるとかなり際どいライン。

ホームステイのホストファミリー、そこを出てシェアハウスのハウスメイトらとの交流、カレッジでの変な先生やパスペーパーに汚染されたロバのような日本人留学生集団からの脱出、さまざまな失敗や騒動が軽快に描かれている。

あまり深みは無いが、著者の体当たりの留学ぶりが描かれている。運・不運など留学には関係無い。うまくいかないのは当たり前。道を切り拓くのだ。うまくいくように日本人で仲間を作ったりすれば、留学した意味が薄れるというものだ。

当時の著者の23歳という年齢を考えれば、すでに相当の文章力をもつ能筆家だったと言えるが、それ以上に社会の矛盾に鋭く斬り込むセンスの片鱗も少し感じられるのがよい。
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