森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

山、売ります

2007-02-28 01:20:15 | ドーデモ体験談

龍神村の奥地?でみかけた看板。

 

「コノ山売マス」とは、なんと直截な。でも、どの山だろう、幾らくらいだろう、と興味もわく。仮に手に入れても、とても通える距離ではないのだけど。

買うのは、どんな人だろうか。もしかしたら炭焼きをしている人かもしれないし、森で遊びたい人もありえる。ただ、植林して林業始める人というのは、想像できない。


村の豆腐屋

2007-02-27 01:23:36 | 林業・林産業

今年の「森林の仕事ガイダンス」も終わったことだし……林業職を求める人々のことに思いを馳せる。

龍神村で、豆腐屋を始めたIターン者を紹介してもらった。彼は、森林組合に緑の雇用で入ったらしい。だが、3年前に辞めた。

その理由は、賃金が下がったこと。そして、将来の展望がなかったこと。じり貧の中で、森林組合としてどう取り組むつもりかわからなかったそうだ。

ちなみに龍神村森林組合は、都会の人を公募して雇用する森林組合の嚆矢である。緑の雇用が始まる前から、述べ人数で30人以上もIターン者が入っていた。だが、今残っているのは数人だという。ほとんど辞めた。

そして辞めた多くは、村を去ったらしい。
だが、彼は豆腐屋を始めることにした。地元の人が自宅で作る堅い豆腐に憧れたことがきっかけだ。今では、地元でも作れる人はほとんどいないが、薪で豆を焚いて苦汁を使う伝統の味。もちろん市販していない。

火の加減がものすごく難しいという。薪も、スギ・ヒノキだけではダメで、カシ系の広葉樹材もいる。試行錯誤しつつ、とうとう作り方を身につけて、今では毎朝50丁つくり、配達している。店の名は「るあん」。タイ語だ。

山村の仕事は、山仕事だけではないし、与えられるものだけではないと思った。自分で仕事を作る覚悟で、山に生きよう。


林内作業車

2007-02-26 10:18:50 | 林業・林産業

和歌山県龍神村で、林内作業車を見せていただいた。一部では、ジャガーの愛称で呼ばれている。

これは、今、各地でブーム?なのだそうだ。ウィンチが付いていて、これで斜面に置かれた丸太を引き上げ積み込む。約1立米詰める。幅1mくらいしかないうえクローラー(キャタピラ)のため、急傾斜でも昇り降りできる。だからこの作業車のための作業道を開削するのも簡単で、なんとユンボで500円/mでOKという。

幅1,5m程度の作業道なら、林内を乱すことも少ない。林齢50年以上ならば、木と木の間に通せるだろう。愛媛の業者が開発して、福岡でも生産するところが現れ、四国や九州では、かなり出回っているらしい。リモコンでも動かせるので、一人で作業を進めるのに便利だろう。

林業機械と言えば、ハーベスタやフォワーダなど大型の高性能機械が頭に浮かぶ。しかし、これらの機械は、日本の山では使い勝手が悪く、あまり使われていない。補助金で購入したまま眠っているところも多いはずだ。
また、リョウシン号と呼ばれる小型作業車(軽トラくらいで、グラップルが付き、2トンくらい?乗せられる)も登場しているのだが、売れずに生産中止になった。

その差は、やはり価格だという。この林内作業車は、150万円から200万円。リョウシン号は500万円。この価格だと、トラックやフォワーダなどと競合してしまう。ちなみに高性能機械は何千万円のものもある。
使い勝手は、小さな方が小回りが効くし、森林土壌への影響力も少ないだろう。

今、新生産システムなどで大規模な素材生産が行われているが、そこでは大型林業機械が使われた結果、森林土壌はかなり酷いことになっている模様だ。クローラーが土を踏み固めて、そこが水道になってえぐれるからだ。

だが、この小さなものなら、ダメージは小さいのではないかと思えた。なんでも集材後は2年くらいで使わなくなるという。そこで、放置する前に植林したらどうか、という提案があるそうだ。密に入った作業道が、やがて複層林になるかもしれない。

 


紀伊半島周回

2007-02-25 22:11:38 | ドーデモ体験談

昨日より、和歌山県龍神村に行ってきました。龍神チェンソーカービング倶楽部の顧問に就任したので、そのご挨拶? みたいなもの。

そこで、いろいろ面白いものを見てきたけれど、それはおいおい紹介するとして、今日は帰ってくる道の雑感。

昨朝は、我が家から近畿自動車道、阪和自動車道など高速道路などを使うと、2時間半で着いた。意外と近い。そして総会に出席して、夜の懇親会では深夜3時まで飲んでいて(気がつけば、龍神で今年の誕生日を迎えていた……)、朝は8時前に起きて、9時に出る。

昨日と同じコースで帰るのは面白くない、と山越えして奈良県十津川村に抜ける道を選んだ。それが、大変な急カーブの連続で、あまり揺れるので酒がぶり返して気分が悪くなったほど。

それでも荒れた道を抜けていくと、意外なほど奥地に家が建っている。なんとバス停がある。意外とこぎれいな住宅もあるが、多くは昔ながらの山の集落。これらは、限界集落かもしれない。小学校の跡もあったし……。

ヘトヘトになりつつも、なんとか十津川温泉郷に出て、ようやく国道168号線へ。昔はよく通ったから懐かしい店なども目に入るが、全般に道はよくなっている。ショートカットしたり、トンネルが掘られたり、道幅も広げられて、非常に走りやすい。時速80キロで飛ばせる。

びゅんびゅんと飛ばして、調子よく北上するも、大塔村で2年前の大崩壊地に出る。山がまるごと崩れるような水害で、道は根こそぎなくなった地点だ。幸い県道の迂回路があるのだが、昨今の169号線の崩落を思い出す。
ちなみに現地は、巨大工事で谷を渡る大架橋による新線が現在建設中。でも、完成まで、あと何年かかかるだろうな。

結局、帰るまで5時間かかる。紀伊半島の西海岸部から山間部を周回するようなルートを帰ったわけだが、限界集落と高速道路並の道と、改めて考えさせられながらの旅であった。

 


速水林業は何を?

2007-02-23 10:21:02 | 林業・林産業

昨年末、新幹線の中で速水林業の速水さんと席が隣り合わせになったと書いたが、その際に、「近く画期的な林業施策を発表する」と聞いた。

その内容は謎のままだが、そこに

「三重県紀北町の速水林業(速水亨代表)が、育林作業の省力化と短伐期木材生産を可能にする新しい技術開発に着手している。核心は、1年1m(ワンイヤー・ワンメーター)の高成長を示すスーパー苗木の植栽。下草より先に成長するので、下刈りが不要になる。」(WEBサイト J-FIC)

と載っていた。これか?

しかし、このスーパー苗木とは何だね? 私が『「森を守れ」が森を殺す』で紹介した3倍速で育つ水気耕栽培苗とは違うものか? この苗は、島根県で発明されて、千葉に省力林業研究所まで設立されたものだ。3年で5mまで伸びて、年輪も30本以上入る(偽年輪)という不思議な苗。国も興味を示し、いくつかの場所で植栽したが、効果のあるところとないところが出ている、と聞いていた。その後の情報はないが、伸び悩んでいる様子だ。
まさか速水さんが、今頃これに注目するとは思いにくいのだが、1年1mの苗はどこで開発されたものだろうか。いくらネットで探しても見つからなかった。

もう一つ、ヒントがある。速水さんは、アフリカに言って、思いついたと言っていた。それはロバの利用である。植林のために苗を山に運ぶのは、これまで人力だった。作業道から外れて、植栽現場までは機械化できない。そこで、ロバの背に乗せて運ぶことをアフリカで見たのだそうである。
さっそくロバの調達をしようと思っているそうだ。

どちらも面白いが、前者はハイテク、後者はローテク。でも、日本の林業全体を変えるほどの画期的なものかなあ。

誰か、知っている人、情報ください。


集落消滅

2007-02-22 00:21:43 | 田舎・田舎暮らし

国土交通省の市町村アンケートによると、今後、2641の集落が消滅する可能性があるそうだ。

消滅集落は、いわば限界集落の行き着く先。全国には6万2271の集落(町内会)があるそうだが、そのうち限界集落が12・6%。2641の消滅の可能性がある集落は、4・2%に相当する。また422は10年以内に消滅するだろうという。

もっとも割合が高いのは、四国で、中国や中部や近畿も高い。意外なのは、東北や中国地方だ。限界集落数は多いのだが、消滅が見込まれる数は少なめ。

……こんな結果を見ていると、なんとか止めるための政策はないか、と考えたくなるが、正直言って、もはや手遅れ。いかなる手も受け入れないだろう。それが限界集落なのだから。
たとえば、すぐに思いつくのは移住者を受け入れて集落人口を増やす手だが、仮にそこに住む人が現れたとしても、その人は集落の歴史や文化を背負った人でない限り、集落の伝統は途切れるのだ。

むしろ限界から消滅への軟着陸と、消滅後の廃村対策を考えるべきではなかろうか。それに日本の人口が減少期に入った今、消滅集落は、未来の日本を伝える信号のようなものだ。

辺地にこそ、もっとも早く未来が訪れる


映画で学ぶ自治体行政

2007-02-20 00:18:47 | 仕事関係

夕方、急にレンタルビデオ屋に走って、探した挙げ句「ダンテズ・ピーク」のDVDを借りた。

この映画、1997年のアメリカ製作で、火山の噴火によって町が壊滅するスペクタルである。実は、かなり昔、たしか飛行機の中で見たと思う。それにテレビでも放映があったのではないか。

なぜ、急にこの映画を見る必要ができたかというと、今書いている原稿に使えるかも、と思ったからだ。
と言っても、スペクタル映画評を書くわけではない。自治体のあり方、という硬い記事を書くのに使えると思ったのだ。

実は、この映画に登場するダンテズ・ピークという町は、冒頭で「2万人以下の町の中でもっとも住みやすい」コンテストの2位に輝いている。この町の人口は7400人。そして町長は女性なのだが、喫茶店経営者。議会のシーンで、登場する議員は6人。議論は座っていないで立ったり歩きながらしている。ネクタイを絞めていない人もいる。

こんな自治体ある? 
あるのだ。アメリカでは、10万人の都市でも議員は5、6人らしい。首長や議員は無報酬。みんな別に仕事を持っている。だから議会は、平日の夜か土日に開く。

これこそ、日本の小さな自治体が見習わないといけない姿だ。

首長と議員は、給料を受け取るな! 人数も5分の1に減らせ! 議場もいらない。会議室か、ロビーの立ち話で済ませろ! こういう市町村こそ、住みたい町コンテストに上位に入れるだろう。

……これを公約に、私も立候補しようかな(笑)。

 


田舎住民の目

2007-02-19 12:27:50 | 田舎・田舎暮らし

先日、ある田舎を訪れた。川の傍の家に住みたい、という人を案内したのである。

で、心当たりの家を紹介する(俺は不動産仲介業か)ほか、現地で雑談の中から出てきた家の在り処を訪ねた。男二人に女一人、幼児一人。

すると、近所の人が出てきて、遠目に見ている。おおお、出た、田舎の監視の目。少しずつ近づいて来るが、まだちょっと距離があるなあ。

あっ、前進が止まった。もう少し来てよ。

でも、ちらちら見ているぞ。近くまで来てくれれば、こちらから話しかけるのに。

こちらから近づくと、逆に警戒されるかもしれないし、移住先探しと言っても、まだ触り部分。まだ地元と交渉する段階ではないしなあ。

あっ、また近づき始めた。

いや、また止まった。

まだ50メートルくらいあるから、話しかけられない。

あああ、もうあきらめたのか、帰っちゃった。

きっと、今晩は我々の情報が飛び交うだろう。よそ者の正体を探ったり、噂のネタとして重宝されるに違いない。あの4人はどんな関係なんだか、想像が広がるかもしれない。

我々は、ある意味田舎社会になれているので、全然平気なのだが、これを苦痛と感じる人もいるだろう。そんな人は、田舎暮らしはできないだろうな。
プライバシーの尊重もいいが、よそ者は基本的に怪しまれる。それを解消するために、どんどん自らの素性を話さないといけない。

プライバシーを重んじすぎて、地元の人が欲しがっている情報も出さない、そして自分を理解してもらうための情報まで隠してしまうと、住めないだろう。

ちなみに、その家は、ちょっと裏山が崩れそうなので敬遠したのでした(笑)。

 

 


行政の役割

2007-02-18 00:15:36 | 政策・行政関係

自治体の財政難や合併問題で、職員の資質や役割が語られることが増えてきた。

行政は、ある政策の実施のための手段として、まず法律(条例)の施行があり、次に金だった。法律で縛るのは限度があるため、一般には補助金や罰金をちらつかせて政策を誘導する。そのための許認可も含めて、仕事みたいなところがあった。とくに森林政策を見ていると、そんな手段が目立つ。

しかし、規制緩和に財政難が続くと、そうした政策誘導手段を失いつつある。

それでは、どうして政策を実現するのか。
私は、企画立案とコーディネート能力だと思う。悩める業界にすっぽり入っている人では浮かびにくい俯瞰した視点を持ってアイデアや方策を提案すること。異業種を結びつけたり、全体を見渡して舵取りしたり、建前は中立ゆえ、裁定するなどのコーディネート。これこそ、今後の行政職員の重要な資質になるのではないか。

それに加えて、交渉能力や説明能力、反対意見を抑える能力……も必要だ。そして合意形成を行う、いわばファシリテーターだ。森林には利害保持者(ステークホルダー)が多い。ここに活躍する舞台があるように思う。

指導者つまりインストラクターであるべき政治家も、現実にはファシリテーターとしての役割が多いように思う。利害対立を納めつつ、よりよい方向を示さねばならない。しがらみをぶった切る、なんて威勢のよいこといっている政治家は、単なるアホか危険ではなかろうか。


森林と木材を活かす大事典

2007-02-17 01:08:22 | 書籍・映画・番組など

産業調査会から「森林と木材を活かす大事典」が届いた。

実は、この事典に執筆している。昨年の3月のことである。仰天するほど安い稿料であった。しかも写真と図表もこちらで用意しなければならない。それでも引き受けて3項目ほど書いたのだが、出版がどんどんずれて、夏のはずが秋になり、年を越してしまった。しかも無のつぶてなので、いささか怒っていたところである。

届いたのを見ると、なかなかの迫力である。A4版オールカラー2巻セット。全720ページ。執筆陣は190名。ざっと見たところ、知り合いも結構いるが、みんな研究者や林業家などでフルタイムのライターは私だけだろう。

項目は、地球環境から森林の諸機能、木材利用、人と森の共生、林業活性化による地域振興、建築建設、ライフスタイル……。

私が気に入ったのは、充補版の世界木材図鑑だ。150種の木材の写真と用途などが紹介されているが、美しいのだ。

で、ここからが肝心なのだが、この送ってきた大事典、実は執筆者への贈呈ではない。見たら送り返してくれ、と伝票付き。
なにしろ定価は、2万4000円である。190人に贈呈したら大損害になるからだろう。事情はわかるが、ちょっとせこいぞ。

自分が執筆したところだけコピーして送り返すかと思ったが、手に取ってしまうと、それなりに手元に残したくもなる。送り状には買取も勧めているが、稿料から引くそうだ。これが狙いか? 著者割引はあっても、ほとんど消えてしまうな……。1年前に書いた原稿だけに、その当たりの意識が微妙である。

どうしようかなあ……。


国道169号線

2007-02-16 01:00:54 | ドーデモ体験談

国道169号線が大変だ。奈良県南部の三重県側を走る道である。

山崩れで車が押しつぶされたニュースは記憶している人もいるだろう。それから2週間以上たつが、未だに開通しないのである。
なぜ、それが大変かというと、この道が通れないために、奥にある上北山村、下北山村が孤立してしまったからだ。はっきり言って、迂回ルートはゼロ。林道や十津川村から抜けるルートはあるにはあるが、全部冬期は通行止めなのだ。

唯一残っているのは、三重県の熊野市ルート、和歌山県の本宮町ルートのみ。いずれも京阪神からでは、大回りすぎる。早くて4~7時間以上だ。(169号線ならば1時間強) 実は、このルートも道路工事が行われていて、すんなり通れない部分がある。十津川の国道も崩落したままだ。こちらは県道の迂回ルートがあるから救われているが…。

村の人の動きだけでなく、産業の物流に大打撃だ。病院にも行けないし、食料などの流通も換えざるを得ない。三重県南部の物流にも影響が出ているらしい。

それなのに、奈良県の知事は、崩落原因を調べてから…なんて呑気なことを言っている。このままでは春以降、半年以上先になる。都会だと、突貫工事で開通させるだろう。無理やりにでも迂回ルートを作るに違いない。

道路建設というと、最近は自然破壊に税金の無駄遣いという声が高いが、両村にとってはまさに生命線だ。それなのに、なぜこんなに反応が鈍いのだろうか。


二つの村を合わせても、人口は3000人に届かないから、ではないだろうか。見捨てたか。


米百俵の精神

2007-02-15 01:26:44 | 政策・行政関係

私は、このところ古いフレーズをよく口にする。

「米百俵の精神」を持て! である。

そう、小泉前首相が就任直後に口走って、結構ブームとなり有名となった。だから5年以上前になる。たしか長岡藩だったか、財政が苦しくて飢え死にする人も出る中、ようやく譲ってもらった米百俵を食べたらその日でオシマイになる、だから金に換えて教育に投資した、という話だ。その日の食事を削って教育に力を注ぐ精神を示す。

今考えてみたら、飢えに苦しんでいる人を前に酷いこと言う家老だと思わぬでもないが、日本の国は古くから教育に熱心だったことは間違いない。漫画「ドラゴン桜」にも、明治政府が苦しい財政を割いて、東京帝国大学を設立する話が載っていた。

日本の林業界に今必要なのは、この「米百俵の精神」ではないか、と言っているのだ。今や経営意欲のある山主は少なく、経営ノウハウを持たない林業関係者ばかりになった。しかし目先の食い扶持が欲しくて補助金求めているだけでは、何も生み出さない。間伐促進事業は、失業対策事業ではないのだ。まともな経営をする林業家を育てないと、日本の林業、ひいては森林に未来はない。そのために必要なのは、教育だろう……。臥薪嘗胆、今を耐えて未来の人材を育てよう、ということで、「米百俵の精神」なのである。

さて、以前から叫んでいた森林ビジネス塾が具体化し始めた。昨日は、その打ち合わせがあった。

内容的には、いわゆる起業塾だ。ただし、受講生に林業関係者を想定しているところがミソ。起業ネタを教えるのではない。起業精神を教えるのだ。そして森林関係のネタで起業することで、地域を活性化して、それが林業、ひいては森林の正常な管理につながることを狙っている。

私は、そのコーディネーターといった役割だが、講師陣の選定をしなくてはならない。これが結構悩む。面白い人はたくさんいるのだけど、それらの人に何を語らせ、何を教えさせるのか、そして全体を通したカリキュラムも考えないといけないことになる。

思えば若いころ、もぐりの教師をしたことがあり、底辺校の生徒たち相手に苦闘したことがある……おっと、この経歴は、秘密であった(笑)。

 

 


山は壁か

2007-02-14 02:05:50 | 森林モノローグ

先日の生駒山系のフォーラムだが、そこでは歴史の専門家と緑化と都市計画の専門家による講演が行われた。

そこで気になったのは、いずれも山(生駒山)を壁と捉えていることだ。奈良と大阪の間に立ちふさがる障壁であり、都市の中心から離れて俯瞰する高見であり、登るのは大変で危険もあることを前提に語られた。

たしかにフォーラム参加者からすれば、山は異世界であり、畏れを持つから宗教世界も広がるのだろう。

ただ、吉野帰りの私(笑)からすると、視点が違ってくる。

古代、山こそ文化の誕生の場であり、交通の要衝だった。平地は見通しが悪く、川や湿地が移動を妨げ、決して暮らしやすい地域ではなかったはずだ。高低差のある山の斜面こそ、焼き畑に始まる農耕地であり、尾根と谷を結ぶ道が延びる地だったのだ。
事実、どこの地域でも、最初に人間が住み始めたのは山である。そして山伝いに人は移動し、交易したのだ。

そう考えると、生駒山だって、奈良と大坂の文化を生みだした揺籃地と言える。

平地からの視点ではなく、山地からの視点の日本史を描くと、山は壁にはならない。


万博公園

2007-02-13 23:48:04 | 木製品・建築

今日の昼のNHK「ふるさと一番!」とかの番組で、大坂の万博記念公園がレポートされていた。

かつての万博会場が森林いっぱいの公園に生まれ変わり、そこでは竹林ボランティア団体やNPOが活動していることを紹介していたが、そこに里山倶楽部が登場した。

このプログでも幾度か紹介した、ガシファイヤーという木質ボイラーとスターリングエンジンを組み合わせた発電実験を伝えていた。
薪を燃やして電気と温水を生み出し、足湯なども楽しめる様子を映し出していたから、この番組だけを見ていると、素晴らしいシステムだと思えるだろう。

実際は、故障が多かったり、温水を作ると発電が進まず、発電すると温水が足りず足湯のオープンができない……ということで苦労しているようだ。

それでも、理論は悪くない。実証段階のシステムがうまく運営できないからと、切り捨てるにはもったいないと思っている。むしろ、ペレットなどの木質バイオマス発電より可能性は高い。

なぜなら、夢があるから。小規模で薪を使い、個人レベルでも運転できるからであるし、アイデア次第で小回りがきく。そして採算の赤字部分を夢で補える

木質バイオマスは、巨大ボイラーによる発電所で採算を合わせるものと、その隙間を埋める小型装置に分けて考えたい。

それにしても、万博公園の変遷は面白い。竹林から巨大開発の博覧会会場、そして森林公園へ。
そういえば愛知万博の跡地は、今はどうなっているだろう。かつてその地は禿山だった。戦後、ようやく木が生えてきたところで森林公園となり、そこがすったもんだの挙げ句博覧会会場になったはずだが、また公園に戻すと聞いている。

どうせなら、禿山の部分も再現した方が、日本の国土の変遷が伝えられてよいと思うのだが。