私は、このところ古いフレーズをよく口にする。
「米百俵の精神」を持て! である。
そう、小泉前首相が就任直後に口走って、結構ブームとなり有名となった。だから5年以上前になる。たしか長岡藩だったか、財政が苦しくて飢え死にする人も出る中、ようやく譲ってもらった米百俵を食べたらその日でオシマイになる、だから金に換えて教育に投資した、という話だ。その日の食事を削って教育に力を注ぐ精神を示す。
今考えてみたら、飢えに苦しんでいる人を前に酷いこと言う家老だと思わぬでもないが、日本の国は古くから教育に熱心だったことは間違いない。漫画「ドラゴン桜」にも、明治政府が苦しい財政を割いて、東京帝国大学を設立する話が載っていた。
日本の林業界に今必要なのは、この「米百俵の精神」ではないか、と言っているのだ。今や経営意欲のある山主は少なく、経営ノウハウを持たない林業関係者ばかりになった。しかし目先の食い扶持が欲しくて補助金求めているだけでは、何も生み出さない。間伐促進事業は、失業対策事業ではないのだ。まともな経営をする林業家を育てないと、日本の林業、ひいては森林に未来はない。そのために必要なのは、教育だろう……。臥薪嘗胆、今を耐えて未来の人材を育てよう、ということで、「米百俵の精神」なのである。
さて、以前から叫んでいた森林ビジネス塾が具体化し始めた。昨日は、その打ち合わせがあった。
内容的には、いわゆる起業塾だ。ただし、受講生に林業関係者を想定しているところがミソ。起業ネタを教えるのではない。起業精神を教えるのだ。そして森林関係のネタで起業することで、地域を活性化して、それが林業、ひいては森林の正常な管理につながることを狙っている。
私は、そのコーディネーターといった役割だが、講師陣の選定をしなくてはならない。これが結構悩む。面白い人はたくさんいるのだけど、それらの人に何を語らせ、何を教えさせるのか、そして全体を通したカリキュラムも考えないといけないことになる。
思えば若いころ、もぐりの教師をしたことがあり、底辺校の生徒たち相手に苦闘したことがある……おっと、この経歴は、秘密であった(笑)。
・・・経営意欲のないのは林野庁ではないか?
補助金求めているのは林野庁ではないか?
未来の人材を育てるのは林野庁ではないか?
日本の林業界に今必要なのは、未来の人材を育てる教育だろう……。
では、だれが教えるのだろう?
第一次産業に就職した者も、希望したものもいない。
しかし、進路指導において林業というのは指導者の
立場から考えると大変魅力である。
平野部のハローワークなどの高校生向けの求人が
あると私などはありがたいと考えている。
もちろんどの学校でもそのような求人を求めている
わけではないだろうが。
しかし、ほとんどが工場のラインばかりの求人に
うんざりしているのは私だけではないだろう。
サービス業は知的能力が要求されるため供給過剰な
大卒にすべて奪われている現状である。
過去さかのぼれば、第一次産業に8割が従事していたが、
現在は一割を切るほど減少してしまっている。
国家的視点から見てもそれぞれの産業が1:1:1
くらいでもいいのではないだろうか?
農業高校も統廃合。近くにある国内唯一の林業高校も
近々統廃合。林野庁だけの責任ではないだろう。
もし林業高校が廃校になったら、払い下げしてもらいたい
なぁとひそかに目論無ム。
ただ、林野庁に人材育成を押しつける必要はないと思いますよ。林野庁も大いに取り組んでほしいし、それこそ補助金もこの分野に出してほしいけど、まずは現場から声を上げるのが一番だと思います。具体的には自治体レベルの努力で、結構可能と睨んでいるのですがねえ。
ちなみに、林業地周辺ではハローワークに林業職の募集がちらほら見られますね。それで採用した、という声も結構聞きます。ただし、これは現場の作業班が大半でしょう。
問題は、リーダークラスの人材の育成ですね。
今回は相手が重役だったせいか、集められた人5人の中に、重役自身を含め林業への貸付に関与した人が3名もいた。
また重役同席のためか、提案した金融システムについてもかなり突っ込んだコメントをもらい、1件目の金融機関に行った1年前とは着実に変化してきていると実感した。
討議の中で出た言葉、「情報の非対称性」!
林業以外にこの言葉が切実に当てはまるのを実感したことは無かった。
金融機関に融資の申し込みに来ても、最低限の経営指標さえ提示できない林業経営者がほとんどである。
勿論、非対称性だから、金融機関側にも林業の経営を理解しようと言う気概に欠ける人はいる。
しかし、第三者の私から見ても、何の情報も与えずにお金を借りようと言うのもむしが良すぎる。
よく起業という言葉を聴くが、アイデアだけで(無論無ければ第一歩が踏み出せないのだから先ず無ければダメだが)は直ぐ破綻。財務のバックアップが無ければお話にならない。
日本の教育で最も欠けているのは、財務(会計とは違う!)について教えていないことだと思う。
セロ弾きさん、ご苦労さまです。少しずつでも林業への融資に興味を示す金融機関が出てきたのは時代が動いている証拠ですね。
経済界の中にも、木材の流れの変化に気づいている人は出てきたようです。
ただ、林業界に経営戦略を明快に他者に示せる人が少ないのは本当ですね。山からどんな建材が出せるかわかる人さえ少ないでしょう。
森林ビジネス塾では、財務分野も取り上げたいと思っているのですが、これはと思う講師が思いつきません。誰か適任者を知りませんか? あるいはセロ弾きさん、やってくれませんか?
ある有名監査法人の重役で、その監査法人の子会社の社長。
もう一人は、ご自身が林業家、山林地主であり、上記の私的(財務)研究会の会員。
新しい金融まで含めてと言うことなら、僕でも良いですが・・・上記のお二人から勿論良く勉強します。
やる気があっても無理なのです。
それらをかって行っていた人たちは年を取りやめていきます。
やめる前から、やめるときから、すぐにやる気のある人に引き継ぎができていれば、今までの取り組みが無にならずにできていたかも知れません。
一度、放置してしまえばもはや取り返しはできません。
すべて土地という資産の利用がスムーズにいかない結果です。
使わない農地、荒れ果てた山、本来は資産価値は全くないのです。
しかし、価値があるという幻想を多くの人が持ち続けている限り、一次産業の新たな担い手は育ちません。
速水勉さんは、著書の中で
「自由主義社会では、労働力は賃金の高い方へ流れるのが原則である」
とおっしゃられています。
重みのある言葉だと受け止めます。
事実、労働力を提供する側である高等学校において一次産業は
視野にありません。むしろ体を使う仕事を見下し、「勉強しないと
ああなるぞ」と言わんばかりに指導し、大学に送り込む指導を
しているのが現実です。
この春から教職員評価制度が導入されると、その傾向が一層
加速することでしょう。そういった意味で、若くて有能な人材が
一次産業に参入する機会はさらに奪われることでしょう。
労働市場の原則にくわえ、教育機関がそれを助長してしまっている
ということが事実として見受けられる。ということです。
資産の問題と併せて、この若き労働力をどのように方向付けるか
ということも真剣に考え合わせることも必要だと思われます。
今本当に山が必要としているのは「希望」ではないでしょうか
「山は国の宝なり」とでも言えればいいのですが…