年末年始、娘が郵便局のアルバイトをしている。
郵便局で年賀状の仕分け! これは憧れの仕事である(笑)。
私のような稼業は、あまり年末ぎりぎりまでいそがしくなることは少ない。長期的な仕事なら別だが、雑誌等の締め切りは、執筆は早めに終わるからである。
だから若いころから、年末は郵便局で働こうか、と考えてしまっていた。それに、昔は過激派の裏メンバーは、普段は郵便局まじめに働いている…という話があり、その世界に興味があった。オイオイ
娘にとって、初めての社会経験である。説明会に行ったり、守秘義務にたいして申し渡されたり、それなりに新鮮らしい。最初は1日3時間まで、と聞いていたのだが、実際はほぼ毎日残業がある。時給はかなり安いので驚いたが、これで少しは手取りが増えるだろう。
さて、バイトから帰ってくると、娘はいろいろ話してくれる。
とくに「手際がいい」「よくやった」とほめられた、「また来てね」と期待されたことがうれしいらしい。そう、仕事の見返りは給金だけではないのである。
そこで思い出したのが、鳩山首相の所信表明演説だった。
その中の一節に、障害者を雇用している会社を視察した際に聞いた話を紹介している。なぜ、彼らは一生懸命に働くのだろう、という雇用主の疑問にある住職が応えたものとして「人間の究極の幸せは、4つ。愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること。そのうち3つまでが働くことによって得られる。そしてあいも一生懸命に働くことによって得られる」というものだ。
ちょっと講話ぽくて、出来すぎだが(^^;)、まさに娘が働く意味を気がついてくれたら、バイトをすることを認めた身としては成功だ。
ところで、この所信表明では、この部分以外でも光っている箇所はいくつかあった。
議員向けだが、「全国の町や村、街頭や路地裏、山や海、学校や病院で、国民のみなさまから直接聞いた声を思い出してください」と呼びかけた言葉に、涙した議員もおそらくいるのではないか(笑)。
私が今年読んだ文章の中で、所信表明演説は、出色の出来の一つだと思っている。政治家の言葉で感心させられたのは久しぶりだ。
人に何らかの感銘を与える言葉とは何か。それは字面ではなく、別の何かが、共感を呼ぶ何かがあるのだろう。それを忘れずにいたい。