昨夜は、あるシンポジウムに出ていたのだが、その流れで懇親会に参加した。
話題は、田舎暮らしからヨットインストラクターからチェンソーアートから林業……まで。
そこで話題に出たのが、新月伐採。昨秋、ドイツの森林管理官(林業家)が日本を訪ね、日本の林業地を案内した時の話題からなのだが、彼は新月伐採を行っているそうだ。そして、非常に重要なこと、と考えているらしい。
ところが面白いのは、ドイツで新月伐採をしていることは、かなり「ヘンな人」と思われていると本人が言っていたというのだ。
そうか、新月伐採は、本場のヨーロッパでも十分に受け入れられていないのか。新月伐採を推進している人の書いたものを読んでいると、まるでヨーロッパでは新月伐採は主流になっているかのように語るが、そうでもないらしい。
たしかにヨーロッパの林業は、ある意味システマティックで、IT化も進んだハイテク産業だ。新月伐採の理念とは相いれないと思う。とくにドイツは、人工林面積は日本とほぼ同じ1000ヘクタールあり、木材生産量は日本の3倍、対GDP率が5%にもなろうとしている巨大産業だ。あんまりスピリチュアルな考え方を導入したら、立ち行かなくなる。
むしろ、そうした産業化への反発が新月伐採を生み出したのかもしれない。もっとも、その新月伐採の木を日本に売り込む様は、十分産業的だが。
こちらの話を横で聞いていたヨットの専門家は聞いた。
「新月の木がよいのなら、満月の木もいいんですか」
チャチャを入れたわけではない。新月と満月は、月の引力がかかるという意味では相似しているからだ。そのことを海洋の満ち引きを体感しているから思いついたのだろう。
本気で新月伐採によって木質がよくなると信じる人は、今後は満月伐採も視野に入れるのもよいかもしれない。その方が仕事量と木材量が増えるよ。