森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

カレンダー

2008-09-06 09:25:09 | 森林資源

遅ればせながら、カレンダーをめくる。仕事場のカレンダーは、「昭和の山里の暮らし」をテーマにした写真だ。

9月10月は、身体の何倍にもなる枯れ草の束を背負子で背負う姿だった。草といっても相当重いだろう。山で刈った草を持ち帰り、堆肥にするのだろうか。夏の山草刈りは暑くてきつい仕事だが、それは収穫でもあったのだろうな。

かつて山里では下草も資源だった。今は、草刈りは労力ばかりが吸い取られる。しかし、それが収穫と思えば力も出るのかもしれない。
そんなことを考えたのは、我が家の庭の草刈りをしなくてはならない……と思い出したからだ。小さな庭でも、結構きついよ。暑いし、虫も多いから絶対刺される。刈った草の処置に困る。ゴミの日に出すのは抵抗あるので、庭の片隅に積み上げて堆肥にするつもりだが、その過程で虫が発生するし景観的にはあまりよろしくない。

ところで、今庭ではツクツクホーシが鳴いている。日差しはきついが、多少は秋の気配もあるようだ。

別のカレンダーでは、美しい紅葉が映し出されている。アートセラピーという分野もあるらしいが、心が弱った時は目から入る美しさが心を癒すらしい。でも、やはりカレンダーではなく、本物の森を見に行こう。


タケを食べる

2007-03-26 15:06:06 | 森林資源

急に春めいて、山の色も変わってきた。
もしかしたら、今年のタケノコは早いかもしれない。堀り時を意識しないと、旬を逃す。

ところで、タケノコならぬ、タケを食べ物にする研究をご存じだろうか。
「タケノコが食べられるんだから、竹が食べられないはずはない」と、私と同じようなことを考えた人が、浜松の小さな鉄工所にいるらしい。どのように食べるかというと、タケを0,005ミリの粉にする機械を開発したのだ。
研究機関によると、食物繊維のほかアミノ酸やミネラルを多く含み、腸に乳酸菌を届けるのに役立つらしい。竹に含まれる筒状の導管が、乳酸菌を閉じこめる「マイクロカプセル」の役割を果たす。こうした効能をうたえば、機能性食品を開発することも夢ではない。 

なかなか、微笑ましい?産学連携ではないか。

すでに四国や九州では竹粉を家畜の飼料にしているところもあるが、この竹粉をパンやクッキーに入れたり、漬物にも使えるという。工場では、おからと竹粉による「いなりずし」や、竹炭入り黒パンのサンドイッチ、そして竹の葉を煎じたが出るそうだ。

ちなみに機械の名前は、竹を食べる様子から「パンダ」だと。


タラの芽栽培キット

2007-03-18 00:48:07 | 森林資源

徳島県つるぎ町で、「タラの芽栽培キット」が、道の駅で販売されているという新聞の記事があった。

山菜の王様とされるタラの芽だが、その芽が出る部分を短く切ったものを竹筒に5本詰めたものだ。これで300円とタラの芽だけで販売するより2倍くらいの値段だが、よく売れているという。

しかし! 私は数年前、この商品を提案したことがあるのだ!!

同じく徳島県の上勝町を取材で訪れた私は、そこでタラの芽のふかし栽培を見た。まさしくタラの芽がでる部分を短く伐って、温室で芽生えを促進しているものだ。
そこで見たタラの芽の美しいこと。これを食卓に飾るだけで、ちょっと華やかになる。芽生えを日々観察できる楽しみもある。そして食べて楽しむ。

そこで私は、タラの芽の栽培キットをお土産用に販売することを提案した。実際、私も数本もらって家で育て、芽が伸びたら食べる、という2倍楽しめた。

ちなみに上勝町は、山の葉っぱを料理を飾る“つまもの”として商品化したところ。今では年少3億円というが、この手の見栄え商品の先駆者である。私が取材したのも、その中心となっている「いろどり」だった。
葉っぱばかりでなく、山菜も扱っていたが、私のアイデアに、横石さん、わりと乗り気だったのになあ。その後、商品化したとは聞かなかった。

ところが、ちょっと離れたつるぎ町で開発されたか。こちらも山菜販売が盛んなところだ。つまものと山菜には、わりと共通点があり、どちらも味や機能性などではなく、季節や見栄え、など精神的なものである。それだけに同じ感覚で商品化できる。

 

※ちなみに「タラの芽栽培キット」は、徳島が最初の販売ではない。全国各地で作られているはずだ。まあ、誰でも思いつくよな……。


黒炭を白炭にする方法

2007-02-01 15:03:33 | 森林資源

以前、黒炭を白炭にする方法を発明した人にあったことがある。島根県仁摩町の尾土井博さんという人だ。

黒炭を白く塗る……のではなくて、黒炭を1200度の高温窯でもう一度焼いて、白炭、つまり備長炭と同じような硬さと安定した燃焼するような炭に変化させるというものだった。仁摩のある地方は石州瓦の産地だが、その瓦用の窯が利用できるらしい。

私は感激して、これこそ21世紀の製炭技術だ、と思った。なぜなら、この2度焼きは、機械化した窯で行えるからだ。つまり量産しやすい。(黒炭はどうして焼く、という問題は残るが。)中国産白炭の供給が細る中(本当は輸出禁止なんだけど、今のところは入ってくる)、備長炭の自給につながるだろう。

このことを記事にもしたが、その後は音沙汰なく、うまく商品化できていないのか、と思っていた。ところが、そうでもないようだ。今や石州炭と名付けられて、着々と研究が進んでいるらしい。

http://blog.goo.ne.jp/f-kawamoto/e/045a1d5991c99733158bdcbba7df2ca7

木炭にも、まだまだ可能性は残っている。
問題は、この製品を商品にすることだ。そのためのビジネスプランがいる。

そんな森林ビジネス塾構想が進んでいるのだが、それについてはまた改めて。

 


ゴミ資源

2006-12-22 19:28:01 | 森林資源

「そのままだとゴミだが、分けると資源」。

よく分別ゴミ収集で言われる言葉だが、私はどうも納得がいかない。分けなくても資源にする方法はないか、と思っている。

ようするにゴミと資源の間にあるのはコストである。ゴミの中から必要とする成分だけを抜き取るためにかかるコストが、資源の収益より多いか少ないか、ではないか。
たとえば鉱石に含まれる必要成分は極めて小さい。鉄や銅はまだしも、金などコンマ以下だ。ウランもそう。しかし、それを分別精製して純正品にしても見合う価値がある。

だからいっそ、森林も成分抽出方法による利用は考えられないだろうか。
森林、あるいは廃材などの山に大きなテントを張って、中を何百度まで蒸し焼きする。そして出たガスを吸収して、必要成分に分ける。

こうした林業も発達する気がする。

もう一つ、現実的なのはサーマルリサイクルだ。ようするに木材を燃やしてエネルギーを利用するものだが、これはすでに行われているだろう。しかし、本当の意味を知っている人は少ないだろう。

とくに通常の「燃えるゴミ」扱いの中に割り箸やら紙やら何やら入っているが、それが燃やすことで焼却を助けているはずだ。さもないと「燃えるゴミ」は燃えない。とくに生ゴミは燃えない。だから重油で燃やしている。

しかし、そこに森林(木材)のゴミが入っていたら、燃焼を助けて重油の量を減らしている。これも立派なリサイクルであり、分別コストもかけずに済む。
この価値をもっと評価すべきだ。今は木材を燃やすともったいないと言われかねないが、中東から運んだ重油でゴミを燃やすより、よほどいいのではないか。

 


木材からエタノールを作る方法

2006-12-16 01:06:16 | 森林資源

バイオマスエネルギーの中で、最近の注目株が、バイオエタノール。つまり農林産物から作られるエタノールだ。

エタノールは液体だから、ガソリンエンジンなどの代替えにすぐ使えるところがウケているのだろう。石油の代替えになりやすい。木材をペレットやチップにして燃やして熱と発電を行う……といった従来考えられていたバイオマスエネルギー利用では、設備も大がかりだしインフラを変えなくてはならない。

しかし、肝心のバイオエタノールは原料に問題がある。現在はトウモロコシやキャッサバ、あるいはサトウキビなど食用作物のデンプンを醗酵させて糖、そしてエチルアルコールに変換していくのだ。つまり微生物の力を借りている。おかげでバイオエタノールが流行ると、世界市場の砂糖の価格が上がるという現象が起きている。
何より、食物をエネルギーに使うのはもったいない。原料の価格も気になるが、これらの作物の生産(耕作や収穫)にも、かなりのエネルギー(たいてい石油)を消費する点も問題視されている。

本命は、やはり木材からエタノールを作ることだと思う。しかし、これが大変なのだ。

理屈は簡単で、木材のセルロース・ヘミセルロースを分解して、糖に変えてから醗酵させればよい。しかし、木材を原料にすると、セルロースを取り出すのも、糖まで分解するのも、かなりの手間だ。そして、微生物による醗酵自体も、手間暇がかかる。増産がしにくくコストもかかるだろう。

 

そこで思い出してほしいのだが、農林バイオマス3号というプラント(今年6月27日)がある。木粉を放り込むと、ガス化してメタノールを生成してしまう凄腕の機械だ。エネルギーコストも手間も時間もかからない。化学合成なので、微生物も登場しない。これぞ、未来のバイオマスエネルギーだと感じさせた。

しかし問題は、生成するのがメタノールということだ。エネルギー源としては、エタノールに劣らないと思うのだが、世界の潮流がエタノールに傾斜している中、日本だけメタノールを採用しづらい。エネルギー体系は、世界と連動しているからである。仮に自動車などの製品をメタノール仕様にすると、海外で通用にくくなる。それに多少の毒性もある。(エタノールは、飲めるほど毒性は低い。ただし、酔っぱらう。)

そこで思うのだが、メタノールからエタノールを生成できないのか。あるいは、木粉から直接エタノールを生産できないか。難しいのだろうか。
化学式を見る限り、単純で似通った構造だから、簡単に合成できそうに思える。技術的な壁があるのだろうか。微生物に頼らずエタノールを生産してほしい。

誰か化学に強い方、この可能性を教えてください。メタノールからエタノールを簡単に合成できれば、農林バイオマス3号も生きてくる。木材をどんどんバイオエネルギーとして使えるようになる……。

 


野生肉

2006-12-11 10:16:23 | 森林資源

三重の山間部では、シカ肉の刺身とイノシシ肉のスキヤキを山ほど食べさせてもらった。

その翌日、大きな野性シカを目の当たりに見た(写真)。

本当にシカやイノシシは増えている。サルも多い。農林業だけでなく、家庭菜園や民家そのものまで害が及んでいる。そして頭数が増えているのかどうか、クマ害も目立っている。

そこで提案されているのが、野生動物の肉を販売に乗せることだ。エゾジカは大々的に取り組んでいるし、島根や群馬などには肉の加工場もつくられた。
ただ、いま一つなのは、やはり安定供給しづらい点だろう。第一、猟師も減っている。法的な縛りがあって、事故死や有害駆除したものは食肉に回しにくいとか、解体に許可がいるとか。安定供給のため養殖を始めたら、本末転倒だし。

また、野生肉は、まだまだ需要が少ない点もあるだろう。かわいそう、という声も強いから。

しかし、増えているから駆除するのだから、なんとか資源として有効利用することはできないだろうか。
たとえば、造林地をシカ牧場に切り替える(^^;)。定置網のようにシカが入ったら出られないようにして、定期的に「収穫」する。専業の機動ハンター部隊を結成して、全国に派遣する…。

そんなことを考えつつ、この週末もシカやイノシシ肉の忘年会が予定されているのだけど。


永代供養料

2006-12-09 23:44:36 | 森林資源

昨日から、三重県の某地域を訪れていた。

 

そこで計画されている地域活性化策は、奇想天外であった。

それは森林を墓地と見立てることだ。
まず1500haの山を出資者を募って購入する。そこを墓地として分譲する。木製の骨壺を用意しており、木の苗とともに遺骨を埋める。そのことによって森は育つのだが、墓地であるから、永代供養料と管理料を受け取ることができる。

ご存じの通り、墓地を分譲すると言っても、土地を売るわけではない。あくまで死者を葬り祀る権利だけである。この供養料が出資者への配当にもなるし、山の管理料にもなるという寸法だ。一人300坪換算でも数万人分を引き受けられるうえ、時間と共に骨は土にもどるから、満杯になる心配もあまりあるまい。

いわゆる樹木葬とも、少し違う。

よく森林に精神性を求める声はあるが、それを具体的な資源に還元するのは簡単ではない。森林セラピーも、どこでもうまく行くわけではないし、金に変えるのも難しい。しかし、死者の尊厳を持ち出して「供養料」とする発想で金を得て、森を守り育てるというのは面白い。
しかも、供養料名目にすれば、結構な大金を払う人も多いだろう。

しかも、祟りがあるから、誰も森に手を出さないだろうしね。

 

 


ミードとどんぐり蜂蜜

2006-11-27 23:20:11 | 森林資源

京都の蜂蜜専門店、ミール・ミィに行ってきた。以前、里山と養蜂について書いた際に紹介を受けた店である。

目的は、ミード。蜂蜜から作った酒だ。世界最古の酒であり、ハネムーンの語源ともなった醸造酒。おそらく日本唯一の専門店なのだが、ここで幾つもの種類を試飲した。(写真)

蜂蜜のイメージとは違って、甘くなく薫り高い味である。ドライなワインのようなものから、樽に寝かせたスコッチのような酒もある。日本ではほとんど知られていないが、世界的には愛好家がいて、毎年ミード・フェスティバルを行うほか、アマチュアの醸造も数多いそうだ。

これ、日本でも流行らないだろうか。蜂蜜を採取して、それを元に醸造したら楽しみが広がりそうだ。蜜の種類、水との配合が味を決める。醸造法の壁はあるにしろ、里山の新たな楽しみ方になる。

 

もう一つ、稀少なものを味わった。ドングリの蜂蜜だ。具体的にはアカガシの花蜜らしいが、意外やあっさり上品な蜜であった。これを取っているのは、世界で丹波の養蜂家だけらしい。本当は、アカシアなどの蜜の取る際の失敗作だというのだが、これは人気を呼べるのではないか。
量産できたら、雑木林の新たな価値として伝えられるかもしれない。

ごきげんで、帰途について、ふと気がついた。しまった! 肝心のミードをお土産に買い忘れた 試飲で結構気持ちよくなってしまったかな。


本気か?バイオマス燃料増産

2006-11-20 15:38:19 | 森林資源

ここんところ、バイオマス燃料の話題がバタバタしている。
安倍総理が所信表明で、「自動車燃料にバイオエタノールを利用するなど、バイオマスの利用を加速化」すると明言したからだろう。ようするにターゲットは、エタノールだ。

しかし、日本のバイオ燃料の現状は、まだ小規模な実証試験の段階であり、今年度の製造量は30キロリットル程度にすぎない。 そこで5年後に5万キロリットルの国産バイオ燃料の導入を目指すのだという。まあ、大きく出たものだ。

おそらくこれは、松岡農相の入れ知恵だと思うが(この人、また週刊誌にスキャンダル書かれていたなあ)、1600倍に増やすというのは……。ここまでの規模になると、今のように原料にサトウキビ使っていては間に合わない。おそらく国産の農産廃棄物では集めること自体が無理ではなかろうか。まさか残飯のような原料を輸入するわけにもいくまい。

となると、量を確保しやすい原料は、木材しかない。木材を糖に分解してエタノール醗酵の材料にするか。
そこまで考えるなら、木材をガス化(水素と一酸化炭素)してガス燃料として使う(ガスタービンエンジン)か、そこから化学合成できるメタノールをさらにエタノールへ再合成する技術を開発した方が現実的のように思う。

 

少なくても、限界が見えてきたペレットなどの木材発電よりは展望が開ける。


森林大国・中国

2006-10-07 22:24:13 | 森林資源

中国の森林が危機だとする報道が増えている。割り箸が中国の森林を破壊していると攻撃される根拠もそこにある。

実際、中国は経済発展に伴って木材不足が際立ち、今や世界最大の木材輸入国である。日本など、とうに抜かれている。そこで日本の木材を輸出する発想も出てくるのだが……。

ここで、そういった報道とまったく違ったデータを示そう。

 

今年発表された中国の森林資源調査によると、森林率は18,21%と低い。ただ国土が広いだけに率では低くても実質は馬鹿にならない。
森林面積は1億5894万1000ha。この数字は世界第5位である。森林蓄積量も、112億7000万立方mで第7位だ。そもそも森林率だって、4年間で1,7%を上がっているのだから驚異的である。しかも年々増え続けている。

そして造林面積の累計は4666万7000ha、毎年800万haを越える造林が行われ、世界でトップなのである。日本の人工林が総計1000万haであることを考えると、その8割の面積が毎年増えていることになる。

 

まさに中国は、森林大国なのだ。

もちろん、この統計の数字をどこまで信用できるかという問題は抱えているのだが……。それに新たに森林になっているのは半砂漠地帯であり、現伐採跡地に植林はほとんどされていない。それにしても……。

これまで、中国の木材不足を喧伝してきた私の立場はどうなる?


「木炭禁輸」その後

2006-09-24 13:24:06 | 森林資源

2年前、中国の木炭禁輸が話題になった。とくに備長炭の8割は、中国製に頼っていたため、すわ、焼き鳥の炭火焼きがなくなる! と騒いだのである。

では現状はどうか。

依然、輸入炭の4割近くは中国から来ている。量的には、禁輸前の7割ほどに下がったそうだが、決して中国は輸出を完全ストップしたわけではないのである。
しかもミャンマー産備長炭が、禁輸後勢いを増しており、以前の30倍にも膨らんだ。おそらくミャンマー産の多くは、中国製ではあるまいか。

ほか、日本が木炭を輸入している国は、台湾、韓国、ラオス、ベトナム、タイ、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、インド、アメリカ、ブラジル…。
本当にシンガポールで炭を焼いているとは思えない。

 

中国と言えば、一応共産国家であり、国家統制のされた国というイメージがある。たしかに政治的にはそうと言えるのだが、実は民間の経済ベースでは目茶苦茶である。国家が決めた価格からダンピングする業者があふれている。また役人も、融通無下に対応する。全面禁輸の看板なんぞ、どこ吹く風なのだろう。

 

おそらく割り箸も同じではないか。2008年に輸出禁止するするどころが、昨年末の値上げ額の維持さえもあやしくなっている。


間伐材マーク

2006-09-16 12:25:07 | 森林資源

間伐材マークが増えてきた。

ご存じだろうが、「この木製品は、間伐材で作っています」と証明するマークでありシールだ。全国森林組合連合会が定めたものである。
この場合、たいていの消費者は、間伐材なんだから森林破壊ではない、間伐材だから細くて育ちの悪い木を抜き伐りしたもの……というイメージで捉えていると思う。またそれを狙って作られたマークだろう。

 

そんなことを考えるのは、最近力を入れている割り箸取材で、吉野の割り箸には間伐材マークが入っているからである。割り箸は間伐材から作っているのか?

 

たしかに間違いではないなあ。間伐材を製材した残りの端材だから。でも、肝心の間伐材は、直径30㎝くらいあるのではないだろうか。樹齢は……80年ものも少なくないよなあ。なかには樹齢200年の間伐材(笑)だってあるぞ。

だって、吉野の伐採は、基本的に今では抜き切りであり、ほとんど間伐だからだ。その方が補助金が出るなどの意味もあるそうだが、歴史的な伐採方法でもある。

 

ようするに、間伐材マークを付けるのは、「これは環境のためになっている木材を使っているんですよ」という証なのだ。
しかし、吉野林業を知らない人が割り箸産地を訪ねて、「これが間伐材?」と目を丸くされても困る。だまされた! と騒がないことを願う。

いっそ、端材マークを作り出したらどうだろうか。

 


北越製紙のバイオマス発電

2006-08-02 11:43:09 | 森林資源

今日より王子製紙が北越製紙の敵対的TOBを実施…こんな記事がマスコミの経済ニュースを賑わせているが、北越製紙に関しては別に注目される点がある。

 

バイオマス発電に熱心なのだ。

 

まず木材よりパルプを作り出す過程で出る黒液(リグニンなどベンゼン核を持つ成分)による発電を大規模に行っている。昨年に国内最大級の専用ボイラーを設け、新潟工場だけで原油換算26万キロリットルのエネルギーを生み出している。(工場内で使用)

加えて、今年9月には茨城の勝田工場にバイオマス発電所を完成させる予定。来年には新潟にも完成するそうだが、こちらでは建築廃材や間伐材を燃料とするという。どんな間伐材を燃やすのか、ちょっと疑問もあるが、ともあれ日本の木質バイオマスエネルギーの雄になるのは間違いない。

そのほか、バイオプラスチックに紙を混ぜて耐久力を増したペレットなども開発している。おかげで昨年は農林水産大臣賞を受賞した。

 

私は、日本でバイオマス発電が成功するのは、こうした大規模化した設備があり、燃料もシステマチックに手に入る施設だけだろうと思っているが、その一つが北越製紙だろう。この会社の強みは、バイオマス資源を有効利用する技術を持っていることもあるのではないか。

 

今後、北越製紙と王子製紙の関係がどうなるか現時点ではなんとも言いようがないが、こんな視点からTOB劇を見るのも悪くないかもよ。