今年の「森林の仕事ガイダンス」も終わったことだし……林業職を求める人々のことに思いを馳せる。
龍神村で、豆腐屋を始めたIターン者を紹介してもらった。彼は、森林組合に緑の雇用で入ったらしい。だが、3年前に辞めた。
その理由は、賃金が下がったこと。そして、将来の展望がなかったこと。じり貧の中で、森林組合としてどう取り組むつもりかわからなかったそうだ。
ちなみに龍神村森林組合は、都会の人を公募して雇用する森林組合の嚆矢である。緑の雇用が始まる前から、述べ人数で30人以上もIターン者が入っていた。だが、今残っているのは数人だという。ほとんど辞めた。
そして辞めた多くは、村を去ったらしい。
だが、彼は豆腐屋を始めることにした。地元の人が自宅で作る堅い豆腐に憧れたことがきっかけだ。今では、地元でも作れる人はほとんどいないが、薪で豆を焚いて苦汁を使う伝統の味。もちろん市販していない。
火の加減がものすごく難しいという。薪も、スギ・ヒノキだけではダメで、カシ系の広葉樹材もいる。試行錯誤しつつ、とうとう作り方を身につけて、今では毎朝50丁つくり、配達している。店の名は「るあん」。タイ語だ。
山村の仕事は、山仕事だけではないし、与えられるものだけではないと思った。自分で仕事を作る覚悟で、山に生きよう。