先週、丹波から岩手を回る旅をした。家を出たときは雨で、丹波もかなりの大雨。
少しずつ止んできたかな、と思う夕方、飛行機で仙台に飛んだ。すると、またもや大雨。夜は濡れながら歓楽街を歩いた(;O;)。
そして翌日は岩手南部の一関。小雨。雨の移動とともに私も北上している気になる。それでも野外講演中は晴れる。ホッと一息。
夜は盛岡。翌朝から岩手北部の葛巻。やっぱり小雨。雨雲の移動とともに私も動いているんだから、仕方ないか。笑っておこう。
雨にも負けず 風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な体を持ち
欲はなく 決して瞋(いか)らず
いつも静かに笑っている
宮沢賢治の詩が頭に浮かんだ。そうそう、岩手は宮沢賢治の世界だった。
実は、私は学生時代に東北を一周する旅をしている。野宿も交えた貧乏旅行だったが、その際のモチーフというか、テーマの一つが宮沢賢治だった。
宮沢賢治には熱烈なファン?マニア?がいるが、私はそこまで入れ込んでいたわけではない。しかし、気になる存在ではあった。とくに賢治は、実社会では農業技師であり、科学的な思考を身につけている。
実際、訪れた一関にも在籍して、地元の石灰岩から石灰を作って肥料にする計画を押し進めている。また作品「グスコーブリの伝記」では、冷害に苦しむ農民のため、火山を噴火させて二酸化炭素を排出させることで農作物の稔りをよくするというアイデアが登場する。その是非を論じるのではなく、企画力が大切だ。
そんな思考と、ファンタジーな作品群が同居した人物に魅せられたのだ。
日照りのときは涙を流し 寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにデクノボーと呼ばれ
ほめられもせず 苦にもされず
そういうものに 私はなりたい
この最後の一行に魅せられた、のかも。
(写真は、猊鼻渓)