ミャンマーで日本人ジャーナリストが殺された。
こうしたニュースは、胸を打つ。常に時代のフロント(最前線)に立つことを心がけると、否応なしに覚悟がいる。殺された長井さんも覚悟をしていただろうが、決して本意ではあるまい。
私も、若いころ、フロントを意識して、ティモール島に潜入したことがある。当時は東ティモールをインドネシアが支配していて、外国人の立入禁止地域だった。
うまく立ち回ったつもりだが、あと少しのところで軍の尋問に引っかかった。ティモールでは、ジャーナリストも殺されている。そこまで行かなくても、逮捕されて留置場行きはあり得る。果たして日本政府は動いてくれるか?
冷汗が流れた。尋問への返答次第でどうなるかわからない。慎重に、そして大胆に応えた。作戦としては、徹頭徹尾、取材のおくびも出さず、知らずに迷い込んだアホな旅行者を装うことである。
……長い時間がたったが、お互いの言葉があまり通じない(尋問官はインドネシア語オンリー。学生が英語の通訳に入った)こともあって、最終的に解放された。夜だった。じとりと湿った野外の空気の感触を今も覚えている。
その後、ティモール島をすぐに出て行くように言われたが、私はまたも脱線して別地域への潜入を試みて、また軍人に見つかって……。
いろいろあったなあ。若かった(笑)。でも、長井さんは私とたいした歳も変わらないのに、はるかにフロントへ出続けた。