和歌山県龍神村で、林内作業車を見せていただいた。一部では、ジャガーの愛称で呼ばれている。
これは、今、各地でブーム?なのだそうだ。ウィンチが付いていて、これで斜面に置かれた丸太を引き上げ積み込む。約1立米詰める。幅1mくらいしかないうえクローラー(キャタピラ)のため、急傾斜でも昇り降りできる。だからこの作業車のための作業道を開削するのも簡単で、なんとユンボで500円/mでOKという。
幅1,5m程度の作業道なら、林内を乱すことも少ない。林齢50年以上ならば、木と木の間に通せるだろう。愛媛の業者が開発して、福岡でも生産するところが現れ、四国や九州では、かなり出回っているらしい。リモコンでも動かせるので、一人で作業を進めるのに便利だろう。
林業機械と言えば、ハーベスタやフォワーダなど大型の高性能機械が頭に浮かぶ。しかし、これらの機械は、日本の山では使い勝手が悪く、あまり使われていない。補助金で購入したまま眠っているところも多いはずだ。
また、リョウシン号と呼ばれる小型作業車(軽トラくらいで、グラップルが付き、2トンくらい?乗せられる)も登場しているのだが、売れずに生産中止になった。
その差は、やはり価格だという。この林内作業車は、150万円から200万円。リョウシン号は500万円。この価格だと、トラックやフォワーダなどと競合してしまう。ちなみに高性能機械は何千万円のものもある。
使い勝手は、小さな方が小回りが効くし、森林土壌への影響力も少ないだろう。
今、新生産システムなどで大規模な素材生産が行われているが、そこでは大型林業機械が使われた結果、森林土壌はかなり酷いことになっている模様だ。クローラーが土を踏み固めて、そこが水道になってえぐれるからだ。
だが、この小さなものなら、ダメージは小さいのではないかと思えた。なんでも集材後は2年くらいで使わなくなるという。そこで、放置する前に植林したらどうか、という提案があるそうだ。密に入った作業道が、やがて複層林になるかもしれない。
うちの会社では、昔買ったブルトーザーに昔使ったユニックのクレーンを取り付けています。ただの物同士なのでホンのわずか改造費で済みました。重量がありますので、安定して安全ですよ。
高性能では、ないですが、お金をかけないでやることが大切です。
海外の技術や機械を導入するだけでは、失敗すると思われます。
国内では小回りのきく安価な機械が求められています。
150~200万円で、ようやく手の届く範囲に入ったようです。もう一声がんばってほしいですが。
ただ、日本は全ての部品がそろい、安価な中古品があり、やる気があればいくらでも必要な機械を作り出すことができる環境にあります。
作る能力が問題ですが、自らが作らなくても作る技術を持つ多くの中小企業、町工場があるのですから、そこに持ち込めばいかようにもなります。
その努力をせず、単に補助金で高価な機械を導入したとしても本物ではありません。
一時期、自動枝打ち機の開発が行われたことがありますが、結果的にあまり枝打ち施業が行われなくなったこともしぼませたようです。
資金力がない林業家のために、いかに安上がりの林業機械を生み出すかというのも課題ですね。
(あー,でも,リモコンつきというのはちょっと惹かれます)
フォワーダを使いはじめたら,その便利さを身に滲みて感じています。
2,3年くらい前までは,鍬で道を作り,谷を渡る丸太橋を人力で設営しながら林内作業車で間伐材を搬出していました。
そうした作業も面白いものでしたが,
大変な労力でもありました。
高性能林業機械(特にフォワーダ)も,今まで通りの施業感覚では使いにくいものですが,
モノは使いようだと思いますので,
それにあった施業方法を確立することも必要なのだと思います。
ただ,土壌への影響や,補助金頼みで身の丈にあっていないのではないかという点は,おっしゃる通りに思えます。
理想を言えば,高性能化,大規模化の方向性と,
小規模ながら,環境への配慮もなされる方向性とが,棲み分けながら両立することが望ましいのですが。
でも、どこでも使えるものではないし、やはり環境が心配。スキッダ・トレイルというんでしたっけ、水みちが山をえぐります。
私は、小型でもグラップルがついたリョウシン号が好きだったんだけどな。これは林内作業車とフォワーダの間を行くものです。
今残っているのは二台だけと聞きました。そのうちの一台が龍神村にあるんだけどね。
私は、建設業の機械は、林業の機械に共通するところが多いのでこの影響が林業にも及ぶのではないかと考えています。
ただ簡単には進出できないでしょう。まだまだ課題がたくさんあります。
作業道など山を傷めないで道をつくる技術を少しずつ蓄えてきた私にとって更なるコストダウンは大きな課題です。ただ、壊れない作業道もアピールのひとつです。トータルコストで勝負してほしいとお客さんには言っています。
このブログは、生の林業の情報を得られるの大変ありがたいです。
でも、先んじた長野県はあまりうまくいかなかったようです。機械は共通でも、やはり知識と意識の差が大きい。
話は変わって、崩れない作業道も大切だけど、いっそすぐ自然にもどる作業道は作れないものですかね。
伐採・搬出が終わると、すぐ再造林して、その後放置したら自然にもどってしまう道。あまり道を固めると、草木が生えず、また水の通り道になって山が荒れそうな気がします。
再造林のための植林が終了し下刈りが不要になったら柳などの根の張るものを植林すると複層林のようになるでしょう。
作業道を抜くと次の年は、タラの芽などの山菜がよく採れますよ。
あまり知られていない問題が、不法な作業道です。本当に不法かわかりませんが、作業道のようで本来の作業道でない道が作られ、崩壊するのです。
それは、石を得るための道なのです。地主には無料で作業道を作る話で道を作る際に出てきた石を搬出のために使っているのです。お互いが得をするようで実態は無残な山ができてしまいます。
私たちの山には、通常の4倍から5倍の木製の横断溝を設置します。水の処理が作業道の命です。
作業道で出た石の粉が、ダムに蓄積し河川の汚濁につながっているそうで、この石の粉はなかなか沈殿しないそうです。長期間河川の汚濁が発生し、さまざまな問題になっているそうです。
生駒山も、かつて庭石に人気のあった生駒石の採掘で賑わい、山が荒れました。今は禁止になったうえ、庭石を高く取引されることもなくなったので、消えましたが。
不法でなく、ちゃんと石も資源として管理すればよいのですが。もちろん施業もしっかりさせて。