森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

倒木か間伐材か

2005-08-31 12:19:05 | 林業・林産業
毎朝、テレビでワイドショーを見るところから私の1日は始まる。

今日は、選挙から少し離れて「7年に1度出現する幻の池!」をやっていた。
静岡県西部の山の中に、突如清水が湧いて池が出現する場所がある、今年は7年目だから……というわけで、現地レポート。

このネタは、以前から知っているのだが、わりと好きなので見ていた。
相変わらず、現地に着くまでが大騒ぎ。ヘビが出た、ヒルが出た、と秘境の雰囲気を盛り上げる。

でも、周りの景色はやっぱり人工林なんだな。しかも、最後のところで山仕事の夫婦?と出会っている(^o^)。

そこで気になったのは、倒木である。
山の中に倒木だらけの箇所があり、いかに進むのが大変かと説明しているのだけど、本当に倒木かと疑問が湧いた。根元をちゃんと映さないのでわからないのだが、もしかして切り捨て間伐の跡じゃないだろうか。
山腹に切り捨てた間伐材が、台風でずれ落ち、山道を塞いでいるようにも見える。

山を荒れたように見せているのは、実は間伐作業だったなんて言いたくないけど。

最近は、間伐といえば切り捨て、が当たり前のようになった。
でもおかしいんじゃないかい、と私は思っている。
労力かけて金かけて、育てた木を伐って捨てるなんて。

密生したら環境に悪いというのが、一般的な説明の仕方だ。それはわかっている。

しかし、極めて資源の無駄遣いであり、資金の無駄遣い。そして景観も悪化させている。
間伐の仕方も問題あって、所有者は「せっかく育てたからもったいない」という意識からちょびっと伐るだけのケースが多い。それでは林冠が開かず、光も差し込まず、全然環境を改善していない。

伐るならばっさり伐れよ。そして伐った木は利用しろよ。
さもなくば、自然に立ち枯れして倒れる(まさに倒木)まで放置してもいいんじゃないか。そう感じるのである。

ちなみにテレビでは、ようやくたどり着いた場所に、まだ「幻の池」は出現していませんでした。

自分で書く書評

2005-08-30 11:31:20 | 書籍・映画・番組など

今、自分で『森コロ』の書評を書いている。

だって、依頼が来たんだもん(^o^)。

まだ掲載もされていないから誌名は明かさないが、はっきり言ってマイナーな小雑誌である。書店売りもせずに、会員制なのかな。ただ読者層は中央官僚や公的機関などらしい。

ともあれ「自著自賛」というコーナーがあって、そこで自著、つまり『森コロ』の紹介をしてほしいというわけだ。
もちろん、喜んで書きますよ。こんなチャンスを断れるわけない。

でも、あまり宣伝ぽく書けないし、かといって遠慮するわけにもいかない。
「誠実に」内容を紹介しつつ、思わず本を手にとってみようと思わせる文章力を要求される。

なかなか難問だぞ。いやあ、今夏一番の仕事かもしれない。オイオイ


緑の雇用政策

2005-08-29 15:58:30 | 政策・行政関係
また少し、選挙がらみで各党のマニフェストを見る。

自民党の林野政策の中に「緑の雇用事業」の継続が入っていた。
「緑の雇用」とは、山村で林業関係の職につけるようにした補助事業で、主に町の人を山村に移り住ませることを目的にしている。最初に言い出したのは和歌山県知事で、それが全国に広がり、かなりの人数が山村に入ったのではないか。

ただし、これは1~2年の間しか補助金は出ない。延長してきたが、今年でオシマイのはずである。それをもっと続けさせようという意図だろう。

この政策に言いたいことはたくさんあるし、裏側のどろどろしたアブナイ話も聞いているが、とりあえず林業の仕事を作ろうと言う点と、田舎暮らしを求める町の人を移り住ませるきっかけにはなるとは思っていた。

今各地森林組合に広がっているのは、仕事がないこと。作業班の事実上の解散も相次いでいる。山は荒れているといいつつ、金がなくて仕事がないのである。だから税金で無理やり仕事を作るわけだ。

ただし、数年間頑張って、技術を身につけて森林組合に本採用になるか、あるいは別の自活の道を見つけた者だけが残ればよいというのが本来の趣旨。延々と補助し続けたら、結局税金で食わせているだけである。
本当にそれでいいのか?


国産の割り箸

2005-08-28 15:48:40 | 木製品・建築

昨日は、終日自治会の夏祭にかかりきり。今朝もその片づけ。

さすがにヘトヘト。本プログの更新もできなかったが、そこでふと考えた。
夏祭で林業に関係ある話題はあるか?
思いついたのが、割り箸である。

そまびと選手権で川上村を訪れた時に、自分で買うとともに大量にもらった割り箸を、夏祭に寄付したのである。焼き肉・焼きそば用にたくさん使った。

我が家は、自宅でも割り箸を使う。ただし、国産の割り箸と決めている。
割り箸を使うことが、林業を支える一助になると思っているからだ。
ここで重要なのが、国産に限ること。外国産の割り箸を使っては意味ない。

しかし、現実には国内で使われる割り箸の9割以上が輸入物
ほんの10年ほど前は、まだ5割が国産だったのだが……。

当時の割り箸叩き(割り箸が森林を破壊する、など)に対して私は割り箸擁護の論陣(割り箸の使用が山村を守り、ひいては森林を守る)を張ったが、今では通じなくなってしまった。それでも国産の割り箸を選んで使っている。これは結構大変。気軽に割り箸を店で探すと、たいていアスペンなど外材モノになる。

実は先日の黒滝村でも、取材した中には日曜大工が趣味という人もいた。
ところが使用するのは、ツーバイフォー、ワンバイフォーの材。
山村に住んで、森林組合で働いていても、そうなるのである。なぜなら国産材は手に入りにくいから(丸太は目の前にあるのに……)。そして外材の方が使い勝手がいいから。

そのうち国産材を使おう!という運動そのものが虚しくなるほど外材一辺倒になるんじゃないだろうな。


民主党「森林・林業再生プラン」

2005-08-26 17:02:46 | 政策・行政関係

総選挙も近くなって、民主党が「森林・林業再生プラン」をまとめた。

まだ詳しく読んでいないが、目立つのは
・1000万haの森林(人工林?)再生に必要な間伐は全額公費負担
・「緑のダム事業」には初年度1000億円プラス2500億円の上積み。

よーするに、税金で森林をなんとかしようという案だな。財政難の時代に豪勢なこと。
どうも世間は、森林・環境に対しては甘い。
これでは構造改革にはほど遠く、古い体質を温存する。

私は、公費をつぎ込む場合は、代わりに何をするかという点に興味がある。
たとえば、全額公費で森林管理をする場合は、その森林は社会資本として所有者から利用権を取り上げる、というくらいのペナルティがあってもよいのではないか。

また「森づくり」ばかりではなく、「木づかい」に意識が向いていない。
間伐した木は、捨てるのだろうか。
いっそ間伐費を出すより、間伐材を全部公費で買い取るという案はいかが。

常々バカにしてきた自民党の森林政策より遅れているのではないか。
頑張れ、民主党。
私がレクチャーしてあげたいくらい(笑)。


『森コロ』と奈良

2005-08-25 23:37:12 | 仕事関係
今日は朝から雨。
黒滝村森林組合の面々は、みんな仕事が休みとなり、取材ができた。

日頃、私は雨男を自認していて、取材で雨が降ることに困っていたのだが、今回はいいように作用した。
出来杉さんのところでは、チェンソーアートや出来杉計画について聞く。詳しいことは彼のプログに任せる(^o^)が、奥さんが川上村出身なので、そちらの話でも盛り上がる。

ところで、出来杉さんの所で話したのだが、『森コロ』の秘密を公開しよう。

『森コロ』の隠れた意図は、奈良をそこかしこに登場させることだった。
前書きから後書きまで、大仏殿から平城京まで歴史も建物も奈良をアチコチに登場させている。取材した人物も組織も奈良が多い。

これは意図的にやったことである。まあ、近くだと取材も楽……というのもあるが、それなりに私も奈良人であることを意識していた。

それなのに、奈良の反応が弱い(;_;)。
奈良の書店ではあまり見かけないし、地元奈良新聞も取材に来ない。
ここで奈良の後進性を感じるのである(やつあたり)。

黒滝村

2005-08-24 16:47:13 | 時事ネタ
今日は奈良県の黒滝村に来ている。
吉野林業の一角で、本ブログに何度かコメントをいただいているでき杉さんらがいるので会うためだ。山仕事の現場も見せてもらった。

詳しいことはまた別の機会にするが、とりあえず温泉につかれたから満足。

泊まった「森の交流館」では、夜の料理の最後に、めんぱの汁物が出た。
めんぱとは、ヒノキの弁当箱で、山行きさんは、昔ここに味噌とネギ、いりこなどを入れて水を張り、焚き火で作った焼き石を放り込むことで味噌汁をつくった。
それを応用した料理である。




森林セラピー

2005-08-23 12:04:20 | 仕事関係
「森林療法のすすめ」(上原巌・著、コモンズ刊)を読み始めている。

次の出版のネタにならないか、という思いからである。(おい、田舎暮らし本はどうした、チェンソーアートの本はどうした、というなかれ いろいろ考えているのだよ)

正直言って、森林療法に関しては『里山再生』の中で扱っており、上原さんも知っている。今更という気持ちもないではないし、すでに林野庁など行政も乗り出しているので、ヨイショ本になるのもシャクだ。

しかも森林セラピー(国の言い方)は、今のところ現象面ばかりを追って、科学的な裏付けが少ないように思う。「新月伐採」なみだ。

森を歩くと気持ちよい、とはいうが、太古の昔は森こそ魔物の世界だった。だから人は木を伐るのは楽しいと感じる……なんて書いたら売れないな(苦笑)。

皆さん、森林の心理的効用を信じます?

曲がった木をまっすぐ製材

2005-08-22 11:57:37 | 林業・林産業
実は、気になる新技術がある。

小耳に挟んだのだが、欧米では、すでに曲がり材をまっすぐ製材する機械が出回っている、というのだ。
根曲がりした丸太を、曲がりに合わせて製材し、それをちゃんとまっすぐの板に延ばしてしまうらしい。

考えてみれば、通直の木でも、製材しただけでは反ったり曲がるのは当たり前。それを乾燥の過程でまっすぐにしている。丸い木を四角く製材するのだから、絶対必要な工程である。だから、曲がり材でも可能なはずだ。


でも、ちょっと目からウロコ。

この技術があれば、今は曲がり材だからと値段のつかなかった材も、通直と変わらなくなる。普及すれば木材業界に多大な影響が出るのではなかろうか。
だいたい、拡大造林期に植えたスギ品種の中には、やたら根曲がりするものが多い。
その木は、せっかく伐期が来ても一番太い元玉(根に近い部分)が売りものにならないからと、捨てられている。

誰か、この製材機についての情報、お持ちの方いませんか。日本でもどこかに導入していないでしょうか。

国産材のツーバイフォー

2005-08-21 17:45:20 | 林業・林産業

先に海野さんが、コメントで「国産材のツーバイフォー材」など新たな試みを紹介してくれました。

私も、「外材のツーバイフォー材が売れているんなら、国産材でもツーバイフォーを作れば良いじゃないか」と某シンポで発言したことがあるのだが、言われた方は心外そうだったな(^^;)。まるで敵の軍門に下るような感覚に捉えたのだろうか。
それが遅れている証拠なんだけど。

考えてみると、ツーバイフォーという構法および寸法が木材・建築業界に与えた影響は非常に大きい。好き嫌いは別にして、無視できないはずだ。
私も日曜大工的にデッキを作ったりした際に、ツーバイフォーは使いやすかった。
板と角材の中間的で、両方の用途に通用する。規格がみんな同じだから、悩まないで済む。

また3mとか4m、6mなどに限った製材寸法も考え直すべきではないか。
1mとか2mのような短い木材を使った家づくりを行えば、製材だけでなく山からの木材搬出も大きく変わる。
2mまでなら、ボランティアなど素人が、一人でも担いで山から下ろせるだろう。
モノレールなどに積載して下ろすこともできる。

すると、切り捨て間伐という山を荒らし、資源を無駄にする野蛮な作業も減るかもしれない。


外材問題

2005-08-20 11:19:49 | 林業・林産業

外材問題というと、まず普通の人が想像するのは、価格。安すぎるという。
次に、腐りやすいとか防腐剤が使われているとか。
さらに輸送距離が長くエネルギーを多く使う点。
やつあたり的には、木目が好ましくない、いい木の匂いがしない……など。

 しかし、輸送距離以外はみんな反論できてしまう。

それより私が気にしているのは、外材の樹種がはっきりしないことだ。
ラワンと言っても何十種類の木材の総称かわからない。
米ツガ、米マツ、あるいはスプルース。ホワイトウッド
みんな木材の名称(商品名)であって、樹種ではない。生物学的には属名だ。
その下に何種類の種名があるかわからない。

SPF材など、スプルース、パイン、ファーの3つの属名の総称である。
だから50種類を越える樹種が含まれているという。

樹種が変われば、当然材質も変わる。強度も色も耐蝕度も。
それなのに、みんな十把ひとからげ。

 一方、日本人はスギ1種さえもオモテスギ、ウラスギと分け、さらに産地によって区別してきた。吉野杉、秋田杉、智頭杉、飫肥杉……。
この気づかいを、国産材だけでなく外材にも考えるべきではないか。

そんなことを『森コロ』にも書いたのだが、この点について森林・林業界からあまり反応はない。
だが私は、国産材が外材に対抗する新たな切り口だと思っている。

 むしろ反応したのは、建築業界の人だった。
そんな書き込みを見つけた。
もちろん樹種が違っても強度的には問題ないという「反論」はあるが、
外材使用の盲点と気づいたらしい。トレーサビリティ以前の問題である。

 建築業界に負けず、木材業界も勉強してくれ。


手持ちが尽きる

2005-08-19 12:02:20 | 出版後の反響

かなりの部数の注文が舞い込んだ。
我が家に残っている分のほとんどだ。
ありがたや、ありがたや
すぐ梱包、すぐ発送。こういう仕事は早い(^o^)。

おかげで手持ちは、2、3冊しか残っていない。
また版元に注文しとこうかな。
※洋泉社の人、読んでいたらとりあえず30冊送って下さい(笑)。

先日逢った某大学の助教授は、拙著『日本の森はなぜ危機なのか』(平凡社新書)を
ゼミの教材として使っているという。それも経済学のゼミだ。
ありがたや、ありがたや
もともと『森コロ』は、『森・危機』の続編という位置づけなんだから
後期のゼミは、『森コロ』を使ってね(^∧^)。


書評5(ビーパル)

2005-08-18 13:50:53 | 書籍・映画・番組など

ビーパルに『森コロ』の書評が載っていると連絡を受けた。
あわてて書店に走る。
あまり大きな扱いではないが、「実質的には森林大国でありながら、その資源を有効に使えないでいる日本」から始まり
「日本の林業の今が学べる一冊」と結ぶ。

 ビーパルとは比較的相性がよくて、これまでの著作もかなりの頻度で書評を載せてもらっている。ただ今回は、あまりアウトドアとは関係ないからなあ、とちょっと弱気だったのだが、感謝。

 ※洋泉社の人、これを読んでいたらチェックね。

 考えてみたら、雑木の木工もチェンソーアートもビーパル向きかもしれない。
それに日本の山と林業が、今どうなっているのか知ることは大いに関係がある。
よし、これを機会に記事を売り込もう(^o^)。

近頃、私の書きたい記事を書かせてくれる媒体が減っているので困っているのだよ。
私の指向が一般向きではなくなってきたのか、世間が世知辛くなって幅広い話題は好まないのか。ヘンな記事も少し載せちゃえという遊び感覚がないよなあ。


政策CPプロジェクト

2005-08-17 14:42:49 | 政策・行政関係
大阪大学の「政策コミュニケーション・プラットフォーム・プロジェクト」というところから手紙が来た。

総選挙に向けて、「これからの政治において議論すべき点(政策議題)」を募集し、それを候補者に質問する事業を行っているらしい。そしてインターネットで公開して、投票行動に活かそうというもの。そこで私にも政策議題を提供してくれというわけだ。

しかし私が書くとなると、やはり森林・林業政策とか、地域づくり関連になるかなあ。面白くない。門外漢の北朝鮮問題とか少子化・保育策とか書いてやろうか(苦笑)。
しかし、今回は誰が何と言おうと「郵政選挙」だから、地味な議題を出しても、ほとんどかすむよなあ。

郵政民営化より森林組合民営化だ! と提案したらウケるかな。

どうしようかなあ。ウケねらいは止めて、真面目に考えよう。

ジュンク堂書店なんば店

2005-08-16 23:06:01 | 出版後の反響
昨日のことになるが、大阪・なんばに出ていて、ジュンク堂を覗いた。
おお、『森コロ』がまだ積み上げてある。

数えてみると……ひい、ふう、みい……おお、16冊もあった。
販売直後より高い(笑)。

発売2か月もたつと、徐々に店頭から本が消えるのが今の書店。売れても追加してくれないしね。
その中で、今も積んであるだけで嬉しい。

ただ、書棚の方は、1冊背表紙を見せているだけ。
思わず抜き取って、ほかの本の前に置いた。オイオイ