大分県九重町に、「九重夢大吊り橋」が完成したニュースをやっていた。
全長390m、高さ173mの日本一の歩道吊り橋だそうだ。それまで日本一だった栃木県那須もみじ谷大吊り橋の全長320mを抜いたとか。
でも、どちらも渡った先に何もない、渡ることに意義のある観光吊り橋である。ようは展望台だ。
最後の村おこしネタは風景か、と思った。最後の箱モノかもしれない。まあ、妙な展示館やらお城やら公園などの村おこしに比べたら随分マシかもしれない。ハードではあるが、土地の破壊は最小限だし、維持管理にさほど金もいらないだろう。風景見せて喜ばせるのなら、手間暇も少ない。
かつて宮崎県綾町の照葉大吊り橋(全長250m)は、観光客が殺到して、何十億円と稼ぎだし十分元を取ったはずである。私が行った時は、閑散としていたけど。
吊り橋に夢を見ているのは、実は観光客ではなく、地元民である。
しかし、本来の吊り橋といえば、奈良県十津川村の谷瀬の吊り橋だろう。全長297m、高さ52m。かつては日本一だったというよりも、ここは生活道路であることが重要だ。今でこそ観光化しているが、空いている時は、地元の人がバイクで走っている。もちろん渡った向こうに集落がある。何より、あくまで道だから無料だ。観光橋のように金を取ったりしない。歴史とか生活の臭いがする。
吊り橋は集客装置にはなるが、風景だけから地域全体へと魅力を広げないと観光は長続きしない。九重町にはそんな工夫はされているかな。
ちなみに地元・生駒山系にも、大吊り橋がある。大阪府立公園内の星田園地だが、「星のブランコ」(写真)と名付けられた全長280m、高さ50mある堂々としたものだ。観光橋ではあるが、無料だし、遊歩道の一部である。
意外と知られていない穴場。