森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

山と住まいを結ぶ新潮流

2005-07-30 16:33:45 | 林業・林産業
昨夜にアップするはずが、事情で遅れました。

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大層なタイトルだが、ちょうど我が家に届いた「農林経済」誌に私が寄稿した記事のタイトルである。

国産材が売れないのに業を煮やして、林業家が家づくりにも関わり出した動きを紹介している。具体的には、「東京の木で家を造る会」と、兵庫の「sound wood(s)」のことを書いた。どちらも『森コロ』で触れたことだから、よく読んでね。

ようするに施主が林業を知るということ、そして林業家が木の末端ユーザーを知るということがポイントだ。
とくに「sound wood(s)」は、施主が直接山に入って、自分の家になる木を選ぶというシステム。究極の地域材、究極の産地認証だろう。同時に木材という商品に大きなドラマ性を付与する可能性を感じる。

一見、隙間狙いの小さな試みのように感じるが、私は、これまでの木材の流通に異議を申し立てるとともに、新しいビジネスモデルを作り上げる動きになるのではないか、と感じている。
今後、木材以外でも産地と消費者の新しい関係が造られていくかもしれない。

実は、これを『森コロ』に入れたのは、土壇場であった。最初の予定にはなかったのに、急遽1章分増やして入れたのである。その意味では、最後のネタとも言える。

辻谷達雄氏

2005-07-29 21:30:34 | 時事ネタ

そまびと選手権の際に訪れた川上村でお世話になった辻谷達雄さんが、平成17年緑化推進運動功労者内閣総理大臣賞を受賞した。

実はお逢いした時に聞いていたが、一応オフレコ扱いだったのだ(^^;)。もうニュースになったからOKだろう。
泊めていただいた時は、26日に行われる首相官邸での表彰式にネクタイをするかしないかで話題にしていた。案内状には、「服装は気づかいなく」とある。私は、もちろん「クールビズですよ」とノーネクタイを勧める。

 ちなみにこの賞の受賞者総数は24。しかし、彼以外は全部団体だ。個人受賞は珍しいのではないか。林業関係者もそんなに多くない。
辻谷さんは、この前の植樹祭では、天皇陛下と直に話をしたそうだ。今や奈良県の有名人である。

 私は、彼の半生を聞き取り、「山は学校だった」という本をまとめたのだが、それから随分たち、その後もいろいろ話題があるので、続編を書こうと盛り上がっている。そのタイトルはもう決まっている。

山は病院だった」(笑)である。別によぼよぼという意味ではない。むしろ山の生活が身体によくて病気もしない、病気も治るという意味である。
 今は森林療法(セラピー)が流行りつつあり、国も本腰を入れているが、それに先んじた本になるかも。


北海道と九州

2005-07-28 16:26:11 | 出版後の反響
北海道の友人よりメール。
『森コロ』を読んでくれたとか。感謝。

福岡の友人より暑中見舞い。
『森コロ』を読んでいるとか。感謝。

とりあえず、全国発売していることは確認された(^^;)。

ちなみに来週、北海道新聞の取材を受けに、東京に行くことが決まった。

書評2(農林経済)

2005-07-27 16:15:32 | 書籍・映画・番組など
農林経済に書評が載った。

写真で添付してみたが、読めるかどうか。
ともあれ、内容は褒めちぎっているようで、ちょっと気恥ずかしくなる

「腕利きの大工の家づくりを見るようにしっかりした構成で、森林や木材、住宅などに関心のある人は読まないと損をする」だって。

ちょっと種を明かせば、実は『森コロ』に書いたいくつかの章のテーマは、
先に「農林経済」誌に掲載しているのだ。
たとえば、中国への木材輸出のほか、感性から見た木の価値、ウッドマイルズ、チェーンソアートなどである。文章は全面的に書き直しているが、内容は同じ。

農林経済誌は、私にとって林業に関して自由に書かせてくれる貴重な媒体。
というより、ほかに林業について書かせてくれる雑誌なんかないんだよな。
読者層も、農林関係者だから、あまり一般向きにかみ砕かないでもよい。



カブトムシと割りばし

2005-07-26 16:21:51 | 木製品・建築
川上村を訪れて、いろいろお土産を手にした。

まずカブトムシ。
これはそまびと選手権の会場にあった森林組合経営の店「そまびとの家」で
二匹を籠に入れた状態で525円だった。

実は、大会会場に使われたのは森林組合の木屑リサイクルセンターである。
ようするに廃材・残材をチップにしている。その一部は、会場周辺の山に捨てられていた。いや、マルチングして雑草を生えないようにしていた。
すると、チップの中でカブトムシなどが育ったわけ。それを集めて売っている。
だから、これも林産物 ←写真

それから、割りばしも買った。ところが泊めていただいた辻谷さんのところでも
親戚が作っているので、と大量に割りばしをいただいた。
当分、割りばしに不自由しない。よし、書評情報を寄せていただいた御礼は、
川上産の割りばしにしよう

もちろん割りばしも林産物。もともと吉野林業が発明したものだ。
それが今や、風前の灯。
10年くらい前までは、まだ国産割りばしが半分くらいあったのだが、
今では9割以上が輸入物だ。

それでも吉野の割りばしは高級品として命脈を保っている。
だから、私も積極的に使うつもりだ。
ただし、それが輸入物だと意味がない。
そこで厳密に国産とわかるものだけを購入している。素材が、スギかヒノキのものだ。ちなみに割りばしに関しては、スギの方が高い。
できれば天削、あるいは利休と呼ばれる形状のモノにしたい。外国産にはないからだ。
ただしエゾマツ、トドマツの割りばしは、おそらくロシア材だろう。安物は、ポプラの一種アスペンなど。

皆さん、日本の「森」を活かすために、林産カブトムシと国産割りばしを買いましょう。

そまびと選手権雑感(^o^)

2005-07-25 23:37:08 | 時事ネタ
今回のそまびと選手権は、これが最後ということもあって、なかなか盛り上がった。
男子30チーム、女子10チームも参加していた。
でも、あえて指摘すると、地元の人は少なかった。かき集めた地元出場チームの人々と、スタッフを除くとあまり見学にも来なかったのではないか。

対して、地元以外の参加者は元気(^o^)。
奈良県以外では、北海道や山形、長野などからも参加していたそうだが、みんな常連となって、この大会を楽しみに、しっかり練習もして参加しているらしい。
打ち切りを悲しんでいるのも、外部の人たちだ。

やっぱり主催側は疲れちゃったんだな。お金もかかるし。
財政難に加えて、店も少ないから、地元にあまりお金は落ちないだろう。
それが20周年を期に打ち切る理由だろう。

ただ、五条中学校の女子バレー部が大挙して参加して、大会に花を添えていた。
顧問の教育方針らしいが、大会に参加するだけでなく、踊りも披露して、どちらかというとむさ苦しい野郎どもが多い会場を明るくしていたよ

川上村のそまびと選手権

2005-07-24 22:18:54 | 時事ネタ
実は昨日(23日)から奈良県の川上村に行っていた。吉野林業の中心地である。

目的は、本日開催の「そまびと選手権」の見学。
いわば林業技術の運動会?みたいなものか。
今年で20回目を迎え、今年がファイナル。つまり打ち切りである。
その理由も、だいたい探って、なるほどなあ、村おこしもつらいよ、と思ったが、内容については、また順々に紹介しよう。ほかにも林業関係の話をたくさんの人とできた。

ただ会場で知り合った何人もが、『森コロ』を読んでくれていて、ホッ
疑問や質問もされて、なかなか参考になった。
なるほど、読者はこう取るのか、とか、意外な反応や感想を聞かせてくれる。

この経験をネタに、また次回作を練る(^o^)。

ちなみに写真は、決勝戦で一番盛り上がった丸太切り競争。なお大会の詳しい様子を知りたい方は、トラックバックを参考にしてください。

書評1(出版ニュース)

2005-07-22 00:00:05 | 書籍・映画・番組など
出版元から、FAXが流れてきた。
『出版ニュース』7月下旬号に『森コロ』の書評が載ったというお知らせである。
めでたく、出版物に掲載された書評第1号となった。

冒頭を少し引用すると
『国土の7割近くが森林で、消費者も国産材を求めているにもかかわらず、わが国の林業は瀕死の状態にある。そのうえ、製材所も1本の丸太から多くの木取りを行うのではなく、高く売れる部位を切り出して、残りを処分する「トロ食い」と呼ばれる状況が横行している。……』

多少、私の書いた点とニュアンスの違いはあるが、まあ無難に拙著を紹介してくれた。
まずは、感謝。

発行より1ヶ月がすぎ、そろそろどこかに載るだろうと思っていた。
出版元は、発行と同時に各新聞雑誌などの書評欄を扱う部署に献本をするわけだが、
それを担当者が手にとって、扱うことに決め、書評子に渡し、
読んで、書くという作業を考えると、1ヶ月以上かかる。
さらに書かれた原稿が掲載されて発売されるまで2ヶ月以上の時間が必要なのだ。
だいたい月間ペースで動く媒体が大半だから、2号は先になる。
6月に出版した本は、8月発売の9月号といったところだろうか。

実は、書評の掲載というのは、出版元や著者からすると、
どこに載ったのか把握するのが大変。
献本したうちの、どこが採用して書評を書いてくれるかわからない。
乗せた雑誌等を出版元に送ってくれたら助かるのだが、そうでないところも多い。
また献本していない媒体に載ることも当然ながらあるわけで、
それら全てに目を光らせるのは不可能だ。

ぜひ、本書の書評が載っている媒体を見つけたら教えてください。
こちらが把握していないところで発見された方には記念品を差し上げます(ホントか??)
狙い目は……、建築雑誌かな。

幻の写真12(出雲ドーム)

2005-07-21 00:52:41 | 幻の写真・図
そろそろネタ切れになりつつある、「幻の写真シリーズ」。

これは島根県の出雲ドーム。戦後初の巨大木造建築物だ。
実は建築基準法で木造建築はがんじがらめの規制があり、二階建て住宅以外は建てられなかった。
それが多少緩められて、1992年に出雲ドームが巨大な木造建築物第1号として建てられたのだ。

今では各地に巨大な木造ドームが建てられ、出雲ドームは小さな部類に入るほどだけど、
それでも、中に入ると大きすぎてカメラには収まりませんでした(^o^)。
本当は、高さを50メートルを越えるものにしたかった。すると野球の公式試合に使えて、日本初のドーム球場になったからだ。でも、古代の出雲大社を意識して、あえて48メートルにしたのだそうだ。

ただし、このドームを作っているのは、米材の集成材。日本の木を使っているわけではない。
その点は残念。

ちなみに、この島根行では、出雲大社と松江城も見学した。
つまり古代から近世、そして現代の巨大木造建築物を見られたというわけ。
木造視察に島根は向いているかも

だれが『森コロ』を読んでいるのか

2005-07-20 12:21:13 | 出版後の反響
タイトル、単に本の題をもじっただけです

前作の『田舎で起業!』は、わりと読者からメールが来た。
今回は少なめ。ちょっと売行きが心配……。
その代わり、このプログを通じたりmixiを通じた反響がある。
インターネット界も変化しているということか。

生駒に住んでいる人から「生駒の書店で見つかりません」という連絡が来た。
なんなら手渡ししてもよいのだが、それは最後の手段(だって恥ずかしい)だから、
頑張って探し、大阪でも出て買ってもらうことになった。

それにしても、書店の流通問題、根は深い。
規制(本の再販制度)に守られているために努力が足りない。
生駒にはたくさんの書き手がいるのだ。本書も奈良のことをたくさん書いている。
でも書店の人は全然把握していないのではなかろうか。

そのうえ流通過程が複雑化しすぎて客の要望に応えられなくなり、
結果的に需要を減らしている。
客が書店に注文出しても、下手すると届くのに何週間もかかる。
それどころか、客注をいやがる書店だってある。

なんだか、『森コロ』に書いた国産材の問題と似ているぞ。


追伸・「木質バイオマス日記」よりトラックバック受けました。ありがとうごさいます。
こちらもTB返ししておきますね


トマトと林業

2005-07-19 12:07:56 | 林業・林産業
北海道からトマトとトマトジュースが送ってきた。
「田園倶楽部北海道」という会社からである。実はこの会社、『森コロ』で紹介した宮崎の相互造林の子会社で、日本最大のガラス温室(7,1ha!)で高糖度トマトを育てている。目茶苦茶甘いんだな、これが。

ありがたく中元としていただいた。私も御礼にもならないが『森コロ』を1冊多めに送った(^o^)。

それにしても中国に木材輸出するような林業の会社がなぜトマト? と思う人も多いだろう。
そこにあるのは農林一体の考え方だ。農業と林業を区別して考えることから、日本の林業は衰退したのではないか、と思うところがある。私も前作『日本の森はなぜ危機なのか』(平凡社新書)で書いたが、日本の山村では、農業と林業は分離不可のものだった。山から多彩な収穫物を得る中で、農作物もあれば木材もある、草花や葉や樹皮、樹液まで商品にする……という産業だった。今でもアグロフォレストリーという言い方があるとおり。
それを現代流にやっているのが、トマトと林業(^o^)。わかりにくいかな。

私も、林業で木を伐るのを自然破壊という声に対し、「畑から大根を収穫したら自然破壊か」と言い返していたが、似たようなものである(ちょっと乱暴)。

ちなみに「森を殺す」というタイトルから、伐採を思い浮かべる人が多い。しかし日本の森の現代問題は、むしろ伐採が行われないことである。伐採は収穫であり、収穫しないから森が荒れる。ほかの国と事情が違うのだ。

キャンプ場の薪

2005-07-18 12:05:48 | 林業・林産業
昨日、キャンプから帰ってきた。
向こうは携帯の圏外だったので、携帯から記事を送ることはできなかった。

さて、『だれが日本の「森」を殺すのか』に関する話題は何もないのだが、キャンプ場でちょっと感じたのが、炊事に使う薪。これはキャンプ場で販売しているのだが、みんなスギの背板(丸太から角材を取り出した残りの部分)であった。一部は割りばしなどの材料になるが、最近ではほとんど利用がないはずだ。
背板ではちょっと風情がないが、燃やしやすいから初心者向き。

キャンプ場の薪使用量は、全国で年間どれくらいになるだろう。炊事だけでなくキャンプファイヤー用もある。仮に全国3000カ所のキャンプ場(あるいは野外活動場)で、夏の40日間キャンプで、1日10キロの薪を使うと考えると、1200トンの薪を使用することになる。年間を通せば、その2倍くらいを考えてもいい。

これも立派なバイオマスエネルギー。焚き火セットとして売り出せないか。

実は、丸太にチェンソーで切り込みを入れて炭火を入れると、木株は永く燃え続ける。上にヤカンや鍋を置いて料理もできる。これを「木ろうそく」とか「木株コンロ」「切り株いろり」なんぞと呼び、商品化する案を出したことがある。正確に言えば一部スェーデンの木が輸入されたりしている。ここまで外材に席巻されることはない。山村の商品として売り出したい。

この案を、奈良県林務課に話すとのってくれて、一時森林技術センターで燃焼時間の実験なども行った。
残念ながら、まだ商品化されていないが、私はまだ諦めていない。いくつか課題はあるが、十分クリアできる。売れたらロイヤリティ寄越せ、といいたいところを堪えて、山村振興に役立てば結構である。

まぼろし写真11(やりがんな)

2005-07-15 13:52:05 | 幻の写真・図
本日、出版元から写真が返ってきた。
ここで公開している写真とずいぶん食い違うが、それも一興。

そこで今回は、古い木材加工技術であるやりがんなの写真。
平城宮復元工事で行われている大極殿の建設現場である。
意外と若い宮大工が多かったのだが、これはあえて若手に仕事をさせることで
技術の伝承を行うためだそうである。逆に言えば、今時宮大工を希望する
若者がそこそこいるということだ。

やりがんなは、見たとおり槍のようなカンナ。これで木材の表面を削る。
すると目に見えないような毛羽立ちができ、それが木材によいらしい。
近代的なカンナ掛けをせず、あくまで奈良時代の技術で復元を行うという。

とはいっても、クレーンなど機械類は使うし、そもそも合板やボルト類も
多用している。その点については本書を読んでいただきたいが、
復元はそんなに簡単ではないのだ。

ちなみに明日は、娘のキャンプにつきあって留守。
毎日自著の話題だけで続けてきた本プログだが一服させてもらおう。
携帯から送るほどの話題が、キャンプ場にあるとは思えないしね。

晴れろ!

森林組合

2005-07-14 15:42:08 | 時事ネタ
先日書いた、「郵政民営化と森林組合」の項に関して、

>森林組合は国の機関ではなく、公務員でもありません。

というメールが来た。
もちろん、わかっている。森林組合の定義を明確に説明しようとしたら結構ややこしいが、
基本的に森林所有者が集まって作られる組合組織であり、職員は組合に雇われている。
国など行政機関の一員ではない。根拠となる森林組合法もある。

その点郵便局は、現在は郵政公社だが、
身分は公務員と同等と担保されており、まだ「国の機関」と言って差し支えないと思う。

私も誤解されるような書き方をしたかな、と反省するが(余談だけど、プログの文章と
いうのは、なんでこんなに軽いんだろ。紙に印刷されるのが前提の文章は、それなりに
チェックして書くけど、プログとなると、HP以上に脇の甘い文章を書いてしまう。)
今回の文意は、国から特権を与えられているか否か、である。
厳密な意味での組織形態や身分はあまり興味がない。

郵便局や森林組合だけでない、農協も漁協も生協も宗教法人も国会議員も、
なんで? と思えるほど意味のない特権がある。

それでいて、民間でもできる事業に参入する。
森林組合の場合、作業班なんていらないのではないか。
民間の山仕事請負会社の仕事を奪いかねない。もし民間会社がなければ、
自ら設立して、アウトソーシングしたらどうか。
補助金の事務も、自分でできる森林所有者なら任せればよい。
森林組合を通さねば受け取れないぞ、というのは酷すぎないか。

逆に、森林組合にしかできない仕事がある。
地域森林計画の立案や所有者のとりまとめなどはそうだろう。
そんなコンサルティングやコーディネイト役に集中してほしい。

転送

2005-07-13 16:24:14 | 出版後の反響
午前中、洋泉社から注文した『森コロ』が宅配便で届く。そのうちの幾冊かを、別の箱に詰め替えて、すぐに宅配便に持っていく。転送である。
考えてみたら、郵送費を無駄に使っていると言えなくもないが、全部出版社から直送させるのは逆に手間暇かかるしなあ。

そう言えば、アマゾンで本を注文して、それも宅配便で届いた。今では本代が1500円以上なら送料がいらないから、注文しやすくなった。重い本を自分で持って帰ることもない。
だいたい私の買いたい本は、生駒の小さな書店で扱っていないものが多く(拙著と同じ)、大阪の巨大書店で何冊かまとめ買いして、重い目をして持ち帰ることになる。オンライン書店だとその負担もないわけである。 書店が衰亡するわけだなあ、と思う。『森コロ』もオンラインで購入した人も多いのではないか。

たまにインターネット検索をしてみると、『だれが日本の「森」を殺すのか』でヒットするのは今では400件を越すようになった。しかし、ほとんどがオンライン書店のものである。
1冊2冊の本を宅配するということは、エネルギー消費も多いだろう。環境のことを考えたら、望ましいとは言えない。しかし、これも日本の書籍流通のていたらくがもたらした現象である。もし身近な書店でも客注で数日以内で手に入るシステムを築いておけば、オンライン書店の興隆は今ほどなかったはずである。 『森コロ』を通じて、『本コロ』(『だれが「本」を殺すのか』)の世界をかいま見る。