スカは記者たちを前に、57年前の東京五輪の思い出を語り出しました。女子バレーで金メダルを獲った“東洋の魔女”と称えられた女子バレーの思い出です。ほかにマラソンのアベベの話などもしましたが、スカにとって“東洋の魔女”の金メダルの獲得は特別な思いがあるようです。
57年前の女子バレーの金メダル獲得は、日本国民がこぞって喜んだもんです。体格に劣る日本人が“回転レシーブ”なんて奇策を弄し、強豪の諸外国を次々に破り、とうとう優勝したのです。偉業の達成でした。
でもその後がいけません。なぜ“東洋の魔女”が金メダルを獲れたのか、メデァが彼女らの練習状況を収めた映像を公開したんです。メデァとしては“東洋の魔女”たちがこれほど過酷な練習に耐え世界一になったんだ、と言うことを伝えようとしたのだろうけど、それが裏目に出たんです。そんなことに気が付かないメデァの姿勢も情けなく思いますが、当時の日本体育界の現状をつまびらかにした事件?でした。
五輪前の女子バレー選手への練習は過酷でした。監督の大松博文が選手たちをしごきにしごいて、世界一んのバレーボールチームにしたんです。大松は選手にボールを叩きつけたりしてました。今では考えられないほどの、練習の名を借りた選手への虐待でした。
でも当時の日本の体育界は、そんなもんだったんです。敗戦後10数年しか経っていません。教師も体育指導者もヘータイあがりが多い時代でした。国民の多くも生徒や選手は引っ叩いて言う事を効かす、ことにそれほど抵抗を示さなかった時代ではあったんです。
日本のメデァもそんな古臭い感覚だったんでしょう。女子バレーが金メダルを獲った後、「こんなに厳しい練習に耐えて金メダルを得たのだ。」と嬉々として世界にその練習風景を流したんです。
欧米各国から非難が集中して発せられました。「選手に対する虐待行為だ!」「人権無視だ!」として。
欧米のそんな反応に、日本政府は驚いたのです。なぜ非難されなければならないのか、政府中枢の者はだれ一人理解できなかったのです。当然です。政府中枢の者は戦前に教育を受けたのバッカだったのですから。
続きます。