ウォール街で注目されているニュースレターに「Hulbert Financial Digest」というのがある。42のニュースレターを分析して、発行者の相場観を集計している。
3月初めには株式投資への強気比率は66%であった。それが先週末には38%まで大きく落ち込んだ。相場が大幅な下落を記録し、編集者は目先、慎重論に傾いた。相場の下落はモメンタム株のハイテク、バイオの大幅な下落で相場のセンチメントを悪化させた。
モメンタム株は日本語にすれば「材料株」というところか。年金運用者などバリュー投資の運用者がもっとも避けたい銘柄群である。
しかし20世紀の最高の運用者といわれるピータ・リンチ(フィディリティのマジェラン・ファンド)は銘柄選択に当たって、熱心に追及したのは「テンバーガー」(10倍になる株)であった。リーマンショック後、強気相場は5年間を経過した。
この間、S&P500採用銘柄でベスト・ワンの値上がりを記録したのはバイオ関連のリジェネロン(REGN)で27倍になった。驚異的なパフォーマンスで、依然として新製品の開発に豊かなパイプラインを有し業績の成長が続いている。過去5年間にはモメンタム株として、バリュー投資家が避けてきた銘柄だが最高の成果をあげた。
今回のウォール街での“モメンタム株叩き”は一種の魔女狩りのような感じであった。
ニュースレターの編集者が好んで注目してきた銘柄群だが、見切りが集中した。
ウォーレン・バフェットは「市場が弱気になったとき、私は強気になる」を実行して成果をあげてきた。最近の相場環境はバフェット好みの様相を呈してきた。