NYダウ平均は小幅安で引け、上昇は7日間で止まった。しかしS&P500,ナスダックは5週間の連騰。先行きには暗い影はない。相場の好調の割に高揚感はなく、静かなブル・マーケットという感じだ。
シカゴの運用会社ウィリアム・ブライヤー社にインターナショナル・グロース・ファンドというのがある。2000年に3億5000万ドルであった運用資産が、現在では36億ドルと10倍になった。リーマンショック、ユーロ危機という100年に1~2度を経験した10年間に大きく成長した。
運用者はW・ジョージ・グレイグであるが、日本株でも大きな成果を上げてきた。2011年3月の震災後にファーストリテイリング(9983)に投資した。当時の株価は8800円まで売り込まれた。最近は東京市場でのスターになり18,000円台に乗せた。震災後も日本経済は立ち直ると確信し、世界的な企業を目指すユニクロに注目した。
同ファンドの過去3年間のパフォーマンスは年率+19.13%である。いまユニクロの強気論は簡単だが、1年前には相当の勇気が要った。
「経営者はコスト削減に成功し利益率を維持しながら成長を続ける。向こう12ヵ月には世界での事業展開が拡大する」とグレィグは口にする。
彼の成果をみて想起したのはウォーレン・バフェットの本年の株主宛ての手紙である。「われわれは株価が下がるのを歓迎する。投資対象の株が下落することは、それだけ価値が上がることだ」と語っている。昨年11月に投資したIBMに注目したあと株価は不振であったが、静かに買い続けた。
ユニクロに注目したグレィグも震災で日本の市場が壊滅的な打撃を受けたのをチャンスとみた。
この種の見方をする投資家は日本には少ない。口にはしても行動が伴わないのが現状である。
最近の外人投資家の日本株買いの意味を静かに考えてみる時である。