ヘッジファンドの運用者によっては運用資産の半分しか投資していないケースが出てきた。
ヘッジファンド投資の専門家によると、世界の投資の環境が不透明で、投資戦略を明確に立てるのが困難と判断しているからだという。
一般には「ヘッジファンドはロング(買い)とショート(売り)の両方の戦略をとるので、不透明なときはショートを増やす」とみる向きもあるが、それは間違いだ。ソロスやジュリアン・ロバートソンが活躍した当時とは異なって、1998年のLTCM破綻以降に生まれたヘッジファンドは、両巨頭の失敗が頭に焼きついており、なによりも「生き残り」を投資哲学の第1に置く。
そんななかで目立つのは資源や市況関連のヘッジファンドである。商品フアンドと異なって、運用者はトレーダー出身というよりも、石油、非鉄、貴金属などの専門のアナリスト出身者や、大学で鉱物学を専攻した人たちが成功している。
特に昨今のように商品相場の間を、投機資金が雁行的に動くような相場展開のときは、「わが意を得たり」と好調なパフォーマンスを上げる。
われわれが2003年半ばから投資している資源関連ファンドがある。
「ことしは金融市場の危機と株安で幕が明けた。鉱工業生産に関連のある商品は株安に連動したが、金とソフト・コモディティ(農産物など)は強かった。金とソフト・コモディティのロングで利益を上げ、同時に株式先物のショートでも儲けた」と、ことし1月のレポートには書いている。
このファンドは月間で+7%の上昇であったが、伝統的なマクロ運用の平均よりも好調であった。
このような資金が活躍する場が、当面は続きそうである。