マジェラン・ファンドといえば、日本でも「ピーター・リンチが世界一にした投信だ」と連想する人も増えてきた。
ピーター・リンチが1977年にわずか1800万ドルの運用資産で運用をはじめたが、1990年には77倍の140億ドル(1兆5000億円)と世界最大にした。フィディリティの旗艦ファンドになった。しかし彼は考えるところがあり同年には運用から手を引いた。
その後も順調な成績が続き1997年には新規資金の流入はストップした。後続の2人の運用者はピーター・リンチに負けない成果を上げた。しかし、4人目のロバート・スタンスキーは、ファンドの運用資産が10兆円を超えために、戦略をインデックス運用に転換し、不評を買った。
現在のハリー・ランジは2005年11月に就任し、1年目は別として2007年は+18.8%の成果を上げた。「バリュー投資」「グロース投資」「なんでもあり投資」に分類するなら、自分は「なんでもあり投資」と柔軟性をもつ。昨年はノキア、コーニング、グーグルなどのハイテク株に重点を置き成功した。中国株へもポートフォリオの25%投資した。
フィデリティでは11年間、新規の資金の流入をストップしていたのを再開することにした。これまでは個人年金の401K用に人気があったからだ。
サブプライム問題で波乱の続く世界の市場であるが、この種のファンドを通じて個人の資金が市場に流れるシステムができている。
元本保証型のファンドではなく、「危機」は、どこかで必ず「チャンス」に変わることを、米国の投資家は知っていると、フィデリティは読んだ