足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

2人の天才の行動

2008-01-11 18:25:05 | 株式

債券運用の最高の権威者であるビル・グロス(ピムコの経営者)が、混乱する債券市場で積極的な行動をとりはじめた。

サブプライム問題が発生し、連銀がFFレート5.25%の引き下げを決めた9月、「今回の利下げではFFレートは3%まで下がる」と、だれよりも早く大幅な金利の低下を予想した。

当時、その話を聞いたとき、「そこまでは無理だろう」という印象をもったが、現在では3%説が現実的になってきた(現在は4.25)。ウォール街の投資銀行のなかには2%台のFFレートを予想するところも出てきた。

ビル・グロスは評論家やエコノミストではない。実践家であり、言行一致の人だ。

昨日のウォ-ル街で流れたニュースによると、最近は現金の比率を落とし、債券運用の比率を20039月以来の高水準にした。特に投資格付けの高い住宅抵当証券の比率を高めた。現在の利回りは10年国債の利回り(3.88%)より2.17%も高い。この種の30年債には政府の抵当証券機関の保証がついている。インフレ率が3%としても充分に利益の出る水準である。運用資産1100億ドル(12兆円)の債券ファンドを自ら運用するだけに、その行動には注目したい。

そういえばビル・グロスだけではない。世界的な富豪であるウォーレン・バフェットも、自ら経営するバークシャー・ハザウェイで、金融関連株に積極に投資を始めた。

グローバル化が進んだ東京市場であるが、残念ながらこの種の投資家は日本では皆無である。天才的な投資家は「今日のこと」ではなく、「数年単位」で運用を考える。

時には視点を変えて、この2人の行動の意味を考えたい。

昨日のワシントンでの講演でバーナンキ議長は「政策は後手に回った」ことを認めたという。2人の天才には注目しているはずだ。