新年早々の話題は円相場である。
年末はウォール街での製造業指数(12月)が11ヵ月ぶりの低水準になったことを材料に、円相場が111円台に上昇した。しかし円キャリー・トレードが出て円高に歯止めがかかった。
日本の公定歩合が0.5%と低水準なので、低利で借り入れを行い、高金利資産を求めて資金が移動する。借り入れた円を売り、ドルに替える。
それにクゥエートの政府投資機関のKIAが2130億ドル(23兆円)の資金の運用先として米国の金融関連株に投資をするというウワサが流れて、ドル相場が動いた。1980年代のオイルダラーの活躍の再現が始まろうとしているのか?
サブプライム問題が昨年後半の世界の株式市場のかく乱要因であったが、クゥエートの資金にとっては現在の米国の金融関連株は、長期投資の視点では格好のチャンス到来とみる。
1980年初めに米国株の安値で投資した資金は、その後、大きな果実を生んだ。
オイルダラーだけではない。中国をはじめ新興諸国の政府は、今年は手元流動性を欧米の株式市場での運用を本格化しようとしている。1980年代のオイルダラーの成功体験を先例とする。
サブプライム問題の震源地であった2007年の米国株は、NYダウ+6.4%、ナスダック+9.8%、S&P500+3.5%と、大騒ぎしたわりには堅調であり、ウォール街の底の深さを見せた。
そんな中で金融株は30~50%下落した。
欧米の専門家がアドバイザーとしてついているだけに、ウォール街から距離を置いて市場を見る。
これらの資金が、東京市場へも矛先を向けるか。円相場と日本株の動向のカギをにぎる。