ヘッジファンドや海外の投資銀行が好んで行う取引にキャリー・トレードというのがある。
金利の低い国の通貨を借りて、金利の高い国に投資する。たとえば日本で円資金を調達しそれをドルに換えて、米国の長期債に投資するという方法。1990年代からヘッジファンドの投資戦略の一つになった。リスクは借りた円が上昇した場合と、投資した商品の値下がりである。
このキャリートレードがこれまでの米国を中心とする過剰流動性の原因になったといわれる。
これまではよかったが、問題はこれからである。仮に日銀がゼロ金利を解除して金利を上げた場合に、金利が上昇、円高になる可能性がある。3月の量的緩和の解除いらい気にしていた日本株の悪材料である。
しかし3月9日以降の外人買いは衰えず、世界の過剰流動性は続いている。キャリートレードの縮小という問題意識は間違いであったのか?
この問題に野村総合研究所のリチャード・クー氏は銀行のこれまでの貸し出しが増えていない事実を指摘して、キャリートレードはそんなに大きくはなかったとしている。
3月以降も外人買いが続いたのは、われわれがキャリートレードを過大評価していたからでもある。先行きの東京市場には一安心である。