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1995フランス/ドイツ/ハンガリー
監督:エミール・クストリッツァ
原作:デュシャン・コバチェヴィッチ
脚本:デュシャン・コバチェヴィッチ、エミール・クストリッツァ
音楽:ゴラン・ブレゴヴィッチ
出演:ミキ・マノイロヴィッチ(マルコ)ミリャナ・ヤコヴィッチ(ナタリア)ラザル・リストフスキー(クロ)
わたしはこういう映画が観たいのだ!
もっとはやく観るべきだったのだ。
10年間もほっておいたなんて・・
ナチスが侵攻するユーゴスラヴィア。
抵抗勢力の戦士クロとマルコは、しかし、英雄像とはほど遠い、大酒飲みでばか騒ぎ好きの山師。
ナチス勢力が迫ってきたある日、マルコはクロとその妻、仲間たちを率いて、祖父の家の巨大な地下室に潜む。マルコとクロは地上で戦い、地下では女たちが銃の密造。
しかしある日クロが負傷してかつぎこまれる。(この負傷の理由もまったくひどいもんなんだ)その日から地上と地下では別の時間が流れはじめる・・
という筋書きに無数のエピソードがからみついて、ものすごいエネルギーだ。
名前をわすれてしまったが、動物園の飼育係だった男が、猿を親友に地下を過ごす物語でもあるし、地下で生まれたヨバンが外の世界を知らないまま成長し結婚し、外の世界を知ると同時に生を失う物語でもあるし、友を裏切り恋人を奪い、抵抗の勇士となりながら最後は闇の武器商人として無惨な死に方をするマルコの物語でもあるし、とにかく蔦がぐるぐるに絡まる巨大な屋敷みたいな映画なのだ。
とにかくいきなり爆撃からはじまり、待ちはボロボロ、服もボロボロ、ついに閉じ込められる地下室の陰気で土臭いこと。そんなふうに全ての人が悲惨な境遇にありながら、なんだかんだとそれを日常として剛胆に過ごしてしまう描写がすごい。
爆弾がどかどか炸裂し、ピストルを滅多矢鱈撃ちまくり、そんななかであくまでテーブルで朝食を食べようとかいう、そういう底抜けの生命力とでもいうのか、そんなものに満ちあふれている。
そういう生命力の象徴は地下での結婚式とそれにつづく超ばか騒ぎだろう。
天使が飛び、式が行われ、酒が入り、騒ぎが起き、銃を撃ち、戦車の大砲がぶっ放される(地下だぜ!)
これはまさに地上で行われる戦争の戯画的鏡像だろう。戦争を戯画的に生き延びることで悲惨すら異化してしまうような、不遜だけれど無常を悟るような、そんなアンダーグラウンドな生命力を感じさせる。
どこかで似た映画を見たような気がするのだが、どうしても思い出せない。
ファスビンダー「マリア・ブラウンの結婚」の冒頭結婚式のシーンを思い出す。
あれもあの状況でなお式にこだわる底力にびっくり。
あとは、そうだなあ・・・ベルトルッチの「1900年」みたいな重みかなあ。
ヨーロッパの底力を描いたヴィスコンティやベルトルッチの後継者と言ってもいいのかもしれない。
思い出したらまた書こう。
今年見た映画のベスト5に入るであろう作品かな。
****
ブラスバンドの音楽がもうたまらなく猥雑かつクセ者でよし。
マルコとクロは顔が似ていてときどきどっちだかわからなくなった。
95年カンヌのパルムドール受賞作
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ここが考えるスタートだと思う。
機会を見つけて読んでみます。
さ、さいこーですよね。クストリッツァ!
私はいつぞやに渋谷シネマライズに「ロスト・チルドレン」を観に行き、その時に目にした「アンダーグラウンド」の予告のブラスバンド映像に惹かれて、その翌日にまたシネマライズに行き、本作を観たのでした。
エネルギッシュでした。ジプシー・ブラスも最高。
こんばんは。コメントありがとうございます。
クストリッツァ、他の作品も見なければ!という気分であります。
シネマライズでやったんですねこれ。95年頃は子育てで映画館にいく余裕がなかったころです~劇場で観たかったかも・・
ありがとうございます。
そのようですね!
非常に楽しみです。。