モニターと演奏する快楽について
(というわりとどうでもよいハナシ、かつ写真は本文とは全然関係ないホールのモノです)
先日参加させていただいた第九演奏会。
初の合唱あわせリハを、とあるホールでやったのです。
普段小さな部屋で練習していると、ホールのステージでは演奏するときの音の聴こえ方が普段とまるで違うんでとても弾きにくいのですが、そのホールではいつになく(ってそんなにホール経験があるわけではないんですが)音が拡散していたように思えました。
遠くの楽器の音が聴こえないのですねー。
セカンドバイオリンの後ろの方に座っていると、チェロやコントラバスがよく聴こえない。
木管も遠くで鳴っている。
さらには、自分の周りの人の音ですらいつもより遠い=自分の音が一番大きく聴こえるという、悲しい(笑)状態になるのです。
本番のこういうバランスの悪さはもちろん織り込み済みですので、ある程度覚悟はできているのですが、やはり当日リハで慣れておく必要がありますねー。
本番ステージ上での音の聴こえ方という問題は、大きなオーケストラだけでなく、普通に小さいライブハウスでバンドをやる場合でも同じくあるんですよね。
ライブハウスでは大体「ころがし」とか言ってボーカリストの前の床に小さいスピーカーが置いてあったり、ドラムの横とかギター、ベースの横とかにもスピーカーがあって、そこにミキサー卓からの出音が返ってきてるんですね。
バンドのリハのときは、主にこの「返し」の状態を調整します。
(曲の仕上がりが切羽詰ってなければですがねw)
演奏してみて、「すいませーん、ここにキーボード大きめに返してくださいー」「ボーカル大きめにおねがいしまーす」とかやるんですね。
ここでいい感じに調整できると、自分たちの思ったような音環境で演奏ができるので、気が散らずに演奏に集中できますね。
適当に妥協してしまうと、変なバランスの中で演奏しなきゃいけないので苦しい。
でも大概はそんなに理想的にはいかないのです。
どこかバランスが変だけれども、そこは自分のなかでそういうもんだとうまく変換してやらなきゃいけない。
お客さん相手なので優先は外の音がきっちりしていることで、そのために「中の音」にはある程度制約があるのですね。ベースはアンプの音をあまり大きくできないとか。
だから、本番の演奏って、音環境的にはどこか「演奏する喜び」からはすこしずれたところにある感じがする。外音をきっちりさせるために自分たちの快楽はちょっと削っている感じ。
ある程度はそういうもんだと思うけれども、あまりに苦しい状況だと、いったいなんのために演奏しているんだ?という根源的問いまでさかのぼりそうになることもしばしば(笑)。
ほどよくなんとか楽しくできるくらいの環境が中の音にも必要なんだよね。
最近TVなんかでプロの人が耳に密閉型のイヤホンつけているのが多くなってきたですよね。
(マイケル・ジャクソンが「This is It」で「これいまいちやりにくな」っていってたやつですね。)
あれはどんな感じなんだろう?
モニタリングとしては究極のスタイルで、すべての音を生音ではなくてイヤホンの音で聴くわけだよね?
バランスとかはばっちり調整してありそうだけれど、今度はいわゆる生音を聴きながらの演奏ではなくなってしまうので、バンドとしての臨場感とか音圧とかそういうものからは遠くなっちゃうのではないかなあ?これもやはり完璧な出音を目指すために多少演奏側の快楽はガマンしているのかもしれない。
プロならではの我慢。
話をオケのホールに戻すと、ホール客席での音響設計っていうことはよく聞くけれど、演奏者に聴こえる音、ステージ上での音響設計ってのもやっぱりやるんだろうね?
クラシックではPAでのモニタリングて基本やらないと思うから、いわばナチュラルモニタリングができる空間でないといけないよね。
とはいえ、反射板とかいろいろ駆使して最高の中音っていう環境はある程度できるんだろうけど、ここでもやっぱり最高にしなくちゃいけないのは客席なわけだから、ステージ上での音づくりはやっぱり制約が出てくるのではないのかな?やたら反射板立てると客席での音が悪くなりそうだとか。
と、ここでも本番演奏には演奏する側の快楽をすこし抑制することが必要になってくる。これはもう宿命なのでしかたないんだろうけれど、なるべくならいい音環境で弾きたいよね。
先日のホールのように、自分の音ばかり大きく、低弦と木管は遠く、トランペットだけが後頭部にガンガン響く、みたいなところで必死に指揮者を見てテンポを合わせているとか(笑)そんなのでは「合奏する楽しみ」どころじゃないよなw
本番のホールでは幾分ましであるように願うとともに、これからホールを設計する人とか運営する人には、モニタリングの観点もよく考慮してくださるようお願いする。
などと偉そうにワタシが言わなくても当然考慮されてはいるのだろうけれど。
*****
というわけで、人前で音楽をやる際には、最高の音環境をつくるために、自身は最高とは言えない環境でえんそうをしなければならないことが多々あるというジレンマ?のようなことについて、書きたかったわけでした。
もちろん、一番大事なのは、モニタリング云々というような些事はぶっ飛ばして、ここでオレタチは音楽をやるんだよという衝動のような意志なのだ。
悲惨な環境でも音楽を続けてきた先達に学ぶべきはそこだ。
ちなみに第九本番のホールでは、座る位置もあって割とよい状態で弾くことができ、
楽しい演奏ができましたよ~
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↑なにとぞぼちっとオネガイします。
(というわりとどうでもよいハナシ、かつ写真は本文とは全然関係ないホールのモノです)
先日参加させていただいた第九演奏会。
初の合唱あわせリハを、とあるホールでやったのです。
普段小さな部屋で練習していると、ホールのステージでは演奏するときの音の聴こえ方が普段とまるで違うんでとても弾きにくいのですが、そのホールではいつになく(ってそんなにホール経験があるわけではないんですが)音が拡散していたように思えました。
遠くの楽器の音が聴こえないのですねー。
セカンドバイオリンの後ろの方に座っていると、チェロやコントラバスがよく聴こえない。
木管も遠くで鳴っている。
さらには、自分の周りの人の音ですらいつもより遠い=自分の音が一番大きく聴こえるという、悲しい(笑)状態になるのです。
本番のこういうバランスの悪さはもちろん織り込み済みですので、ある程度覚悟はできているのですが、やはり当日リハで慣れておく必要がありますねー。
本番ステージ上での音の聴こえ方という問題は、大きなオーケストラだけでなく、普通に小さいライブハウスでバンドをやる場合でも同じくあるんですよね。
ライブハウスでは大体「ころがし」とか言ってボーカリストの前の床に小さいスピーカーが置いてあったり、ドラムの横とかギター、ベースの横とかにもスピーカーがあって、そこにミキサー卓からの出音が返ってきてるんですね。
バンドのリハのときは、主にこの「返し」の状態を調整します。
(曲の仕上がりが切羽詰ってなければですがねw)
演奏してみて、「すいませーん、ここにキーボード大きめに返してくださいー」「ボーカル大きめにおねがいしまーす」とかやるんですね。
ここでいい感じに調整できると、自分たちの思ったような音環境で演奏ができるので、気が散らずに演奏に集中できますね。
適当に妥協してしまうと、変なバランスの中で演奏しなきゃいけないので苦しい。
でも大概はそんなに理想的にはいかないのです。
どこかバランスが変だけれども、そこは自分のなかでそういうもんだとうまく変換してやらなきゃいけない。
お客さん相手なので優先は外の音がきっちりしていることで、そのために「中の音」にはある程度制約があるのですね。ベースはアンプの音をあまり大きくできないとか。
だから、本番の演奏って、音環境的にはどこか「演奏する喜び」からはすこしずれたところにある感じがする。外音をきっちりさせるために自分たちの快楽はちょっと削っている感じ。
ある程度はそういうもんだと思うけれども、あまりに苦しい状況だと、いったいなんのために演奏しているんだ?という根源的問いまでさかのぼりそうになることもしばしば(笑)。
ほどよくなんとか楽しくできるくらいの環境が中の音にも必要なんだよね。
最近TVなんかでプロの人が耳に密閉型のイヤホンつけているのが多くなってきたですよね。
(マイケル・ジャクソンが「This is It」で「これいまいちやりにくな」っていってたやつですね。)
あれはどんな感じなんだろう?
モニタリングとしては究極のスタイルで、すべての音を生音ではなくてイヤホンの音で聴くわけだよね?
バランスとかはばっちり調整してありそうだけれど、今度はいわゆる生音を聴きながらの演奏ではなくなってしまうので、バンドとしての臨場感とか音圧とかそういうものからは遠くなっちゃうのではないかなあ?これもやはり完璧な出音を目指すために多少演奏側の快楽はガマンしているのかもしれない。
プロならではの我慢。
話をオケのホールに戻すと、ホール客席での音響設計っていうことはよく聞くけれど、演奏者に聴こえる音、ステージ上での音響設計ってのもやっぱりやるんだろうね?
クラシックではPAでのモニタリングて基本やらないと思うから、いわばナチュラルモニタリングができる空間でないといけないよね。
とはいえ、反射板とかいろいろ駆使して最高の中音っていう環境はある程度できるんだろうけど、ここでもやっぱり最高にしなくちゃいけないのは客席なわけだから、ステージ上での音づくりはやっぱり制約が出てくるのではないのかな?やたら反射板立てると客席での音が悪くなりそうだとか。
と、ここでも本番演奏には演奏する側の快楽をすこし抑制することが必要になってくる。これはもう宿命なのでしかたないんだろうけれど、なるべくならいい音環境で弾きたいよね。
先日のホールのように、自分の音ばかり大きく、低弦と木管は遠く、トランペットだけが後頭部にガンガン響く、みたいなところで必死に指揮者を見てテンポを合わせているとか(笑)そんなのでは「合奏する楽しみ」どころじゃないよなw
本番のホールでは幾分ましであるように願うとともに、これからホールを設計する人とか運営する人には、モニタリングの観点もよく考慮してくださるようお願いする。
などと偉そうにワタシが言わなくても当然考慮されてはいるのだろうけれど。
*****
というわけで、人前で音楽をやる際には、最高の音環境をつくるために、自身は最高とは言えない環境でえんそうをしなければならないことが多々あるというジレンマ?のようなことについて、書きたかったわけでした。
もちろん、一番大事なのは、モニタリング云々というような些事はぶっ飛ばして、ここでオレタチは音楽をやるんだよという衝動のような意志なのだ。
悲惨な環境でも音楽を続けてきた先達に学ぶべきはそこだ。
ちなみに第九本番のホールでは、座る位置もあって割とよい状態で弾くことができ、
楽しい演奏ができましたよ~
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