Credo, quia absurdum.

旧「Mani_Mani」。ちょっと改名気分でしたので。主に映画、音楽、本について。ときどき日記。

「パリ、恋人たちの2日間」ジュリー・デルピー

2009-08-31 00:30:36 | cinema
パリ、恋人たちの2日間 [DVD]

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パリ、恋人たちの2日間 2 DAYS IN PARIS
2007フランス/ドイツ
監督:ジュリー・デルピー
製作:クリストフ・マゾディエ、ジュリー・デルピー、ティエリー・ポトク
脚本:ジュリー・デルピー
編集:ジュリー・デルピー
音楽:ジュリー・デルピー
出演:ジュリー・デルピー、アダム・ゴールドバーグ、ダニエル・ブリュール、マリー・ピレ、アルベール・デルピー 他


才媛ジュリーの製作監督脚本音楽主演作(笑)まるでチャップリンだ。

アメリカに住むフランス人♀+アメリカ人♂カップルが、彼女の故郷パリに2日間滞在する間に、いろんなことが起き、関係がぎくしゃくするってハナシ。

全編こなれたセリフ回しによる会話の妙技、というか技を全然感じさせない自然さが魅力なんだけど、特に冒頭と終盤は映像やナレーションも非常にリズミカルに編集されていて、よくできた音楽のアンサンブルを聴くよう。
映像もときおり早送りとか白線描画とか小技をくりだして面白い。初期ゴダールの人を食ったような編集を思わせるノリで、好きでした。

ゴダールといえば、ジュリー演じるマリオンの飼い猫の名が・・・だし(ネタバレ回避)、アダム・ゴールドバーグ演じるジャックもサングラスをとっかえひっかえ、どれがゴダールっぽい?とかやっているし、笑える。父親のような(祖父のような?)ゴダールへのジュリーの茶目っ気あふれた眼差しがなにやらほほえましいのよ。

ジュリーもいいんですけど、、というかジュリーが情けなく泣き笑う時の眉毛のかたちがものすごく印象的なんですけど、それと同じくらいにアダムの鳩が豆鉄砲食らった的表情が気に入りました。あの顔は・・『What's Michael?』小林まことの顔だな(笑)マンガから抜け出てきたようだ。

英語しかしゃべれないジャックはパリでファストフード店での注文にも難儀しながら、一方で回りにはわからんだろうという英語でにこにこしながら実は悪態をついてみせるとか、言葉の壁をうまくつかった落差で笑いを取るところなんかは上手い、というか実はこの映画の大元のネタはそういうエトランジェのもたらす落差、落差を生きることの可笑しさということなんじゃないだろうか?
マリオンの両親に片言のフランス語で必死に誠実な人間を演じながら、すぐその場でマリオンには英語で「おい、いったいどういうことだよ?」とか苦言を呈したりするところは涙ぐましくも可笑しくもある。



マリオンの両親もなかなかの人物で、とくに父親のしたたかぶりというか変態ぶりは大笑い。ひとあたりよさそうにみえて強烈にシニカルで容赦ない。どうやらアーティストらしく「個展」会場に娘カップルを招待するのだが、その展示ときたら(笑)(エロオヤジ系)
歩道に乗り上げ駐車している車に対する彼の仕打ちはこれまた冷や汗もので^^;

お母さんもおせっかいやきのプライバシー侵害型おばさん。マリオンたちの濡れ場にここぞと乱入するところなんか好きですね~。しかも終わり近く、ジム・モリソンの謎が明らかになってビックリ!

とおもったら彼らは本当にジュリーの親なんですねえ。彼らも俳優だったんですね。強力な両親ですよ。

ジュリーとお母さんと猫、見よこのジュリー眉。


ジュリーもなかなかによいけど(というか、あの美人ぎりぎりなのにちょっと残念側という微妙さがすごくいい(笑))、でもこの映画アダムのなりきりエトランジェぶりがすごくいいと思う。マリオンの男関係がずるずると判明していくなかでどんどん目ん玉が丸くなっていく彼。そういう長尺な変化を演じていて、考えてみるとこれはすごいことだよなと思う。
目ん玉はとうとうラストにいたって前回になり4時間の議論に至るようだけど、そこんとこのナレーションのうらで熱演するアダムもよかったなあ。
アダムあってのこの映画でした。

ジュリーとアダム



****

パリ観光的なところにほとんど行かないのもいいですね。唯一行ったのがペールラシェーズ墓地のジム・モリソンの墓。カタコンベも行ったけど閉まっていた。墓ばっかしだ(笑)

バスを待つ行列とか不機嫌なタクシーとかメトロでの怪しい密着オヤジとかすごくパリらしいのか、笑える。両親の家というかアパルトマンでの水漏れとかね。

下品な下ネタ系会話も炸裂するのでご家族向けではないですね(笑)

子供時代のジュリーもよかったですね。
黙って地面を見つめているだけだけど。


特典映像のジュリーのインタビューでは、監督と主演をやるのは平気だけど、製作をヤルのはものすごく大変だったと言ってました。ただ来てやるだけの監督や俳優は楽だと(笑)日々発生する事件を解決していく製作のほうがよっぽどドラマだと(笑)そうだよね~



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