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2022.10栃木 半月山・中宮祠を歩く

2023年07月01日 | 旅行
日本を歩く>  2022.10 栃木 明智平・半月山・二荒山神社中宮祠を歩く  

 テレビで奥日光の紅葉を伝えていた。高原ハイキングならコロナ感染リスクは低い。全国旅行割支援を活用し、マイカーで奥日光ハイキングに出かけた。
 東北道宇都宮ICから日光宇都宮道路に入る。終点清滝ICから国道120号線=清滝バイパスを入り、道なりに第2いろは坂を上る。いろは坂はなんども上り下りしているが、急カーブが連続するので慎重にハンドルをきる。
 いつもは第2いろは坂を上りきりそのまま中禅寺湖畔に出るが、今回は「ね」のカーブを過ぎて右に折れ、明智平に車を止める。日光の遠足?修学旅行?のときに明智平に寄ったかも知れないが、華厳滝は記憶にあるが明智平は記憶にない。初めての気分である。
 修学旅行生が大はしゃぎしてバスに乗り込むところだった。課外活動、集団活動が緩和されたようだ。いい思い出になると思う。
 明智平ロープウェイ駅から展望台駅までのロープウェイは往復1000円だが、駐車料金500円が無料になるので実質500円である。往復チケットを購入し、ロープウェイに乗る。
 明智平あたりの標高は1270mほどの東下りの斜面なので、駐車場からの風景はいろは坂などの山あいになる。展望台のある山頂は標高1395mで、西に開け、華厳滝、その先に中禅寺湖(写真)、右に目を転じると男体山も遠望できる。実質500円のロープウェイで絶景を楽しむことができる。
 山はかなり色づいていて紅葉も楽しめる。


 パンフレットには、明智光秀が本能寺の変後、比叡山に逃れて天海と名前を変え徳川家康に会うと、家康は天海を気に入り相談役として重用、天海が日光山貫首として日光に来たとき、眺めが一番いいこの場所を明智平と命名した、という伝承が紹介されている。
 天海の出自には諸説があるが、家康に重用され、家康没後、2代将軍秀忠のとき神君家康の久能山から日光山への改葬を主導し、3代家光のとき上野寛永寺を創建するなど、徳川家の信任が厚かったのは史実だから、諸説が生まれたのかも知れない。


 明智平をあとにして、第2いろは坂を上りきり、二荒橋前交差点を左に、次の立木観音交差点を左に折れ、中禅寺湖に添って県道250号線を南に走り、半月山を目指す。
 半月山の名前は諸説がある。対岸から見ると半月の形に見えるというのは順当に思える。対岸の宿にチェックインしたとき、窓からお椀を伏せたような形の山がみえた(写真、右端)。そういわれれば半月に見える。
 日光山は勝道上人(735-817)が開山し、役小角=役行者(634?-701?)が開祖の修験場でもある。修験者が悟りの境地になるのを満月というそうで、この半月山では悟りの境地にならないことから修験場から外され、半月の山=半月山と呼ばれた、との説は日光山が修験場であったことを再認識させてくれる。これも説得力があるが、物見遊山では修験に縁遠い。
 半月山駐車場に車を止める。足尾銅山観光と刻まれた石碑のそばに1㌧の角鉱車が展示されていた(写真)。
 半月山は足尾町と中宮祠にまたがり、かつては銅山だった。その歴史を展示しているのだろうが、雨ざらしで赤さびが浮いた箱形の鉱車は、もの悲しく見える。


 駐車場の端に、半月山展望台0.6km、半月山0.8km、半月峠1.1kmと記された案内板が立っている。
 駐車場の標高は1395mほど、展望台の標高は1720m、半月山山頂の標高は1753.2mである。
 駐車場~展望台の標高差は325mなのでwebの三角関数を参考に計算すると、sinθ=325/600≒054、θ≒32°となる。32°は見上げても急に感じる(写真)。山道は大雨の流れ道になるようで、かなり大きい石がゴロゴロしている。
 中年女性3人組がおしゃべりしながら下りてきた。登山スタイルではない山歩き風だった。私はトレッキングスニーカーなので、土を踏みしめ、大石を避け、登り始める。
 傾斜の緩やかな歩きやすい道に出て、また石ゴロゴロの急傾斜になり(写真)、登り始めてから20分ほどで展望デッキに着いた。確かに修験にはならない道のりだったから、半月は納得できる。
見晴らしはいい(写真)。半月山の北斜面に真っ赤な紅葉中禅寺湖八丁出島が伸びだしている。対岸は、惜しいかな雲がたなびき始めた。
 説明板には、天気がよければ正面に社山1826.7m、やや右に奥白根山2577.1m、右に男体山2486m、やや左に大平山1959.8mなどの山並みが遠望できるらしい。
 風景に見とれていたら、風に乗ってパラッパラッときた。登るときは空が明るかったので雨具を車に置いたまま、ウィンドヤッケにトレッキングキャップで登ってしまった。山の天気は変わりやすいのを失念した。修業が足りない。
 雨になれば滑りやすい。慎重に下りる。車に戻るころには雨は上がっていた。登る前に雨が降り出していたら展望台までのトレッキングをあきらめただろうから、少々濡れたが、紅葉、中禅寺湖、八丁出島の風景を眺められたので良しである。


 県道250号線を戻る。途中のイタリア大使館別荘+英国大使館別荘記念公園(HP「2022.5中禅寺湖畔を歩く イタリア大使館別荘 英国大使館別荘」参照)、中禅寺、立木観音を通り過ぎ、立木観音交差点を左に折れて、中禅寺湖に沿う国道120号線=日本ロマンティック街道に面した今日の宿にチェックインする。
 時間はまだ早い。二荒山神社中宮祠まで歩く。
日光二荒山神社は2021年12月に訪ねている(HP「2022.12日光二荒山神社を歩く」参照)。一部を転載する。
 下野国生まれの勝道上人(735-817)は、766 年に大谷川を渡り、日光山の麓に紫雲立寺(=四本龍寺=満願寺)を建てる。現在の輪王寺の始まりになる。767 年、勝道上人は紫雲立寺の近くに男体山を神とする社を建てる(現在の二荒山神社本宮神社あたり)。この社がいまの二荒山神社本社の始まりになる。本社は 1619 年、徳川2代秀忠(1579-1632)時代に現在の二荒山神社に移され、徳川3代家光(1604-1651)時代に再建された。
 勝道上人は、782 年、男体山(標高 2486m)登頂に成功し山頂に男体山の神霊を祀る社を建てる。この社がいまの二荒山神社奥宮になる。勝道上人は男体山を二荒山と呼び、二荒=音読みでニコウに日光の字が当てられたとされる。
 784 年、勝道上人は弟子と日光山を登り、湖を歩き、現在の中禅寺湖東に中禅寺を開き、中禅寺湖北、男体山登山口に現在の二荒山中宮祠を建てる。
 つまり、現在の二荒山神社本社、奥宮、中宮祠はすべて勝道上人の創建である。


 男体山山頂には登ったことがないので奥宮には参拝していないが、男体山を南に下った=奥宮のほぼ南の中禅寺湖沿いに建つ中宮祠は国道120号線=日本ロマンティック街道に面していて立ち寄りやすいので2度目の参拝になる。
 中禅寺湖に面した唐銅鳥居=浜鳥居に一礼する(写真)。緑青色の鳥居は風格を感じさせる。プロポーションもいい。国の重要文化財である。
 社林の奥、石段の上に朱色の八脚門が見える。
 八脚門を抜けると東西に境内が広がる。右=東になぜか牛の石像、手水舎、左=西に稲荷社が建つ。正面石段の上の左右に阿吽の狛犬、正面は朱塗りの唐門が構え、左右に朱塗りの回廊が延びる(写真)。唐門も国の重要文化財である。天気が良ければ唐門の彼方に男体山が見えるはずであるが、今日は雲に隠れていた。唐門で一礼する。
 
 唐門の先は吹き放しの廊下が延び、正面に拝殿、奥に本殿が建つ。吹き放し廊下は雨のときの参拝には都合がいいが、拝殿の写真を撮るときには不都合になる。先に二礼二拍手一礼し、横に回って拝殿の写真を撮った(次頁左写真)。
 拝殿の先に石垣が積まれている。中宮祠は男体山南麓の斜面地に配置され、本殿は高台に建てられようだ。石垣は高台の土留めを兼ね、神聖な領域の象徴になっている。本殿の四周には朱塗りの玉垣が巡らされている(次頁右写真)。玉垣も神聖な領域の象徴である。
 本殿には二荒山大神(ふたらやまのおおかみ)と総称される3神、夫の大己貴命(おおなむちのみこと=男体山)、妻の田心姫命(たごりひめのみこと=女峰山)、子の味耜高彦根命(あじすきたかひこねのみこと=太郎山)が祀られている。


 本殿の左手に、樹齢1100年の神木であるいちいの木が大きく枝を広げている(写真)。いちい=一位の樹気は周りの空気を清浄にする効果があり、神職の笏はイチイで作られるそうだ。いちいに触り、樹気を分けていただく。


 本殿の右に唐銅鳥居(国の重要文化財)、鳥居の奥に社が建つ。鳥居の右が男体山登山口である(写真)。男体山は標高2486mだが、この登山口からは登り=下り1242m、片道3.8km、往復でおよそ6時間の本格的な登山路で、入山料1000円と入山届が必要である。
 男体山山頂・二荒山神社奥宮参拝は修験者、登山家に任せ、中宮祠をあとにして宿に戻った。
 
 宿では中禅寺湖+半月山を眺め、美肌効果、殺菌効果のある白濁した硫黄泉で体をほぐし、夕食で地酒日光誉をいただいた。旅は心身をリフレッシュしてくれる。 
 (2023.6)

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