アイ・ラブ みどり

逆境にもめげず、けなげに生きるみどり達がいとおしくてなりません。

夏の離宮、ヘネラリーフェ

2005年11月24日 | 秋のスペイン
グラナダの街は海抜600m、アルハンブラ宮殿は800m、その離宮ヘネラリーフェは860mに位置します。見晴らしが素晴らしい高台に建っています。当時の王族は、ここで涼しい風と美しい展望を楽しみながら、暑い夏を過ごしたのでしょう。
ヘネラリーフェにも細長い池と池の両側から吹き出す噴水で有名な中庭があります。ヘネラリーフェの裏には、この噴水に水圧を加える調整池がありました。その調整池の水はもっと海抜を上がった山の渓流から引いたものでしょう。更にこの水は流下して、アルハンブラ宮殿の水道用水として利用されたのかもしれません。

水道用水の使用は時間的に大きく変動します。朝夕の炊事時には需要が高まります。一方水源からは一定量が供給されます。両者のギャップを吸収するのが調整池です。アルハンブラ宮殿には水洗トイレまであったそうで、水利用はかなり高度に発達していたようです。宮殿内に見られる多数の池は、調整池の役割を担っていたのではないかと考えられます。

ヘネラリーフェの展望室からは、夕方の長い影を引いたグラナダの街が一望できました。庭の中に家が建つ日本の住宅とは異なり、中世都市は建物の中に庭があります。建物の間の狭い路地が特徴です。少人数で多人数の敵と互角に戦えるからです。中世ヨーロッパでは、如何に戦争に明け暮れていたかが偲ばれます。
ガイドの無情な声が聞こえてきました。「閉門の時間ですよ」。後ろ髪を引かれながらヘネラリーフェを後にしました。秋のグレナダは静かに暮れてゆきます。
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