アイ・ラブ みどり

逆境にもめげず、けなげに生きるみどり達がいとおしくてなりません。

ゴルドバ・メスキータ

2005年11月21日 | 秋のスペイン
1492年と言う年はスペインにとって重要な年となっています。800年にわたってスペインを支配していたイスラム教徒から国土を取り戻した記念すべき年なのです。また、コロンブスが新大陸発見の航海に発った年で、この成功でスペイン繁栄のきっかけとなるのです。
メスキータはイスラム寺院モスクのことで、ここにはスペインの数奇な歴史が刻まれています。8世紀半ばキリスト教会の一部を取り壊し、イスラム教徒がモスクを建設します。スペインを支配したイスラム教徒は穏健で、先住のイスラム教徒やユダヤ教徒との共存を図りました。

イスラム教徒から国土を取り戻したキリスト教徒も、イスラム教部分を破壊することなく、メスキータにキリスト教会を増築してゆきます。このようにして3回に亘り大増築が行われました。写真の手前がイスラム教時代、奥がキリスト教時代の建築です。このような異宗教共存の教会は珍しく、メスキータが世界遺産に登録された理由のようです。
当時の建築技術では大スパン構造を実現できなかったため、メスキータは1000本もの柱で支えられています。これらの柱は、ローマ時代の建造物の柱を再利用したり、寄進されたりしたものです。面白いのは、寄進された柱には寄進者の署名があることです。イスラム教時代の柱には、署名から寄進者はイスラム教徒は勿論、キリスト教徒、ユダヤ教徒にまで及んでいることが分かります。更に10世紀の柱には、日本人の署名まであるのです。

写真はメスキータ内に展示されている柱の署名の石膏レプリカです。左下に「山口」という紛れも無い日本人名が見られます。柱を寄進するからには相当の金持ち。10世紀と言えば平安時代。こんな時代に、ゴルドバの王様に取り入って、柱の寄進と引き換えに権益を与えられ、スペインで手広く商売でもしていた豪商なのでしょうか。ガイドに聞いてみましたが、山口さんの素性は全く不明とのことです。
署名入りの柱は、寄進者が自ら進んで寄進したというよりは、支配者に対する忠誠の証として、国内有力者に寄進させたものではないでしょうか。「郵政民営化賛成」の柱を寄進させ、「自民党公認」の権益を与え、「大自民党(メスキータ)」を築いた小泉首相の選挙手法に似通っているような気がしておかしくなりました。
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