代表合宿で存在感を発揮した4人の選手達。欧州組が加わる二次予選、Jリーグでアピールし代表定着なるか?
5月12日から2日間にかけて行われた日本代表合宿。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が招集した28人の選手は代表定着に向けてアピールを続けたが、その中でも印象的なパフォーマンスを披露した4人の選手がいる。
2015年05月14日(木)11時16分配信
text by 河治良幸 photo Getty Images
存在感を放った4人の選手
鹿島と異なるトップ下でプレーした遠藤康【写真:Getty Images】
日本代表は2日間の国内合宿を終え、2日目の午後練習はハリルホジッチ監督の「メルシー(ありがとう)」というフランス語で締めくくられた。
台風の影響も心配されたが、合宿を熱望した指揮官の基本哲学や方向性を伝え、また選手に個別の課題に向き合わせる意味で有意義なものになった様だ。
その中で代表候補に初選出の7人や久々招集の選手も自分の持ち味を出しながら練習を消化したが、筆者の目線で特に印象深かった4人をピックアップする。
▼遠藤康
左足のテクニックはJリーグで良く知られるところだが、複数の選手で移動しながらのパス練習などで正確なファーストタッチと素早いパスを繰り返し、時に右足のタッチを織り交ぜながら、ミニゲームでも起点として柔軟にボールを捌いていた。
3人が縦に並び、後ろからのクサビのパスを前の選手が落とし、2列目のスルーパスに前の選手が飛び出す練習では3つの全ポジションで高いクオリティを出しており、シュートもほとんどが枠を捉えるなど、幅広く攻撃に絡める資質を示した。
鹿島と異なるトップ下に関しては「前を向いたらできると思いますけど、常にボールに絡まないといけないポジション」と語る。“攻守の切り替えと判断スピード”を代表定着に向けた課題と捉えているが、Jリーグの試合でもチームメートの柴崎岳などと切磋琢磨しながら高めていけば代表につながるはずだ。
また現時点で「全く考えていない」と語るが、左利きということもあり、正式な日本代表に選ばれればハリルホジッチ監督が改善を目指すセットプレーのキッカーとしても重要な戦力になってくるかもしれない。
課題を見つけた六反、監督の要求を理解する谷口
▼六反勇治
「もっと存在感と圧力を出していきたい」
昨季まで横浜F・マリノスで控え、今季も開幕3試合目からベガルタ仙台のスタメンに定着したこともあり、“サプライズ招集”と言われたが、落ち着いた中にも熱のこもったプレーで常連の3人に見劣りすることなくGKのメニューをこなした。
特に目立っていたのはクロスボールのキャッチからスローに移行する練習で、188cmという上背に増して存在感が出るのは無駄なく体を伸展させる能力によるものだろう。
「今で言えばノイアーが世界一だと思いますし、映像ではデ・ヘアとか体が大きい選手をよく見ている」と語る六反は体の使い方を日頃から意識している様だが、今回の合宿ではリカルドGKコーチから体の見せ方について教えられ、共感した。
Jリーグで何度かあった守備範囲での失点に関しては「手が届く範囲というのはしっかり止めたい」と自覚しつつも、守備範囲をさらに広げることの両方を高めていきたいという。そうした向上心が正式の代表選出につながる日も遠くないかもしれない。
▼谷口彰悟
「監督の求めることがだいぶ理解できた」と語る谷口は、もともと川崎Fで担うセンターバックと今回想定されるボランチの両方のポジションをこなせるが、中盤での本職のMFに見劣りしないパスの受け渡し、スモールとワイドの使い分けは代表でも目を見張るものがある。
特に2列目から飛び出すセンスは高いものがあり、守備的なポジションに入ってもチームの有効な飛び道具になりうる。
今回は実戦的に発揮されていないが、中盤の深い位置の空中戦やセットプレーで高さを加えられる利点は他のMFに無い強みであり、今回の刺激をさらなる成長につなげていけば面白い存在だ。
快足飛ばす浅野、相手DFの脅威に
▼浅野拓磨
「かなり緊張しましたが持ち味は出せた」と語る20歳のFWは自慢の快足を積極的に出し、ミニゲームでも縦に動き出して幅広く味方のパスを引き出すなど、意欲的なパフォーマンスで見る者の目を引いた。
50メートル5秒9というスピードはJリーグでも相手ディフェンスの脅威となるが、縦を狙うタイミングの良さと動きの質がその威力を高めている。
良質のパサーが揃う日本代表で大きく飛躍する期待は高いが、2日目の練習では飛び出しからのシュートがことごとくゴールの枠を外れるか、GKにセーブされるなど、フィニッシュには大きな課題を残している。
今回は宇佐美貴史などハイレベルなアタッカーと一緒に練習したことも刺激になった。リオ五輪を目指すU-22代表の主力にも定着できていないが、A代表での経験が飛躍的な成長につながることを期待したい。
この4人の他にはハリルホジッチ監督のもとで初招集となった大久保嘉人の意欲的なプレーは全体の中でも目立っていた。また丹羽大樹が樋渡通訳を介して自らハリルホジッチ監督を捕まえ、ラインコントロールの細かい動きについて質問したというエピソードはザッケローニ時代の駒野友一を思い出した。
6月の二次予選では欧州組が加わり、ケガで今回は欠場した選手も戻ってくる。また未招集の選手が予選で入ってもおかしくないが、今回の合宿を経験した選手が指揮官に要求されたことをJリーグでしっかりと実戦していけば代表定着の道は開かれるはずだ。
【了】
昨日まで行われた代表候補合宿に於いて印象深かった4人の選手の一人に挙げられたヤスである。
ミニゲームでも起点として柔軟にボールを捌いていたとのこと。
これは嬉しい記事である。
ヤスの埋もれておった才能が更に開花するやもしれぬ。
この合宿にてヤスは一皮剥けたのではなかろうか。
この経験を鹿島にて更に発揮して欲しいところ。
今週末の広島戦での活躍に期待である。