山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

ソロ「個」の力

2010-07-31 23:35:18 | モノローグ【エトセトラ】
■稽古場とういう現場

この3日、7月29日~31日までは劇団員の「ソロパフォーマンス」の稽古に明け暮れていました。
本来、劇団は集団力の劇表現を追求する場ではありますが、じっくり「個」発散を見つめたい!と変態的な欲求に襲われたからです。この変態とは「脱皮」だ。・・・人間は脱皮することはないが、役者という生き物は脱皮する。

劇団夢桟敷には若きエースが揃っている。気付けば看板を背負った役者(俳優・女優)たちになっているのです。
劇団の主宰、劇作家、演出家などは、ほっといても目立つ。つまり、劇団の「顔」になってしまう。座長や卓さん、私を含むキャリア組のこと。
しかし、本来、俳優が劇を直接的に観客席と対面し、人の記憶の中で永遠に生き続ける存在である。

私からすると、この当たり前のことが「文化・芸術」という名の下に疎かになっているような気がしてならないのです。
集団力の前提に「個」が有り、この「個」とは「俳優」である。
メディアに露出していくタレントたちは、「個」=「商品」ではあるが、小劇場はその下積みでもなければステップでもない!独自に完結する舞台という分野が自立しているのです。
ここにこそ商品価値とは違った独自性があると「小劇場」の可能性を探り続けてきました。
根本的に「商品」を取っ払ったら「人間」しかないのである。私は「人間」が面白く、そこから抜けきれないので「演劇」にのめり込んだ。
端的に位置づくところが「アングラ劇」や「小劇場」でもあった。やればやるほど、「自己表現」から遠い彼方へと旅立てるのである。世界の果てまで。

稽古場では劇団員=俳優たちが集まり、限られた時間の中で「劇を作る」共同作業が繰り返されてきた。
個々の日常生活は様々であるが、「私の事情」は問題にならない時間と場所。集団は単純に「滅私」を余儀なくされる。これが稽古場で渦巻く不条理であり、矛盾が劇の形となって面白いものになる。一見、民主主義は通用しない。

それがある程度染みついた若きエースたちに「ソロパフォーマンス」という「個」をテーマにした稽古に取り掛かっているから大変。そして新鮮。

7月から「イメージトレーニング」の方法を巡ってワークショップを開始しましたが、9月には「ソロパフォーマンス」を構成した「発表会」をすることに!
尚、次回のワークショップは8月29日(日)pm6:00-9:00熊本市武蔵ヶ丘教会にて。
興味ある方は参加(体験・見学自由/参加費無料)して下さい。
ワークショップ担当:坂本咲希(問)096-343-0334夢桟敷

まさかのメメクラゲ

2010-07-29 16:39:04 | モノローグ【エトセトラ】
昨今、「秋葉原事件」の公判ニュースを眺めていました。
演劇に関わっていると、事件や犯罪に目が向きます。・・・それは、ここに現代の縮図が表れているようにも思われるからです。
近年「劇場型犯罪」として語られています。犯罪が劇場化?
犯罪が貧困からくる現象から「個」を「社会」にアピールするドラマへと変貌してきたのだろうか?

彼(犯人)の言わんとする「掲示板依存症」とは?

今、彼は牢獄の中で「文学」になりすましているのではなかろうか。それすらもわからないことであるが・・・。
ダレカレ(小劇場系)の言う「ことばの時代」あるいは「活字」の到来?否、彼は「行動」を主張する。その結果が「秋葉原」だったと主張する。

私も仕事の都合でパソコンに向かう時間が多く、その息抜きで掲示板を楽しんでいる。ある意味、脳の柔軟体操である。柔らかくなれ!である。・・・悩むこともない。

虚構なら虚構!これを総動員して実像に迫る方法を、私なりの劇作と位置付けています。ここでは想像力という他者のココロに依存することもあります。

劇の起爆剤を作る場所は「ことば・活字」を作るパソコンではなく、集団の稽古場である。つまり、役者。肉体である。この考えは一度もはずしたことがありません。



いきなりのメメクラゲです。


先日の「シナプス」撮影会から、「ねじ式」(つげ義春)漫画の調合をビデオ短編編集に向けて作業中です。
思いついたデザインが「まさか、メメクラゲ」になる。

あと2年で還暦を迎える初老ではありますが、♪「生きよ、青年」の歌を心に秘めております。
「掲示板」は飽きるまでが楽しいねえ。
さぁ、稽古、稽古。

【追記】

只今、ビデオで撮ったのを編集中です。

実際、行ってみると、頭で描いていたようなことではなかった。
つまり、それ以上の白昼夢というか、何やら怪しい空気が流れ始めました。
夢桟敷のアングラ系とタップダンサーのビキニが融合して、クラクラッと目まいがした。

特に二人のビキニにヤラレル。クラクラ~ッ。

そこで、「ねじ式」(つげ義春)のトップ場面が広がったという訳です。
メメクラゲにヤラレテ海辺を彷徨う青年が「イシャはどこか?」と探している光景です。
何故か、ラスト場面が産婦人科に辿りつくという、クラクラッとくる展開です。

「シナプスの転生」とは・・・!

ビデオでは劇団夢桟敷が2005年~2006年に公演した「ねじ式・三部作」と重なります。

編集した映像はYouTubeで流す予定です。

九州の人でも「メメクラゲ」のことを知らない人が大多数ですよ。
デンキクラゲ、あるいはイラという毒をもったクラゲの一種で、「メメ」に刺されると死ぬか、高熱にうなされて白昼夢を見る。

熊本電鉄(通称、キクデン)ちんちん電車の運転手はキツネのお面を被っているのが習わし。
イシャを探しているのに目イシャばかりである。
原作の「ねじ式」では金太郎飴を作る婆さんが、青年のお母さんということで遭遇するが、
熊本では朝鮮飴のお婆さんが現れてくる。
この婆さんは戦争で大儲けをしたらしい。

など。・・・メメクラゲは恐ろしい。

「シナプス~」撮影会

2010-07-26 23:53:16 | 企画2009~2015
「モワ~ッ×ギンギン」の暑い一日でした。楽しい遠足の気分です。
みんなは、私が熱射病で倒れるのではないか、と笑っていただけです?

「シナプスの転生」と題して、天草の海でコスプレ&パフォーマンスの撮影会。
午後から熊本市を出発して、メインは夕方3時~6時くらい、ゲリラ的におこなう。

「夏の海」バケーション第1弾!


【ご報告】

(当日までのアレコレ・・・)

当初予定していた会場は天草2号橋を渡った漁港であったが、漁業組合に撮影許可をお願いするも「市」に申請するように!と言われる。「市」に連絡するも、住民の同意が必要!とのこと。・・・ぷっぷっぷー!
単独、夢桟敷だけの実施であれば「たかが撮影会」ということで強行実施していたのだが、ここにはダンスチームとコスプレチームも加わっている。私が反省文を書いたところで、他のメンバーがたじろくことになることは推測される。
しかし、手続きというものは「公」は命。そして面倒なものだ。
天草には、すばらしい景観はどこにでもある。海があればいいのだ。

ということで、誰もいない海水浴場に変更。

天草に行く途中の宇土マリーナで全員11名が集合する。午後2時。
熊本市内から宇土半島に入り、有明海を眺めながら走る天草街道は私が高校生まで過ごした下関の海岸に似ており、ノスタルジーな風景にも見える。
干潟や海水浴場などもり、何処でも絶好のロケーションである。

いくつかの候補地であった赤瀬海水浴場(マリーナの近く。)に決定!

私はビデオ撮影に専念する。
それぞれが思い思いにメイク、衣装をしているのを見て、「気合入っているなー。」でウキウキしてくる。
主催者でもあるコスプレイヤー塵蟲(ごみむし)さんは、何と500枚くらいの写真を撮ったとのこと。こりゃ、選ぶのに大変な苦労だぜい。

おおっ、ダンサーが超ビキニスタイルになっている!Mちゃんは劇団でタップダンスの振り付けコーチとして慣れ合いになっているので、「はい、セクシーポーズを!」と近寄ってカメラを回す。遠くから「いよ、エロ監督!」の声が飛び交う。
エロ監督?「芸術だ。」ゲージツ。

劇団員たち(幸太、クドシン、肥後丸、ましまん)はアングラだった。怪しい。その怪しさが笑える。
きつねのお面、白塗り学ラン少年、赤い糸を操る黒装束、黒い斑点の白装束。

なんなんだ~、これは?
海水浴場が白昼夢の風景になった。
あっちの世界がやってきたよ。
ソロパフォーマンスを映像に収めることができた。
これを構成して、「シナプスの転生」イメージビデオにする。

海から生まれ出る、奇形たち。

3時からスタートした撮影会も、あっという間に6時である。
海の浅瀬に入り、砂浜、岩場を歩いていたものだから足が疲れた。・・・生ビールを飲みたい!

午後7時、「愛の天草村」へ移動する。いわしちくわを1本ずつかじる。
海鮮料理屋に入り、刺身三昧である。不思議なことに誰もビールを注文しない。実は熊本集合の時に車やバイクで来ていたのだ。飲酒運転撲滅である。

いや~、美味しい!天草は美味しい!

子劇レポ【4】

2010-07-24 23:16:31 | 企画2009~2015

今日で4回目の「子ども劇を作る」公民館講座である。
小学1年生~5年生12名の少年少女たち。会うたびに可愛くなる。
演劇に関わると輝くようになる、ということを実感する。

今日は初の本読みをする。
配役は台本があがる前から決定していた。つまり、自分が何の役をしたいのか、自分で役を決めていたのである。
登場するのは動物の役。好きな動物を言ってもらっていた。

私としては小学3年生くらいには理解できるだろう、と思って書いたのではあるが、・・・。そもそも、何年生がどの程度のものか分かっている訳ではない。
分からなくても大丈夫なんだ。・・・教育演劇とは違うことをしているのだ。学校の演劇?垣根がなくて良かったと思う。
劇団の得意技は「表現力」。人間本来の持っている力を引き出していけばいいのだ、と確認する。
それは子どもたちの反応をみて、心配が吹き飛んだ。自分でやれる。
いい笑顔を見せてくれるものだ。

子どもたちは、まっさらである。まっさら。従順という意味ではない。自意識が芽生えている、という意味でまっさら。

11月の発表会では、苦しんだり悩んだ分だけ大きなものを得てくれれば最高だと思う。これまでの楽しさも倍増されるだろう。

劇団員たちも、今回の「子劇」で大きなものをつかもうとしている。


シナプスの転生

2010-07-20 23:37:59 | 企画2009~2015
シナプス(synapse)
【解説】医学・生物学用語で、ニューロン間の接合部をいう。広義のシナプスには、ニューロンと筋繊維(医学では線維を使う)または分泌細胞との接合部位も含める。(YAHOO百科事典より)

輪廻転生
【解説】死んであの世に還った霊魂(魂)が、この世に何度も生まれ変わってくることを言う。

【お知らせ】

7月26日(月)
「シナプスの転生」と題して、天草の海でコスプレ&パフォーマンスの撮影会をします。
午後から熊本市を出発して、メインは夕方5時~7時くらいに現地でゲリラ的におこないます。

問)詳細、参加希望者(コスプレ、撮影いずれも)は096-343-0334(夢桟敷)まで。

熊本のTOPコスプレアイドルさん(提唱者)、タップダンサーさん、劇団夢桟敷からは、kouta,kudosin,higomaru,masimanなど看板俳優も参加します。



最近、アングラファンと名乗って私たちの公演を見に来る若い女性が増えてきました。
すっかり、仲良くなっています。ファンと言われれば有頂天になる劇団夢桟敷です。
コスプレ少女は漫画を描いていたりファンだったりしています。だから、コスチュームも漫画からきています。

私は彼女たちが読んでいる漫画を知らないので、全く未知の世界です。
劇団員の若者から「今、何の話をしているの?」と、いちいち通訳してもらってます。
「ほほう、ふんふん。」と身を乗り出して聞いている内に、「劇団も一緒にやろうよ!」ということになった。

コスプレ&パフォーマンスの撮影会となる。会場は熊本県天草の海。いかにも夏!
水分補給をしなければ、私の身体はひからびて死亡する可能性大。熱射病を侮ってはなりませぬ。つまり、これは命がけの遊び(企画)なのです。

この企画は秘密裏に進めていたのですが、情報誌からの問い合わせがあったりして、コトが大きくなりつつあります。
そこで・・・情報誌、マスコミの取材はお断り!の方針を打ち出しました。
つまり、この企画はフリーペーパー「伝書蟲」と劇団のビデオを作るための撮影会が目的です。独占です。
私はサブカルチャーのドキュメンタリーを作るつもりでいます。

「かわいい」と「怪奇」のコラボレーションとは?
終わってから考えることにしました。・・・今、思考力なし。

一つ、我捨て夢のため。
夢の形を舞台に組み立てること。ちっとも新しいことではありませんが、幻想の舞台を広げたいのです。

コスプレとのタッグは日常空間に愉快な異物を出現させるのです。

追悼 つかこうへいさん

2010-07-14 23:44:13 | モノローグ【エトセトラ】
NEWSでご存知の方もおられると思います。
先日7月10日、「熱海殺人事件」「初級革命講座 飛龍伝」などの作品で演劇界の革命児と言われた、つかこうへいさんが亡くなられました。62才。

その昔、劇を見た時に、この作家は「ひねくれているなー。」と笑い転げてしまいました。
この「ひねくれ」は、私にとって少数派、サブカルチャーのようなキーワードで共感していたのです。
Gパンで役者さんたちが登場する。一見、フツウの人々である。
しかし、そのフツーがとんでもないことで騒ぎ始める。ミーハーの反乱のように。
汗を吹き出し、唾を飛び散らせ、何だ!このパワーは!まるで狂気の沙汰のように叫び散らすのです。尋常ではない不自然な威圧感。
お行儀のよい演劇なんかではない。偽善があるならば、偽悪だとも思える。
後、俳優たちは、あれよあれよ!とメジャーデビューして行った。

在日韓国人二世の劇作家としても知られるようになり、やっと、最近になって、日本ー韓国との演劇交流が始まる礎のような存在でもあった。
彼は、日本ー韓国の演劇界が閉鎖的だった頃から日本の演劇状況を韓国に届けていたのである。
アングラ第二世代とも呼ばれていました。いわゆる小劇場系の旗手として、70年代の演劇界をリードしていった人でもある。

「二」を背負った天才だった。
私は彼と一度だけ、東京高田馬場の大衆居酒屋で遭遇したことがあり、「やあ、天才のつかさん!」と挨拶すると、「君は何者だ?」と言うので、「ぼくは白菜です。」と答えたら、場が完全にシラケました。

人が亡くなり、その時代は終わりを告げる?・・・そんなことはありません。
つか演劇は、彼に育てられた俳優たちに受け継がれています。更に増殖していくでしょう。
私も「不自然なパワー」「ひねくれ」を思い返します。

死者との会話も楽しめるようになった今日この頃、あの世が賑やかになっていくな~、とこの世のさみしさを知るようにもなりました。

つかさん、あの世でも「酒、たばこ」をお楽しみください。
合掌。


【追記】

つか芝居は口立てと言って、台詞を台本を読んで覚えてやる方法ではなかった。
つまり、作家であるつかさん自身が口で言って、それを役者がオーム返しに言って、稽古を繰り返す。
ただ喋ればいい、というものではない。同じように喋ってもダメ出しの応酬だったようだ。

大衆演劇などでは口立てが常識のようにやられている。

「ことば」には「魂」がある。
伝達手段の記号ではない。つまり、演劇では「台詞」は単なるコミュニケーションの道具ではない!ということ。

伝えること?・・・だったら読めば済むではありませんか。

私は、つか芝居の本領は役者の言霊にあると見ています。
だから、つか芝居を見た者にとって、コピー演劇が面白く感じられない。
役者だよ!役者。

そこを受け継いで欲しいと思うのです。
これは自身に言い聞かせています。

この数日

2010-07-13 23:49:18 | 企画2009~2015
流山児事務所「お岩幽霊」熊本公演受け入れが終わって、ちょっと一休み、といきたいところだが・・・、やり残しや今後の計画準備に追われる日々。じっくり、落ち着いて!の余裕がない。平静を保って見せているつもりだが、制汗剤を殺虫剤と間違えて脇に噴射する始末。私は虫か?
この数日の日記を簡潔に綴る。これで、今後の方向を確認する。

■7月10日(土)
子劇レポ【3】
台本が間に合わなかった。まずは、子どもたちに謝る。本読みの予定だったが、歌・ダンスとキャラクター探しをする。
今日で三回目の「子ども劇を作る」のワークショップである。若いお兄さん、お姉さんの劇団員たちにはなついてくれている。
オープニングはピアノ曲、子どもたちは動物のポーズで板つき!で始まる。え?・・・台本もないのに?
子どもたちの笑顔は大きな可能性を秘めている。11月の発表会まで楽しくやろうね。

■7月11日(日)
朝から「イメージトレーニング」の演劇ワークショップの方法を箇条書きにしながら、原稿作成。ワークショップ参加者にわかりやすくするためのプリントを作る。というよりは、まず自分で理解しておかなければならない。これまでの整理整頓でもある。
あ、私は58才になった。プレゼントにTシャツを頂く。これは何枚あっても嬉しい。感謝。

■7月12日(月)

7月26日におこなわれる「シナプスの転生」撮影会の会場である天草へ下見に行く。行きは集中豪雨。同乗する○虫さん、幸太君も命がけである。スリル満点でテンションは上がる。天草四朗さんが色っぽい!
メドは立った。コスプレ+パフォーマンス+生け花?「なんなんだコレは!」が突如現る企画である。
えっ、つかこうへいさんが亡くなった?色々なところへコメントを残す。
「あなたは天才!私は白菜。」と一杯呑む席でギャグのつもりで言ったら「わからん。」と一蹴された思い出がある。私ももうすぐ、行くよー。合掌。

■7月13日(火)
来年の春・夏に予定しているコラボ企画について、画家上野氏と打ち合わせ。まだ、内容は白紙に近いが、各分野(ダンス・演劇・美術・音楽etc)の監督・プロデューサーは必要。
今は8月末までの企画書作りに向けてのスタートラインに立ったところ。
行政型evntを超える熊本からの文化発信基地作りである。未来につなげたい!

「お岩幽霊」熊本☆終了

2010-07-09 23:55:48 | 企画2009~2015
朝10半、劇場入り。長い一日の始まり。
平日の公演、雨の天気予報もはずれ・・・客足を心配していましたが、なんとか埋まりました。
笑いあり、涙あり。お客さんがストレートな反応をしていた。

それにしても、この三日(流山児事務所が来熊して)、ストレスはピークに達するのではないかと、胃薬を持参していたのだが・・・。むしろ、体調は良くなる。
仲間意識が高まってきた。ここにも、すばらしい演劇のおバカさんたちがいる。
魔物にとりつかれたおバカさんたちはエネルギッシュである。・・・演劇は改めて集団の力だと感じる。

舞台には「生き様と死に様」が同居する。虚構であれ、しっかりとした「命」が鮮明に浮かび上がってくる場所が舞台にはある。
「お岩幽霊」を一言でいうと、「恨まない幽霊の悲しみ」。元気なセンチメンタルがここにはあった。

戦後の復興期、朝鮮戦争で特需景気に賑わう北九州のヤクザたちは、これまでの古い「義理人情」を捨て、闇の経済ヤクザとして勢力を拡大していった。ヤクザに限らず、日本市民たちも「お国のため!」を捨て、民主主義の豊かさを追い求めるようになっていた。
それが日本の戦後であり、新しい価値観になっていた。アメリカを恨むどころか、アジア侵略を反省するどころか、豊かさに邁進する。飢えの裏返しである。ここには、新しい闇も広がっていく。
それが「戦後の昭和」と思うようになったのは、歴史の教科書でもなければテレビや新聞などのNEWSや情報でもない。

映画や演劇である。・・・
私が今から40数年前の高校生時代に映画や演劇に関心を持ちはじめたのも、「暴力とエロス」をふんだんに表現されている映画や舞台に接することが多かった故もあるだろう。

「お岩幽霊」では、その「昭和」の「生き様、死に様」が集成されていた。幽霊たちの「欲望と愛」は「昭和」そのものだと言っても過言ではない。



この劇を裏側から関わることによって、わが劇団夢桟敷は流山児事務所に影響されつつも独自な世界を構築しつつあるという認識を持つようになった。
マイナーにはそれなりの生き方がある。・・・地方という特性の活かし方がある。
熊本の幽霊は怖い!恨むから怖い。そして、やさしい人が多い。私はそれを「美しい」と表現することにした。

流山児事務所の方々は夜10時には貸切バスで、次の公演地福岡へ!
熊本のスタッフは、終了後、直ちに劇場近くのファミレス集合。ささやかな打ち上げ。
駆け抜けて行った流山児事務所へのさみしさと、次へ向かっていく勇気が静かに持ち上がってきた。

幽霊日記No.8

2010-07-08 23:28:12 | 企画2009~2015

流山児事務所「お岩幽霊」出演者のみなさん。(写真:流山児事務所より)


am9:00健軍文化ホール入り。4月30日、劇団夢桟敷「薔薇色之病室Ⅲ」熊本公演以来2か月ぶり。劇場は不思議なもので、一度でも使うと生き物のように感じる。只の箱ではない。息をしている。客席の前列、一番後ろ、あらゆる方向から舞台を眺める癖が自然に身についている。
お、塩野谷さん。25年ぶり?流山児事務所が演劇団と名乗っていた頃からの知り合い。過去へタイムスリップしたような感覚。30年前の映像がフラッシュバックする。

午前中は搬入と照明・舞台仕込み。夢桟敷からは、クドシン、ましまん、田中幸太、肥後ちゃんが手伝う。勉強である。・・・イントレの組み立て作業が早い。


午後からは作夜に続いて、流山児さんら三人と玉名、大谷さんのところへ墓参りに行く。その足で、流山児さんが生まれた荒尾へ。劇場へ帰り着いたのが午後6時過ぎていた。
舞台設営スタッフは照明チームだけで、後はホテル、スーパーセント、居酒屋へ。
明日、本番を終えたら夜中に福岡へ移動のため、今夜だけがゆっくり、ということでホテル前の居酒屋で交流会をすることに・・・。午後8時~10時まで。


いよいよ、明日9日が本番である。



日本劇団協議会 創作劇奨励公演/流山児★事務所:制作
お岩幽霊~ぶゑのすあいれす~
熊本公演
時:7月9日(金)午後6時半開演(開場は30分前)
場:熊本市健軍文化ホール
問:096-343-0334[夢桟敷]
前売3500円(当日3800円)/学生割引2500円
詳細↓
http://www.ryuzanji.com/

幽霊日記No.7

2010-07-07 23:32:12 | 企画2009~2015
流山児事務所、本日夕方に熊本着。
伊藤弘子さん、さとうこうじさん、たち7名を連れて玉名の元劇団員(大谷さん)の墓参りをする。
彼は第三次演劇団時代、熊本演劇フェスティバル(1985年11月)で「ザ・孫悟空」に出演していた。
墓参りの後、実家に行き、彼のお母さんと会う。

とうもろこし、スイカ、饅頭、栄養ドリンク、缶ビールをふるまってくれる。
熊本弁丸出しで喋る。かわいい、お母さんだ。一番下の息子を亡くして、どんなに悲しかったことだろう。

「まぁまぁ、白髪になって、苦労されたんでしょ。」とお母さんが、私に言う。
「はい、苦労してます。」とヘラヘラ笑いながら答えた。

どうもおかしい。
お母さんは私のことを流山児さんと間違っていた。大笑いだ。

ましまんと私は運転手。みんな、ビールを美味そうにゴクゴク、・・・ああん、ああん。

水前寺のホテルに着いたのが10時過ぎていた。流山児さん、瓜生さんの顔を見て別れる。又、明日!
みんなは集団でホテルから出て行く。又、呑むのだろう。「純平は歩いて帰れ!」という声が聞こえたが、我慢!
ああん、ああん。
ましまんと二人で事務所に着いて、缶ビールを飲む。

明日8日(金)は劇場入りで朝から搬入仕込み!



瓜生さんが酔っ払っていた。本人曰く「酔ってない。・・・さあ、バーボンでも呑みに行くか!」・・・強すぎる、86才。
「お岩幽霊」は瓜生さんの歴史劇でもあるのです。

流山児事務所、黒テント、本多劇場、青年劇場/瓜生さん、全ての熊本のファン、集まれ、健軍文化ホールへ。
明日から健軍商店街も、しらみつぶしだ。
劇場から小言を言われるかも知れないが、一杯ひっかけて「お岩幽霊」に立ち会うと、尚うれし。

幽霊日記No.6

2010-07-06 23:19:38 | 企画2009~2015
連日の日記です。・・・缶ビールを飲みながら。
ここまでくると、無理矢理ガムシャラに日記を書いているような・・・。
時々、PCを開いたまま居眠りしています。生きていますよ~。
落ち着け、私。・・・自分を落ち着かせるために書いているのですから、楽しいな、私的を超えた日記。

流山児事務所は、本日公演を終えた四国松山市で馬刺しを食べて打ち上げているようです。
馬刺しは熊本だろうが!・・・酔っています。
松山スタッフさんから「熊本のスタッフ頑張れ!」のメッセージを頂きました。・・・大評判。

新劇界の大御所、瓜生さん(85才)が遊女になって現る!
本多劇場の本多さんが、ヤクザの親分!
流山児さんが歌を歌って登場!
真っ白になっていく暗転とは・・・。

ネタバレ御免。

見どころは・・・お岩幽霊の愛とセンチメンタル。
御免、御免、これは見てもいないのに、自身の感想でした。
時々、先走ることがあるのです。

新劇・アングラ劇・歌舞伎・大衆演劇そして、昭和ロマン映画をゴチャゴチャニしてスッキリする演劇。
夢桟敷ファンのみなさん、現代流山児歌舞伎をご覧あれ。

いよいよ、彼らは熊本入りです。
さあさあ、明日(7日)の夜から大変だ。自分の劇団公演よりも大変です。

大変だ!大変だ!を楽しむ二泊三日になる予感。

熊本の演劇人百人来てね。
健軍商店街の皆さん、50人来てね。
演劇大学の皆さん、百人来てね。
新聞などマスメディアで知られた、70万人の市民の皆様、百人来てね。

そうすりゃ、劇場はパンクです。

一回ポッキリの熊本公演、・・・明日へ「幽霊日記」はつづきます。

幽霊日記No.5

2010-07-05 23:37:39 | 企画2009~2015
お岩さんが夢にまで現れる。このお岩さんは「恨みはしないよ、あんたが好きだから。」と言う。夢の中で「恨んでくれー。」と叫んで目が覚めた。
朝のコーヒーを飲みながら、この7月から来年の7月まで企画5本を整理するが、・・・。まるで、売れっ子のタレントのような気分でニンマリ。情緒不安定也。



流山児事務所、満タンの内に東京公演を終え、今日は四国松山市で「お岩幽霊」の仕込みに入った、と連絡有り。松山は明日が本番!
熊本では受け入れも大詰め。只今、電話やメール、直接、人に会ったりして「来てよ!見て下さい。これを見逃したら大損します。最後のお願いに参りました。清き1票を!」・・・参議院選挙さながら、奔走している。街のみんなが有権者だ。お客様に見える。

もうひとつ、お願い。
公演当日の搬出に手が足りそうも無い予感です。猫の手でも何でも・・・とにかく、お手伝いできる人、申し出て下さい。

幽霊日記No.4

2010-07-04 23:00:49 | 企画2009~2015
流山児事務所「お岩幽霊」熊本公演が目の前に迫って来た。
彼らは明日7月5日より四国松山に向かう。
松山→熊本→福岡のツアーだ。

わが劇団(と言っても、私、座長、卓さん、海幸大介の世代)としては、31年前にお世話になった劇団(当時は「演劇団」と名乗っていて、今の事務所の前身)でもあり、アングラ劇第二世代の旗手とも言われていた。

私たちは東京高田馬場にある群六舎スタジオを稽古場に使っていた。
ここで稽古をしていた劇団は、演劇団(流山児祥さん)の他に、転位21(山崎哲さん)、ブリキの自発団(生田萬さん)、劇団日本(三原四朗さん)などが使っており、顔を合わす機会も多かった。

とりわけ、流山児さんにはお世話になり、演劇のイロハもわからない私たちを稽古に参加させてもらったり、劇団員を出演させてもらったりしていた。

今思えば、この経験が基本になっている。
東京から熊本に拠点を移してからの紆余曲折はあったものの、今の若い20代世代の劇団員たちにとっても、ひとつの流れを引き継いできたようにも思う。

この数年、熊本で「演劇大学」なる実践セミナーを4回おこなったが、流山児さんが熊本出身ということもあり、実行委員長も務めてくれ、若い演劇人や市民にも熱い風を運んでくれた。

「お岩幽霊」の公演を成功させたい。
私的なことだけではなく、現在の演劇を見て欲しい!と思う。
今や、日本を代表するトップランナーになった。

7月9日(金)まで、受け入れもラストスパート!

「海」image-WS7.3

2010-07-03 23:03:59 | 企画2009~2015
■7月3日(土)18:00-21:00
熊本市武蔵丘教会
「イメージトレーニング・ワークショップ」No.1

雷雨。・・・鹿児島では道路決壊、水難事故で死者まで出た。

無理は禁物。事故にでも遭遇すると目も当てられない。欠席者もいた。
命がけで来なくてもいいよ!
このWSは来年の夏くらいまでは月1回でつづけるつもりです。気楽にいこう!

準備体操のち、イメージのお題をMRヨハネ君(画家)から「海」を頂く。
劇団としても7月26日に「海」のイベント(注:「シナプスの転生」撮影会in天草)に参加する予定がある。
このテーマに感嘆。
「おー!なんという偶然。」
ヨハネ君は「海に生命の起源を表現する絵に取り組んでいる。」とのこと。
注)違っていたかも知れない。まぁまぁ。違っていたらカレーライスを食べにおいで。

今回は道具や衣装などは何も設定でせず、身体ひとつ。音楽は三味線とピアノ(幸太君が選曲した、ミステリアス。こんなのもイメージ的には面白い。何故か崖っぷち音楽である。)

トレーニングは話の流れをサンプルとして設定する・・・サンプルは肥後丸ちゃん。誰でも良かったのだが、目が合ってしまった。

砂浜を歩く→波打ち際
海に入る→深くなる→深い海の中へ沈む
サメに遭遇→食われる
サメの体内→サメになる
サメが浮かんでいく→空を飛ぶサメ→空飛ぶナニガシ

あくまでもイメージのサンプルである。

何度か繰り返す内に、海の中での出来ごとに新しい気づきが生まれる。見えるモノ、感情などが変わっていったりする。

それを「ことば」(単語)で動きながら発してもらう。
モノを語っているのに、感情が色に見えたり、会話になったりして響き合う。
一歩間違うと新興宗教?
会場は市民権を得ているプロテスタントの教会だ。誤解のなきよう!牧師さんには迷惑をかけたくない!

ひとりひとりが「言葉」によって反応し合い、音楽と共鳴するようになる。
1分という短い時間のドラマ。これを何度も繰り返していくと、それぞれの「海」が広がってきた。
幻想的な「海」そして「命」を描いている。無意識に共通項を見出す。

イメージは波紋する。

終了後、雨は止んでいた。
誰が呼び掛けたわけでもないのに、近くのレストランに全員集まる。・・・あれ?私が誘ったような気もするが、そう、犯人は私です。
またしても、私だけ生ビール。極楽極楽。・・・だめなのよー。あきらめられた人間です。
会話は、次のワークショップへの抱負で胸がプリンプリンに膨らんでいった。昨日からプリンプルンポインなどが頭の中で渦巻いている。
ヤバいぞー。

劇団夢桟敷では、劇団員のソロ表現も視野に入れています。
このイメージトレーニングは異分野のコラボレーション活動も企んでおり、今後、新たな活動の可能性を探っています。

この日記を読んだくらいでは「よし、私も参加してみよう!」とはいかないだろうが、参加したい方はテッテ的に愛し合います。年齢男女問わず。・・・日本語がおかしい?
(誤)愛し合います。
(正)表現方法を共に作ります。

とりわけ、音楽・美術・ダンスの分野の方、コラボしましょ。



「お岩幽霊」公演が近付く。あ~、チケットの集計が待っている。
夜が深まり、又、激しい雨と雷。・・・しばらくは「幽霊日記」につづく。


会議   
■7月1日(木)


来年の夏までの劇団活動予定アウトラインが決まった。
いつも目先に追われている者にとっては余裕のある計画を立てたいのだが、結果、自分の力量を超えることばかり。・・・いつでもフル回転するオンボロエンジン。何度もオーバーヒートしたのに懲りないものだ。

中心メンバーの他、YKTさん、マミちゃん(ダンサー)、本田君(スタッフ)が会議に参加した。
本田君は座長の誕生日を一日間違えて、ジャージー牛乳で作った濃厚なプリンをプレゼントで持って来てくれる。
甘いモノを食べながらの会議は和やかになり良いねー。会議は美味しいに限る。ストレスも吹き飛ぶ。

プリンプリン、プルンプルン、ポインポイン、・・・稽古場はオッパイでイッパイ。

これからの一年!ダンス、美術、音楽とのコラボレーションになる。
元々、演劇は総合的なモノが絡み合っている。
だが、今の時代、劇作家のための発表の場になっているような、そんな狭さを感じることも多々。
これが「小劇場」だったの?・・・お客さんは役者を見ていることを忘れてはならないね。

もっと集団としてのエネルギーを爆発させたいものだ。
劇団に所属していると、そのチャンスはある。
これからの一年、リーダーシップを取れる若者たちを輩出させたい。
打たれ強い者は、人間として魅力あるよ。

プリンプリンで会議は踊る。・・・笑顔がステキ。

会議終了後、近くのレストランで生ビール3杯。心もオドリだす。





7月9日(金)18;00開場/18:30開演
「お岩幽霊」流山児事務所・熊本公演
於)熊本市健軍文化ホール

※東京公演は大入り満タン、大好評の内に終了。
新劇?アングラ劇?商業演劇?・・・垣根のない演劇の現在。
見れば、自由な心が広がります。

間近にて、予約はお早めに!・・・歴史的な劇に立ち会おう!
メールでも受け付け中です。
yumesajiki@ybb.ne.jp

イメトレWS実施

2010-07-01 02:36:42 | 企画2009~2015
イメトレとは「イメージトレーニング」の略。
WSとは「ワークショップ」の略。
近頃、略語を使うことしばしば。

イメージトレーニングとは何でしょう。
スポーツでも、何かを企画する際にも、日常的に「イメージトレーニング」という言葉が使われたりします。
目を閉じたりして「こうすれば成功する!」なるコンサルタントなどでも言われたりしています。
私が言うと怪しく思われる。
新興宗教のような匂いすら与えてしまう。
チガウ!チガウ!と否定すれば、尚更、身を引かれてしまう。チガウのです。

劇作りの場ではこのイメージトレーニングが、役者の演技や身体作りに於いても重要な力になります。
悪いイメージしか持ち合わせていないと、そのような表情や仕草となって無意識に出てしまう。
まして、何のイメージも持っていないと、何も無いことしか表れてきません。
劇の稽古では言葉だけでなく、内面のイメージを表に出す為に身体や音、道具や衣装、その他を使って表現することになります。
つまり、ココロの風景というヤツを表現するためのトレーニングです。

演劇の関係者だけでなく、劇団でおこなわれている稽古を通して「イメージトレーニング」の方法を公開します。
興味のある方は、ご参加下さい。
体験、見学、いずれも自由です。参加費無料。劇団への勧誘でもありません。



「イメージトレーニング☆ワークショップ」

時)7月3日(土)午後6時~9時

場)熊本市武蔵丘教会
JR豊肥線「武蔵塚駅」下車。駅を出て線路沿い大津(右)方面400メートルのところに教会があります。駐車場有り。

問)要予約
メールで劇団まで申し出て下さい。
yumesajiki@ybb.ne.jp



このワークショップは来年の夏まで月1回程度つづく。

実は、あるイベント企画(異分野コラボレーション)に向けて、必要に迫られておこなうことになった。

明日7月1日の夜は企画のための会議。
7月9日は演劇公演の受け入れだというのに、なんだかんだと、やることが舞い込んでくるのです。

あ~、ブラジルに移住したい!(まったくのイメージです。)
やっぱり、ここがいい?