公演ご案内
旗揚げ30年企画(第一弾)
劇団夢桟敷 第50回公演
「夢の下張り~梅川事件'79」
![](http://www.geocities.jp/yumesajiki/umekawa-keiko3.jpg)
【時】11月26日(水)/11月27日(木)/11月28日(金)●夜8時開場開演
11月29日(土)●昼3時~(パーティーのみ実施!!)
【場】Jaran Jaran【地下特設劇場】熊本交通センター裏
早いもので劇団夢桟敷(旧名:劇団ブラックホール/1979-1984 in 東京)は30年目に入りました。
これまでに10周年、20周年もあったのだろうが、まったく意識したことがなかった。振り返ってみれば、もう十年、二十年やってきたのか・・・それで良かったのだ。
30周年?・・・時間の長さと日々追われた劇作りに狼狽している。・・・地域(熊本)では「はぐれ雲」のような演劇集団になっていたように思う。それは「アングラ劇」あるいは「新劇批判」なる小劇場の運動として劇団を主張してきたからだろう。・・・時は流れている。演劇は進化してきたのだろうか。
この機会に、30年前の旗揚げ台本を使って公演してみようと思った。劇団としての初志=原点だからだ。メンバーは何度も入れ替わり立ち代り、いつまでも若き俳優たちに囲まれていた。世代交代はこの期間で3回4回。旗揚げからの生き残りは座長の夢現と山南のみ。
30年で、この劇団に入団してきた者は百人以上になる。時間の長さに関係なく一定期間は演劇を共有した者たち。そして、協力者や観客として関わってきた人々は如何ほどいるのだろうか。
それを想うと、この小劇団が気の遠くなるような数の人々との関わりがあったことを痛感する。
![](http://www.geocities.jp/yumesajiki/umekawa-keiko2.jpg)
昔の台本を読み返すと「恐ろしいことをやったもんだ。」と震えた。それは、30年前に私(山南)が書いた「四畳半夢の下張り~梅川の死のような微笑み」である。上演は1979年11月(東京)/12月(熊本)。私と夢現のふたり芝居。・・・全面的にアジテーションだった。観客を監禁状態にした。つまり、「ここから一歩も出てはならぬ!」と脅迫した。役者は犯人であり、観客を人質としていた。役者による独裁を劇で表現しようとした。
「発想が幼稚だった」と今思えば反省しきりである。演劇は「そんなに甘いものではない。」と思うようになる。その後、何度か「改訂版」として上演した。悲劇は喜劇と表裏一体にもなってしまう。この劇は危険なブラックジョークで包み込まれる。リアルとは何か?それはクソ食らえ!だと思う。劇は虚構化する原動力だ。虚構化には勇気が必要。それが30年の劇団夢桟敷の伝統芸であり個性として培われてきた。虚構の中に真実を見せたいと思い続けている。それが劇だ。小劇場の得意技でもある。シュールさに癒される人々と出会いたい。
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1979年1月。三菱銀行大阪北畠支店、銀行員を監禁して警察に撃ち殺された梅川事件を題材にした犯罪劇である。密室で何がおこなわれていたのだろうか?を妄想したのだった。
あれから30年。妄想は現代を暗示していたように犯罪自体が劇的になってきた。いわゆる劇場型犯罪の日常化。
この劇は長い年月をかけて発酵した。それを新しい若い俳優たちとの感性で共同作業する。
「狂気と凶暴さの中に優しさが垣間見られる。」劇作りとなってきた。
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そして思う。若い俳優(劇団員たち)にとっての30年(生まれる前からの)も他人事ではない。劇団に所属することの共犯。・・・お客様との共犯関係を劇場の密室の中で味わいたいと思っています。