山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

夢オチ【序】

2015-04-30 16:30:52 | 透明人間三部作-2014-2015
「な~んだ、夢オチかい。」
夢オチを馬鹿にするなかれ。「これは夢でした。」では終わらない。現実と悪夢は見えない糸で結ばれているのです。その糸こそ「われの知らない世界」であります。
稽古場で「知らない世界」が出そうになると「狂気だ!」と言います。
劇団を旗揚げした36年前(1979年)は「狂気」のことを「怨念=ルサンチマン」と言っておりました。
若かったねえ!・・・今じゃ、それを「エロス」に置き換えるようになりました。
稽古はゆっくりボチボチ進んでおります。
熊本公演まで一ヶ月前。「ラストの場」は「産婦人科」から「海のボート(エンジンが青年の静脈にチューブで繋がれている)」その<間>に<魔>を埋め合わせようとしております。

劇団夢桟敷 第67回公演
透明人間三部作 完結篇
「ねじ式~夢日記より」
原作◎つげ義春/作◎山南純平/演出◎さかもとまり
■熊本公演
5月29日(金)19:00開演
5月30日(土)15:00開演/19:00開演
会場:ギャラリーADO
熊本市中央区河原町2
■札幌公演
6月6日(土)15:00開演/19:00開演
6月7日(日)15:00開演
会場:実験演劇集団「風蝕偉人街」
   アトリエ阿呆船
札幌市中央区南4西9 栄輪ビルB1 

【出演】
工藤慎平/坂本咲希/肥後丸./太郎ピーチマンション
海幸大介/東田まなみ/夢現/山南純平
【スタッフ】
坂本冬馬(音楽)/タカハシユウジ(音楽)/のわーる(音楽)
工藤慎平(舞台監督)/坂本咲希+太郎ピーチマンション(宣伝美術)
肥後丸.+海幸大介(舞台美術)/さかもとまり(音響)/山南純平(照明)

木戸銭◎前売り2000円(当日2500円)
(問)09045815190(制作)09028576099(塚崎)
予約■yumesajiki@ybb.ne.jp
ウェブ予約■https://www.quartet-onlie.net/ticket/nejishiki

仮面工房「不夜城」◎風評伝々。

2015-04-28 14:49:43 | モノローグ【エトセトラ】
過日25日(土)26日(日)ギャラリーADOにて劇団仮面工房「不夜城」(作演出・大谷豪)を見ました。
元々、福岡の劇団ですが熊本での公演は5年前より年1回、今回で5回目になります。これまでは主宰の佐野元一さんが演出をしておりましたが、今回は豪さんの初・作演出となりました。佐野さんに言わせると彼(豪さん)は「天才肌」と評しておりました。それはチョット納得できないところであります。風貌や顔、彼の存在感は並ではない!しかし、天才は知恵熱や鼻血で苦しむことはありません。人並みに苦しみながら作る努力の人でしょう。努力が風貌と絡まって知恵熱や鼻血を出すものだから天才に見えるのだと思います。怪人です。

唐十郎の「少女仮面」で舞台の場面となったのは喫茶「肉体」であった。仮面工房の「不夜城」は喫茶の名前であります。「不夜城」から連想される、もう一つのネーミングを「秘密結社」と考えていたのです。つまり、テロリストの?
登場人物は6名(探偵・刑事・チンピラ・養護施設の理事・知的しょう害のジュン君・店主プラス「影のオーナー」)。
店に集まってくる人間関係から想像できるドラマは?・・・誰かが殺されると思っていた。この劇は殺人事件になるだろうと予想した。
サスペンス劇場だと犯人探しになるだろうが、劇では「どう殺されるのだろう?」と興味を持って追っていると、ジュン君と店主のもみ合いで店主がピストルで撃ち抜かれてしまったのであります。計算されていた秘密の事件になってしまった。店主が政治の世界へ立候補しようとしたために影の世界では「ヤツを消せ!」と仕組まれたのだろう。
ファシスト(独裁者)は一人でなければならない。そんな台詞が隠されていたように思えたのだった。

大園淳一のジュン論


知的障害?最近は障害者の「害」と称することを廃止しようという動きがある。なるほど、人間に対して「害」とは嫌な言葉である。
体の不自由な人々や奇形、脳の疾患など、この地球上には様々な人々が暮らしている。劇やドラマでも登場する。扱いや表現の仕方を間違えると社会的問題になる。それは「差別」として評されるからだろう。誤解が誤解を拡大することになります。
差別とは何でしょう?タブーとは何でしょう?・・・一方、優生保護の思想が匂う時代ですね。
劇では喫茶店のタライで釣り堀を楽しむジュン君が登場する。タライの中には魚はいない。楽しそうに釣る男が大きな俳優=大園淳一さんだ。汗を飛び散らす。息が荒い。舞台を叩くと会場が揺れる。笑顔が可愛い。この笑顔に癒される。
この役柄は難しいと思っていたから、彼をマークしていた。何故、難しいかと言えば、自閉症と言っても様々だからだ。定番はないのです。あるとすれば天使だ。
これまでも彼の大きな身体に天使を見てきた。
「このタライの中には魚はいないよ。釣れないのはわかっている。」のジュン君のセリフが決まった。
ここに「不夜城」の、「秘密結社」の、テロリストの、優しさがあったと思うのであります。

さーて、仮面工房さんとはこれから先のことを考えて行こうと思います。
個性豊かな俳優さんたちとの関係を深めていきたいものです。
プランニングを少々話せて良かったですね。
皆様、お疲れ様でした。これからも宜しくお付き合い下さい。
尚、松山市より掛け付けて下さったギー藤田さま(映画監督)との出会いはモーレツでありました。次にお会いできるならば、舞台か画面の中のような予感があります。

われの知らないところ

2015-04-20 16:34:21 | 透明人間三部作-2014-2015
昨日(日)で二日間の撮影が終了した。
舞台で使われる映像の時間は2分×3場で終わるであろう。つまり、5分程度のために二日間を要した。残りの作業として編集がある。(注:タロー君が担当する。)
商業、資本主義の生産性からすると利益を生み出すための効率は悪い。そればかりかエコノミクスの損得計算からすると場外乱闘である。
これが「劇」というものだ。スリリングである。
映像のプランニングはメモ程度にノートに残していたのだが、実際に撮影に入ると新たな思いつきが浮かんできて素早く実行する。これが机の上だと思いつきは消えたりするのだが。
「一枚ずつ布を剥ぎ取る。」・・・どこまで行ってしまうか?
思いついたと同時に腹に痛みを感じるのだった。下痢だ。ここで中断するとイケナイ。その気になってきたところで水をさすことになる。グルグルグル(腹の音)。
「清く、正しく、美しく!」・・・我慢できずにトイレに駆け込んだ。
無性に腹がたった。
便器に座ったところで「人の弱みにつけ込んでマルチ商法をしている者たちがいる。」
みんなが騙されると思ったら大間違いだよ。「この水を飲めば癌が治る?」うん万円?売った人の手数料(利益)が大半価格になっているのです。
インチキ霊媒師から「あなたの守護霊はキツネです。」と言われたことがある。なんと!除霊するのにうん万円?
「キツネを除霊することはない。」と断った。
さて、次回公演「ねじ式」ではキツネたちが「われの知らないところ」へ案内しますよ。
騙されてみてくださいませ。

V撮影&稽古

2015-04-19 11:12:14 | 透明人間三部作-2014-2015
昨日(土)今日(日)の二日間で次回公演「ねじ式」の舞台で取り入れるためのV撮影をおこなっています。
昨日のロケ現場は熊本市南区河内漁港でした。
現場に向かう途中、「あの金峰山は市内では一番高い山だよ!」と山の向こうに有明海が広がる景色を思い浮かべながら、熊本人にとっては当たり前のことを語った。
「その高さはトキオのスカイツリーと同じだ。」・・・だから何なのよ。
午前中は日が照っていて、人影を撮るにはもってこいだと安心していたのだが、昼すぎると霞がかかったようになり「影」に不安が走った。
現場の探索や天候との調整で慌ただしくなった。6名(夢現、クドシン、大介、タロー、まなみ、私)で動いていると、地元の方々から「どこのテレビ局?番組は?」などと問われた。
出演者たちはお面を被って異様な風情である。犬には激しく吠えられた。
「いえいえ、そうではありません。私たちは熊本の劇団です。」と撮影の趣旨を町の人に説明しながら、公演のチラシも配った。
「へーっ×3、熊本ー札幌で公演ですか?」・・・本州を跨ぐことに興味を注がれた。細々したことは言わなかった。「ええ。クドシンのふるさとなもんで!」は伏せた。
4時過ぎると小雨がパラパラを降り始めた。予定していた撮影は終わったから、夜の稽古場まで移動する。稽古場ではプロジェクターを使って、照明効果としてはどうなるか?を試してみた。
ふむふむ。・・・想像通り、影が生きてくれれば面白い。
さて、今日も撮影である。熊本電鉄(レトロな風景を狙う!)とセクシーを追う。

魔が刺す時

2015-04-16 15:56:13 | 透明人間三部作-2014-2015
先送りしていた劇中映像の撮影日は4月18日(土)19日(日)の予定である。
貧血気味であろうが血が騒ぐ。この血は一体何でしょう?映画への憧れとは違う何か。つまり、映像を照明効果として企んでいるのです。
過去にも何度か挑戦してみたが、やっぱり!実験は失敗している。この分野での映像スペシャリストは数多くいます。まして、コンピューターによる画像加工が一般化している昨今、舞台で映像的な何が起ころうとも驚きは薄れている。ふむふむ、舞台で使われる映像は単なる小細工のようにも思われる。ふむふむ。・・・。
わかっていて挑戦する!「魔が刺す」とはこのことだ。舞台で使われる映像は舞台の説明ではない。
効果とは何だろう?ふむふむ。・・・。
いずれにしても可能性を信じよう。人だ。

劇団夢桟敷 第67回公演
透明人間三部作 完結篇
「ねじ式~夢日記より」
原作◎つげ義春/作◎山南純平/演出◎さかもとまり
■熊本公演
5月29日(金)19:00開演
5月30日(土)15:00開演/19:00開演
会場:ギャラリーADO
熊本市中央区河原町2
■札幌公演
6月6日(土)15:00開演/19:00開演
6月7日(日)15:00開演
会場:実験演劇集団「風蝕偉人街」
   アトリエ阿呆船
札幌市中央区南4西9 栄輪ビルB1 

【出演】
工藤慎平/坂本咲希/肥後丸./太郎ピーチマンション
海幸大介/東田まなみ/夢現/山南純平
【スタッフ】
坂本冬馬(音楽)/タカハシユウジ(音楽)/のわーる(音楽)
工藤慎平(舞台監督)/坂本咲希+太郎ピーチマンション(宣伝美術)
肥後丸.+海幸大介(舞台美術)/さかもとまり(音響)/山南純平(照明)

木戸銭◎前売り2000円(当日2500円)
(問)09045815190(制作)09028576099(塚崎)
予約■yumesajiki@ybb.ne.jp
ウェブ予約■https://www.quartet-onlie.net/ticket/nejishiki

シャバ(娑婆)ダバだ。

2015-04-15 16:34:09 | がん治療日記2015-
山南ノート、ご無沙汰しており申し訳ありませんでした。
「明日は書く!」と放置すること10日が過ぎてしまいました。「もしや、死んだのでは?」の声もなく、安心している次第です。

4月7日午前中、9日間の手術前化学療法のための入院から開放されました。
一番苦しかったことは「喋る相手がいなかった」こと。一人で黙ってジッとしている辛さ。ビデオや週刊誌を読んでいるだけでは満足のいく時間の流れ方をしてくれません。受け身が苦手です。苦手を経験できたことが良かったかも知れない。人の話を聞く訓練です。
退院したからと言って安心していません。がん抑制の化学療法の経過と手術が待っています。2-3ヶ月後の手術に向け、同時進行で「ねじ式」公演に向かいます。虚実入り乱れております。これがナントマア、新鮮で挑戦者になった新たな気持ちにさせてくれました。自分は安全な場所にはいない。
ところで、お世話になっている病院のことを「白い巨塔」と言っております。一部のセンセと看護師さんにバレていました。アハアハです。笑いで救われます。

「ヤツは終わった。」に抗してイキマス。・・・シャバ(娑婆)ダバだ。

ポスター

2015-04-05 20:42:31 | 透明人間三部作-2014-2015
良かったのか、悪かったのか?…自分ががん患者であることを公開してご心配をおかけしたり励まされたり、恐縮しております。…喜んでいる者がいるに違いない!と思っていましたが、それは間違っていました。
術前化学療法で入院して一週間が過ぎました。私不在の稽古は進んでいます。
本日4月5日(日)は次回公演「ねじ式」舞台で使用する映像(動画)撮影の予定でしたが、天気が良くないので延期になりました。
写真でご紹介させて頂きましたが、宣伝美術チラシをタロー君がポスターとして構成しました。
街に出て、お店などに貼らせて頂きます。
最近、人に会いたくてたまらなくなっています。動きますよ!

窓の内側にて

2015-04-04 15:48:21 | がん治療日記2015-
今朝はなんと朝4時から目が覚めてしてしまった。このような時間に目が覚めると「暇だー。」…持参したビデオも見てしまったし、座長に頼んで持って来てもらおう。昔の劇団での公演記録を見ると入院生活も仕事になってしまう。演劇を仕事と割り切っているところが貧乏性なのだ。
携帯用のがん抑制剤の点滴を持ち運ぶようになった。中身は風船の力で昨日空けた胸の穴から静脈に流れていくのである。あと数日で安定しそうだ。そうなると自宅で療法、白い巨塔は手術まで通院である。その間、普通の生活が送れる。朝早く目が覚めてもヤルことはある。貧乏暇なしというヤツだね。
病棟ではヤルことが限られている。明るくなって窓から景色を写真に収めるのが日課になった。風景だからプライバシー云々は関係ないだろう。実は院内での写真撮影は禁止事項になっているのです。
窓の外は小雨。近いのに遠くへ感じられる。
入院して6日目である。この間、大きな声を出していない。これが続くとテンションが下がる。血圧も下がる。病人のようになってしまう。…あ、私はがん患者なのである。
窓の内側の日常が徐々に心地よいものになろうとしています。各階に談話室やロビーがあり、「ここは稽古場」として使える!いやいや、公演だってできるぞ!と思ってしまうのである。入院が長引くと、白い巨塔は劇場化するでしょう。
今日は雨の中、座長の妹がお見舞いに来てくれました。声を出さないと喉が枯れます。
(つづく)

FOLFOX療法

2015-04-03 20:22:39 | がん治療日記2015-
すみませんね、この数日ビョーキ入院の記事が続いております。
本来ならば次回公演「ねじ式」について書くべきところ、5月クマモトー6月サッポロ!話題は豊富です。
座長(夢現)に演出を回し、劇団員たちも各々の担当で取り組んでいる様子、もしや、夢桟敷は新しい時代を迎えているのかも知れません。
病室で思いを巡らせています。
ところで今日は血液の鉄分が基準値を超えていたということで、やっと癌の進行抑制やがん細胞の縮小を目的とする手術前化学療法に入りました。
抗がん剤を体内に投与するための「穴」を鎖骨下の胸の部分に設けました。専門用語でFOLFOX療法と言います。自宅での投与も出来るようです。副作用や効果を診るためにもう少し入院が続きます。
おっと…4月5日(日)、劇団の映像撮影は延期になりました。野外撮影の為、大きな理由は天候です。曇り雨の予報です。
徐々に白い巨塔のイシャ(教授)や看護師さんたちの間で夢桟敷「ねじ式」公演に興味を持ってくれる方々が広がりつつあります。院内での営業はダメでしょう。まっ、チラシを内緒でお渡しするくらいなら良いのでは?
▪️
期待される効果
アメリカやヨーロッパで行われたこの治療法の結果では、がんが半分以下にまで縮小することが約半数(45~56%)の方に認められました。これによって、がんに伴う症状の暖和を期待することができます。手術ができない、または難しい大腸がんに対して抗がん剤治療を受けることにより、何もしない(無治療)よりも延命効果があることが証明されていて、この治療法は現在ある抗がん剤治療の中でももっとも延命効果が大きいものの一つであることが報告されています。
現在の医学ではFOLFOX療法、またはFOLFIRI療法以上に効果のあることが証明された治療法はありません。
(静岡県立静岡がんセンター消化器内科パンフレットより)

鉄剤投与おわり

2015-04-02 19:49:50 | がん治療日記2015-
「血液の鉄分が足りない。」と言われて点滴でヘモグロビンを投入すること4日目。
貧血症状の自覚がなかったから、「目眩」や「ふらつき」は気分的なことだと思っていた。思い返せば、わがレトロアパートの二階に登ると息切れがしていた。稽古中に女優の胸の谷間を見るとクラクラとふらついた。
そうだ、アレは貧血だったのだ。…言われれば、「私は貧血男」だと4日目にして思うようになった。
基準値9まで鉄分を!今のところ、8だからアト一歩である。これがクリアー出来れば化学療法の施行となります。
昼過ぎ、熊大演劇部のなつみちゃんがお見舞いに来てくれた。「お孫さん!」と間違えられたらしい。せめて「娘さん」くらいにして欲しかった。お見舞いの効用があった。
夕方には鉄分9クリアーできたと連絡があった。いよいよ明日から治療に入れる。
貧血よ!サバラ、?サラビ、?サウージ(乾杯)…?サラバ。
入院生活も少し慣れたから、ベッドで仕事もしよう。夜は座長と稽古の進み具合などを確認した。

研修医ドドーッ

2015-04-01 19:37:16 | がん治療日記2015-
朝8時半になると「回診!」白衣のイシャたちが各部屋を回って患者の様子をみたり、コミュニケーションをとっている。
集団で廊下を歩いている姿は白い巨塔の権力図そのものに見える。ドッドッと足音が威圧的だ。
今日は4月1日のエイプリルフールだが、ここでは嘘をつくイシャはいない。新年度の始まりということで研修医が金魚の糞のように長い列を作ってくっついていた。言い方が宜しくない。大名行列に見えた。
3日目を迎えた。ヘモグロビンの点滴が続いている。これが解決しないと化学療法に進めないのだ。
劇団では私不在で稽古を進めてる。4月5日の撮影日は天気予報ではキビシイらしい。
天気も巻き込んで、病院と劇団を晴れにしなければ!