ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

「ロミオとジュリエット」

2015-09-14 22:32:37 | 芝居
8月20日東京芸術劇場シアターウエストで、シェイクスピア作「ロミオとジュリエット」をみた(演出:トーマス・ベイリー)。
毎年恒例のオックスフォード大学演劇協会 OUDS の来日公演。

今回は、主役の二人が同性愛者(ロミオも女)であるという設定。男であるロミオを女優が演じる、というのではない。
ついにここまで来たか、という感じだが、セリフをその設定に合わせてたくさん変えないといけないので、結構大変だったろう。
作中の「息子」を「娘」に、「彼」を「彼女」に全部変えている。だから「皇帝」は「女帝」になる。
面白いのは、husband を mistress に変えている点。

キャピュレット家の女たちは全員黒づくめの衣装。
乳母役の女優が面白い。
役者はみな、今回、驚くほどレベルが高い。

舞踏会は近未来とて激しいダンスと大音量。それゆえ途中で主役が二人だけになると、息遣いが荒い中での会話となり、ちょっと大変そう。
この二人、やたらとキスしまくるのが興ざめ。自由過ぎると喜びも半減すると思うのだが。もしこの芝居の中で、二人のキスが、たった
一回だったとしたら、それはどれほど甘やかなキスとなったことだろうか。

ロミオの友人ベンヴォーリオも女性ゆえ、甲高い声が多く、それがいささかつまらない。

字幕の操作がまずい。最初、芝居の進行とずっとずれていた。なぜか句読点がないのもよくない。

ジュリエットはロミオを my wife (私の妻)と言う。つまり二人共相手を妻と呼び合う!

3幕5場でキャピュレット氏は妻を平手打ちする!(かつてここで乳母を激しく打擲するという演出があったが)この後、妻は娘の嘆願に対して
冷たく、取りつく島もない態度をとるが、この平手打ちによって彼女の心理が理解し易くなった。

ジュリエットは this ring と言ってペンダントを首からはずして渡す。

ジュリエットの死を嘆く家族の振る舞いが、異様にオーバーで珍しい。笑わせたいのか、と思うほど。意図的な悪意?を感じる。

いつもながら舞台装置は簡素で、ほとんど何もない。
中央にテーブルが一つあり、それがいろんな風に使われるが、最後に何とキャピュレット家の墓所になる!その前面をロミオがつるはしで壊して
剥がすと、中にジュリエットが横たわっている。

ジュリエットが女性しか愛せない人だったら、誰もが褒めるパリスのことを「ヒキガエルのように嫌がる」というのがすごくよく分かる。
この点は説得力があって面白い。

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