ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

「フリー・コミティッド」

2018-08-04 16:30:36 | 芝居
7月3日青山クロスシアターで、ベッキー・モード作「フリー・コミティッド」を見た(翻訳:常田景子、演出:千葉哲也)。

成河(ソンハ)の一人芝居。
チラシを見たわけでなく、新聞記事を読んであわててチケットを入手して駆けつけた。

マンハッタンの大人気レストランで予約の受付係をするサム(成河)は売れない役者。仕事をしながらオーディションの結果を待つ身だ。
舞台は有名レストランの階下にある殺風景な事務所。そこには予約専用の電話が2台、上階のレストランに通じる1台、キッチンに通じる1台、
シェフに通じる1台、と計5台の電話があり、始終鳴り続ける。それらをさばきつつ、たまに静かになると、自分の携帯からオーディションの
件について問い合わせる。
VIPの予約漏れ、英語の分からない日本人客、グルメ雑誌の記者とカメラマンによる取材、ダブルブッキング、果ては女性客のトイレでの失敗
の後始末・・・と次々に困難が降りかかり、目まぐるしく振り回されるサム。しかもコックや上司は勝手な命令ばかりしてくる。
あまりに惨めな自分に泣き出しそうになる彼だが、そんな彼に思わぬ幸運が訪れる。

英語のタイトルの意味は、「満席です」いや「いっぱいいっぱいなんです(汗)」か。
ラスト近くで上司との関係が、思いがけず劇的に変化するのがおかしい。
父親と兄との電話から、彼の家族の状況が次第に見えて来るのもうまい。

1999年にブロードウェイの小劇場で初演された人気作品の由。
まことに後味のいい、心温まる、よくできた芝居だ。
ベッキー・モードという新しい劇作家の登場を歓迎したい。

音楽は、ショスタコーヴィチの5番を、面白く使っている。

成河と言えば、ある時は森の妖精、ある時は米国人でIRAの兵士、そしてまたある時はホテルの奇妙な従業員、と実に多彩(多才)な人。
そしてこれまで一度も期待を裏切られたことがない。
今回も、38人もの人物を様々な声音で描き分けて見せてくれた。歌もうまい。
女性の声も魅力的。これなら今後、女役もやれると思う。
イケメンを演じる時、本当に美しかった。これぞ芸の力。





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