ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

オペラ「戯れ言の饗宴」

2014-12-18 18:26:09 | オペラ
10月26日新国立劇場中劇場で、ウンベルト・ジョルダーノ作曲のオペラ「戯れ言の饗宴」をみた(台本:S.ベネッリ、オケ:東京
オペラ・フィルハーモニック管弦楽団、指揮:時任康文、演出:馬場紀雄)。

イタリア語上演。日本初演。

15世紀後半のフィレンツェ。3人の男が美女ジネーヴラをめぐり繰り広げる愛憎劇。ネーリ(村田孝高)とジャンネット(上原正敏)は
ジネーヴラ(翠千賀)に愛の告白をすると、彼女はネーリを選ぶ。ジャンネットは恋合戦に破れたことをネーリとその弟ガブリエッロ
(北嶋信也)にからかわれ、袋詰めにされ川へ放り込まれる。復讐に燃えるジャンネットは宴席でネーリを酩酊させ、その隙にジネーヴラ
を略奪。それを知ったネーリは錯乱し、皆に狂人扱いされる。
ジャンネットは復讐を続行、弟ガブリエッロも密かにジネーヴラに思いを寄せていることを利用し、兄ネーリには自分がジネーヴラと
部屋で逢引をすると伝え、弟には彼女が部屋で待っていると伝える。兄は彼女の部屋に忍び込みベッド上の男を刺し殺す。しかし
殺してしまったのが最愛の弟と分かり、ネーリは今度こそ本当に狂ってしまう。

知らない作曲家だが、1924年初演というから現代音楽かと思ったら、古典的で、緊張感に満ちた美しい音楽だった。

第1幕が始まると、そこは宴会場。この時点で、既に「袋詰め ⇒ 川に放り込まれ」事件は終わっている。この宴会はそもそも「和解
の宴」のはずだったが、そうはいかなかった。

ヒロイン、ジネーヴラはとんだ食わせ者で、恋人の弟であるガブリエッロにも色目を使う。

歌手はみなうまい。特にネーリ役の村田孝高は演技も達者。

第2幕。ネーリとジネーヴラは結婚したらしい。ネーリが狂ったという噂を流し、策略を巡らして留守宅に忍び込み、ジネーヴラと
まんまと床を共にするジャンネット。

当時の恋愛事情、結婚事情がよく分からないので、話の展開について行くのが大変だったが、音楽は素晴らしい。

ラスト、執念深く、執拗に復讐を果たしたジャンネットに、仲間が「逃げよう」と言うが、彼はその場を動かない。自分のしでかしたこと
が恐ろしくなったのか、己の罪の重さにおののいたのか。
憎い敵ネーリは、間違って最愛の弟を殺してしまったと知って本当に気が狂ってしまう。それを見てジャンネットはうめき声を挙げて泣く。
彼の心理描写の深さに打たれた。
コメント
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