ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

安倍公房作「友達」

2010-03-02 20:36:49 | 芝居
2月22日新国立劇場小劇場で、安倍公房作「友達」を観た(栗山民也演出)。

安倍公房の芝居を観るのは実は初めてだったが、恐れていた以上に、上演中始めから終わりまで不愉快で腹立たしい気分だった。去年イヨネスコが十分面白かったので不条理劇もいける!と思ったのだが、不条理劇にもいろいろあるようで、イヨネスコと安倍公房との間にはとてつもない大きな壁が(少なくとも私には)あることが分かった。

一人暮らしの若い男の部屋に、或る晩突然九人の男女が押し入ってくる。彼らは一つの家族で、「一人でいるのは寂しくていけない」「私たちはあなたに呼ばれて来た」などと主張し、部屋にいついてしまう。男が何を言っても取り合ってくれない・・・。
途中面白いと思った箇所がないわけではない。男の恋人の兄が九人の話にすっかり共鳴し、男に「なぜこの人たちの善意が信じられないんですか」と問うシーンとか、長女が次女に向かって叫ぶ「重大な話だから立ち聞きしたんじゃなくて、立ち聞きしたから重大な話だと分かったんでしょ!」というセリフとか。でもそれらは所詮 detail に過ぎない。枠組みはぞっとするような、吐き気を催すようなものなのだから。

これまで観た芝居のワーストは福田恒存作「解ってたまるか」。彼の訳した「ハムレット」を高校の頃愛読していたが、優れた翻訳者は必ずしも優れた劇作家ではなかった。その次(つまり下から二番目)は本谷有希子作「ファイナルファンタジックスーパーノーフラット」だったが、今回の安倍公房はその次あたりだろうか。
何を面白いと思うかは本当に人によって様々なのだとまたしても痛烈に思い知らされた。

コメント
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