ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

按針 (ANJIN )

2010-02-01 13:20:54 | 芝居
1月18日天王洲銀河劇場で、「按針 (ANJIN) 」を観た(脚本:マイク・ポウルトン、演出:グレゴリー・ドーラン)。

嵐で日本に漂着したウィリアム・アダムス(三浦按針)を主役に据えて、戦国時代から徳川時代にかけての日本における彼の運命、家康との交流、外国人商人や宣教師との葛藤・・・を描き出す、意欲的な歴史劇。その楽日を観た。

家康役の市村正親は安心して耳を傾けることのできる数少ない役者の一人だ。声がいい。
按針役のオーウェン・ティールは雰囲気はぴったりだが、演技がやや単調。祖国イギリスに残してきた妻スザンヌと現地妻お雪との間で苦悩する姿も共感を呼ばない(これは脚本のせいでもあるが)。
宣教師ドメニコ役の藤原竜也は英語もなかなかいい。この男、実は北條氏の末裔という設定で、後半腰に刀を差して侍姿になり言葉遣いも武士に戻ると、途端に生き生きしてくる。
淀君役の床嶋佳子が素晴しい。声も張りがあって美しく、誇り高い奥方を毅然と演じた。

全体に細切れのシーンが多過ぎて散漫な印象。脚本が凡庸。時にコミカルなシーンがあって救われるが、ストーリーもセリフもお定まりのものばかりで新鮮味に欠ける。人物像がいささかステレオタイプ(特に淀君、お雪など)。
ただ、家康が西洋の学問や文化を貪欲なほど吸収しようとした好奇心溢れる人物だったとか、知らなかったこともあり、今までのイメージが少し変わった。

題名は「家康と按針」の方がいいかも。主役であるはずの按針のいない、家康のシーンのほうに、むしろ見所が多いのだから。


コメント
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