現在の経済優先の日本社会では産業の大切さについて、GDP(国民総生産)の大きさという「モノサシ」だけで判断される。
このモノサシだけでみると平成26年度の農林水産省の統計によれば、
国民総生産が4,869,388億円に対して、
林業のGDPはわずか1,800億円で0.037%である。
この規模の市場を調べると「釣り具市場」が1800億円になっている。
この経済優先のモノサシの評価がすべての社会では、「林業や植林」については
遠い存在になる。
しかし、この評価は経済のモノサシではかれることしか含まれていない
「外部経済」といわれる経済的な価値が評価されていない部分が
含まれていないのである。
森林の機能には表面浸蝕を防止する機能、生命維持に不可欠な水質浄化や
水資源貯留機能、表層崩壊防止、洪水緩和、保健レクリエーション、
二酸化炭素吸収など定量評価ができる部分だけでも70兆円を超えるとされている。(林野庁)
これらは一般経済の外にあるので私たちは自分の財布が痛むわけではないので
余り意識しないで過ごし、森林を過小評価した社会で生きていられたのである。
地球温暖化対策としての森林のこと
2015年の「パリ協定」で地球温暖化対策とした主なポイントは以下のとおりになっている。
① 産業革命前からの気温上昇を2度未満にし、1.5度以内になるよう努力する。
② 21世紀後半に人為的な排出量と森林など吸収量を均衡させる。
③ すべての国に削減目標作成と5年ごとの見直しを義務付け、5年ごとに検証する
④ 被害を軽減するために世界全体の目標設定
⑤ 途上国への資金拠出を先進国に義務付け
このなかで注目したのが「森林」の位置づけである。
②の人為的な排出量と森林などの吸収量を均衡させるという点と
開発途上国への資金の拠出である。
遅ればせながら森林の大切さについて認識が深まったようである。
「植林」や森の保護の大切さはほとんどの日本人には理解できる。
これは日本の長い歴史のなかで育った人間としての
潜在的な意識によるところが大きいのである。
しかし、自らの生活の中で現在意識として「植林」の意義を深く考えて
身に着けている人が少ないので地球規模の植林行動につながりにくいのである。
しかし、人が一人一人呼吸をするだけで排出する二酸化炭素を吸収させるためには
杉の木の場合23本/年の植林が必要である点にもっと深い理解がほしいものである。
自然が、誰かが、鳥や動物たちが種子を運んで新しい植物生命を
育んでくれていることで森を中心とする自然が維持され、
私たち人間も生かされていることを認識する必要がある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/3c/606e3ebb1c4f33813a917483fe6ef9e5.jpg)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます