どこの宣伝か忘れてしまったが亀裂という本を図書館で検索し、予約を入れた。昨年の11月頃だろう。その時の順番は40番台半ばだった。約3か月たって読む。
築地で働いていた時の仕入れ先がJFLAの会社だった。
漬物のブランドは忠勇という奈良漬等の製造会社で今でもブランドが残り販売継続している。
兵庫灘地区の酒造会社が酒製造の廃棄物となる酒かすの利用から奈良漬が始まった。酒の産地として有名でない奈良がなぜ漬物の名前として残っているのは戦国時代の酒作りの技術革新があって、濁り酒から澄んだ酒に変わったのが奈良の寺院で造られた僧房酒だった。言い伝えによると中国から伝来した仏教書に酒と酒ではない酒との区別の作り方が書いてあったという。そこで奈良の坊主が仏教書を読み造ったという。まるで能狂言の毒「附子ぶす」のような展開です。仏教で葷酒山門に入るを禁ずというのに酒作りを研究することになった。ダメと言われると余計にやってみたくなるのが人の性という。
酒のブランドで正宗というのは清酒・セイシュというダジャレから来ているという。それゆえ今の桜正宗の会社が明治の商標登録で申請した時、正宗は普通名詞扱いされ、仕方なく日本の代表の花・華として桜正宗にして商標登録となった逸話がある。
戦後の漬物の興隆で酒のブランド忠勇は同族に売り渡し、漬物専業になったのですが次第に奈良漬の売れ行きが落ち、香川のマルキン醤油と統合し、さらに愛知の盛田と言う醸造業と統合され、JFLA という会社となった。その中心的会社の盛田が世界で有名なソニ-の有力な出資者で、その転落の過程を本にしたものだった。盛田昭夫が解任された時、社長交代の挨拶を伝えに来た社員は社内が明るくなったという。後から知れた社内情報から不安感があったと思われる。前から東証に上場していて、株式情報から配当もなく、株価も低く気になっていた。いまでは形としては上場会社の孫会社となっていて、株価も3000円を超えている様だ。
結局のところ低株価の上場会社は就職先の見つからない学生にとって親をだます就職先であまり求人難ということを知らなかった気がする。
亀裂 -創業家の悲劇- |
高橋 篤史著