幸せになるな

　娘や息子によくほざく言葉があります。
　「幸っせやろ」

　二人とも大学生で、親のすねをかじって何不自由なく勉学、遊びにいそしんでいます。傍目から見てもとっても幸せです。
　だから、ついつい「幸っせやろ」と尋ねるのです。

　ただ、「幸っせやろ」とほざきながら、実は、娘や息子に
　「幸せになるな」と思っています。

　幸せは「100％満足」な状態です。
　不満がないのです。なに不自由ない状態です。
　幸せは「より幸せ」という比較級ではなく、最上級です。
　それより上がないのです。
　向上しようとしても、一番上だから上がりようがありません。

　私は40歳を過ぎる頃まで、自分が幸せと思ったことは一度もありませんでした。それまではいつも何かに不満でした。半面、「幸せじゃない」から向上を目指し、もがいていました。
　40歳過ぎに、体が震える幸せを体験しました。それから自分がとっても幸せなことに気付き、今も幸せです。
　40歳過ぎで幸せになったことを、早過ぎたと感じています。40歳そこそこで上がりようがなくなったのですから。
　たいへん贅沢な話しです。

　だから娘や息子には「幸せやろ」と言いながら、「そんなに早く幸せになるな、まだまだ不幸でおれ」、そんな気持ちになってしまうのです。

　今日は「幸せな人間」のとっても傲慢な日記になってしまいました。
　屁理屈ですが、私は「幸せは人を傲慢にする」とも思っています。
　幸せは100％満足な状態なのですから、人の意見さえも聞く必要がないんですね。
　あしからず。

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