パレスチナのみなさん イスラエルのみなさん 能登のみなさん こんにちは
自室から食堂に戻り、ハンバーグを冷蔵庫から出しレンジで温めていると、玄関扉が開いた。
「ただいま」
「お帰りなさい」
「お帰り」
食堂のすぐ横のリビングでテレビを見ていた父と、まだ姿の見えない母に、ほぼ同時に返した。母が食堂に入ってきた。
「なんだ日南希、今から晩御飯。じゃあ、一緒に食べようよ」
「お母さんと一緒に食べるの久しぶりだね。いつもどっちかが遅かったりして」
「じゃ日南希、母さんの用意も頼むね」
父が食堂に来て言った。
「うん」
「日南希もいることだしワインでもあけようかな」
「へーっ、母さんは日南希がいるとご機嫌なんだから。じゃあ、俺もいただこう」
父がつけっぱなしにしたテレビに、空爆された街を逃げ惑うガザの子どもたちが映し出されている。それでも、明るく温かい僕の家からガザの子どもたちは消えていく。がれきの中の子どもたちが消えていく。乏しい食糧、テントで夜を明かす子どもたちが消えていく。医薬品もなく、傷だらけで病院の床に横たわる子どもたちが消えていく。毛布に包まれぴくりとも動かない子どもたちが消えていく。
明日は、教育実習の準備をしよう。
それでも希望を抱いて。
完
昨年夏、イスラエルから攻撃を受けるパレスチナ・ガザを思って書いた創作です。19回に分けてご紹介させてもらいました。長期にわたってお読みいただき本当にありがとうございます。
この連載は今日で終わりますが、停戦を破ったイスラエルのガザ攻撃が続いています。イスラエルは食料や衣料品、生活物資のガザへの搬入を極端に制限し、爆撃に加え飢餓や凍死で子どもたちを殺し続けています。イスラエルによるパレスチナ人へのジェノサイドが、今起きています。パレスチナに関心を持ってください。声を挙げましょう。「イスラエルはガザ攻撃を止めなさい」
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