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前立腺風雲録 第19回


 六甲アイランド甲南病院の泌尿器科外来で診察を受ける。小生は外来患者ではなく入院患者なので、あまり待たされず診察室に呼ばれる。
 まず、常時留置カテーテルを抜かれる。ホッとする。1週間尿道に管を突っこまれたままで過ごしてきたわけ。なれはしたが、さすがに尿道に異物がないのは楽である。これでカテーテルは不要になったかといえば、そうではない。これからは自己導尿をしなさいとのこと。
自分でカテーテルを尿道に挿入して尿を出すのである。痛そう。写真が、その自己導尿用のカテーテルである。プラスチックのチューブにカテーテル本体が入っている。本体の直径は4ミリほど。やわらかい樹脂製であるが、これを自分で尿道に入れるのかと思うと憂鬱である。
はじめのうちは看護師がやってくれるとのこと。やり方をマスターしたら自分でしなくてはならない。そんなことをいつまでやる必要があるのか。できれば早々にやらなくてもいいようになりたいものだ。入院中のことだけだと思っていた。
「自己導尿、どれぐらいやらなくてはなりませんか」こう聞くと、医者は衝撃的なことをいった。
「一生」
「え!?」
「これからずっと自己導尿をやってもらわなくてはいけません」
「私は普通におしっこができない身体になったのですか」
「はい。あなたの膀胱は尿が溜まりに溜まって、パンパンになっていました。風船が膨らみきった状態でした。あと少し遅ければ破裂してたところです。そこから尿を抜いたのです。パンパンの膀胱がからっぽになりました。膀胱は弛緩しています。尿を排出するは力はありません」
「治らないのですか」
「治る可能性もあります。でも難しいです」
「つまり普通におしっこができなくなったのですか」
「今のところは。自己導尿で普段どおりの生活をしている人もけっこういますよ」
 小生は管を尿道に突っこまないと排尿できなくなってしまった。
「世界の盗塁王福本豊」さんが、国民栄誉賞を打診された時「そんなんもろたら、立ちしょんべんもでけへんがな」といったとか。小生は、国民栄誉賞をもろてへんけど、立ちしょんべんができない身体になってしまった。


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トラキチ酒場せんべろ屋 第18回

「おもやん。ビールやビール」
「アテ、そやな。唐揚げ、串カツ盛り合わせ、どて煮込み、パリパりサラダ、塩焼きソバ。とりあえずそれで」
「きょうも阪神負けたな」
「そやな」
「だいぶん深刻やで」
「なにが深刻やねん。たかが7連敗しただけやんか」
「ま、連敗することもあるわいな」
「なんか阪神ファンのあいだでは金本の監督失格という声も出てるけどな」
「なにをアホなことゆうねん。金本は2年後3年後を見据えとると思うでワシは」
「そやな、目先の1勝今年の優勝にしか目がいかんアホが金本批判を展開しとるけど、ワシはもっと長い目でみとるで」
「なんや新しい外国人野手を入れるらしいけど、金本は反対やったらしいで」
「ワシも金本に賛成や。そないなようわからん外国人に1塁守らせるぐらいやったら原口や中谷、大山に1塁守らせたらええんねん」
「金本にまかせとったら今年の優勝は無理やで」
「ええやん。今年は優勝せんでも」
「そやな。3年後4年後に優勝したらええねん」
「そやな。ワシもそう思うわ」
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