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トラキチ酒場せんべろ屋 第8回

「こんばんは。お、みなさん、おそろいで」
「どないしたんや。きーこ、えらい、きげん、ええやんか」
「うん、ちょっとお馬さんが当たってな」
「へー、きーこ、競馬やんのんか」
「たまにな。ちゅうこって、今夜はワシのおごりや」
「ほんまかいな」
「ほんまや。おもやん、ビールや。ビール、じゃんじゃん持ってきて」
「アテはどうします」
「アテか。アテはトクさんにまかせるわ」
「え、ワシは頼んでもええんか」
「頼むわ。トクさん」
「そやな。串カツ盛り合わせ、ギョーザ、ドテ煮込み、ズリ、カツオのたたき、刺身盛り合わせ大盛、かんとだき盛り合わせ。ええと、それから川津エビまだあったかいのう大将」
「おまっせ」
「そっか、川津エビのかき揚げもや」
「へい」
「ほんじゃ。かんあぱあい」
「んん。最高やな」
「ビールおかわり」
「せーやん、もう飲んだんかいな」
「ノドかわいとったんや」
「きーこ、ワシこの前、梅田のビール博物館ちゅうとこ行ったんや」
「へえ、それで」
「あそこで飲んだベルギーのビールちゅうのんがうまかったな」
「ベルギーのビール。あるで」
「さすがやな大将。アテはムール貝やったわ。あれの汁にパン浸して食うとうまいねん」
「ムール貝もあるで。ワイン蒸しにしたる。パンはワシが午前中、芦屋のビゴまでバゲット買うてきた」
「それ、頼むわ」
「よっしゃ」
「おもやん。こっちもビールないで。おかわりや。めんどうやな樽で持ってきて」
「ところで阪神、きょう、どやった」
「負けたわ」
「へー、先発はだれやった」
「小野」
「ローレーションのド谷間やな」
「きょうの負けは想定ないや。広島も負けたからええやんか」
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四川風焼きソバ


 きょうは焼きソバ気分だ。焼きソバを食いたい。ソース焼きソバもいいが、ちょっとピリッとした焼きソバがいい。ピリから焼きソバ。四川だ。ようし、きょうは四川風でせめてみよう。
 まず、ソバを焼く。焼きソバなんだからソバを焼くんだ。充分に油ならしした中華鍋にソバを入れる。ソバを平に広げて鍋の底に密着させる。炒めるんではない。焼くのだ。ハシでガサガサかき混ぜずに、じっとしておく。焦げつくって。焦がしているのだ。ときどき、くるくると鍋を回す。ソバが鍋といっしょに動くようではダメ。そんな時は少し油を入れてやれ。様子を見る。ソバにうまいぐあいに焦げ目がついたら、えいやっと上下をひっくり返す。なんの上下かって。ソバの上下だ。ここであんたがトンボを切ってひっくり返っても意味はない。
 ソバにはいったん鍋からどいてもらう。ひき肉を入れて炒める。こんどは炒めるのだ。紹興酒、醬油、甜麵醬、豆板醤を投入。肉に充分、調味料がまわると、いったん火を止める。スープ、オイスターソースを入れて、ソバを戻す。中火にかけ鍋をあおりながらソバに汁気を吸わせる。ここで、唐辛子の粉を入れよう。「胡椒がないから唐辛子の粉をくすべた」というのは落語の「くっしゃみ講釈」だが、ここは、胡椒ではなくぜひ唐辛子を使うべし。
 汁気がなくなればお皿に盛って、青ネギをパラパラしたらできあがり。爽快な辛さがうっとうしい気分をとばしてくれる。巨人ファンにおすすめ。
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