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とつぜん対談 第91回 幽霊との対談

 たしか、このあたりのはずです。このカーブを曲がったところ、ガードレールが1ヶ所だけ新しくなっている所があるでしょう。そこは交通事故があったところです。ガードレールを突き破って自動車が転落。ドライバーが死亡。そのドライバーが化けて出るそうです。

ひゅー。どろどろどろ。もやが、ぽっ、青火が、ぱっ。

幽霊
 うらめしや~。

雫石
 うわっ。出た。なんまいだぶ、なんまいだぶ。

幽霊
 ワシを呼んだのはあんたか。

雫石
 あ、そやった。ほんまに幽霊が出たんで、つい。

幽霊
 で、なんの用や。

雫石
 べつだん、これという用はありませんが、わたし、いろんな方と対談するのが仕事なもんで。

幽霊
 うらめしや。

雫石
 なにがそんなにうらめしいのですか。わたしはあなたにうらまれるようなことはしてませんが。

幽霊
 気にすんな。これはワシらのあいさつや。こんにちは、とか、こんばんわ、とかゆうのんと同じや。

雫石
 あなた幽霊でしょ。

幽霊
 そや。ようわかったな。

雫石
 まるでダイマル・ラケットの漫才のような出囃子。額の三角巾、ずだ袋、白い着物、足もとがぼやけてて見えない。これぞ幽霊というか、絵に描いたような幽霊ですね。

幽霊
 わしらは人間に怖がってもろてなんぼや。だから、いかにも幽霊というようなかっこで出るんや。子猫やパンダ、バンビみたいなかっこで出てもこわないやろ。

雫石
 そうですね。そしたらどんなかっこにもなれるんですか。

幽霊
 そや。ほんまは生前のかっこで出るんがいちばん楽やねんけど。

雫石
 そしたら、それでお願いします。

幽霊
 手たたいて合図してくれ。

雫石
 それじゃ、いくで、たーちゃん。ひいふうみっつ。

幽霊
 なんや狸賽かいな。ワシは狸とちゃうで。くるりんぱっ。

雫石
 うわ、なんや普通のおっさんや。足もあるし。

幽霊
 どや、いっこも怖くないやろ。幽霊でも足はあるで。円山応挙が足のない幽霊描いたさかい、足のない幽霊がはやったんや。

雫石
 あなたはここで死んだんですか。

幽霊
 そや。

雫石
 やっぱり死んだ場所で化けてでるんですな。それやったらちょっと判らんことがあるんですが。

幽霊
 なんや。

雫石
 わたしは神戸の人間です。21年前、阪神大震災にあいました。わたしの住いおる神戸市東灘区は震度7の激震でした。わたしの家のまわりでいっぱい人が死にました。でも、わたしの地区で幽霊がでたという話は聞いたことがありません。

幽霊
 天災だからやろ。うらみを残さず亡くなったからやろ。

雫石
 東日本大震災の被災地では幽霊が出るとかいううわさですが。

幽霊
 阪神の教訓を生かしきれなかったからじゃないんかな。

雫石
 あなたは、こうして化けて出てるから、なんかうらみを残してるんですね。

幽霊
 べつにうらみはないな。

雫石
 だったらなんで化けて出たんですか。

幽霊
 いや、なに、お盆やからな。

雫石 
 お盆やったら自分の家にもどるんやないですか。

幽霊
 そやねん。あそこに数奇屋づくりの家があるやろ。あそこがワシの家やねん。

雫石
 うわっ。大きな家ですね。

幽霊
 家は大きいけど、子供らの欲はもっと大きい。ワシの遺産をめぐってケンカしとるんや。

雫石
 それはたいへんですね。

幽霊
 まったく。頭痛いわ。

雫石
 あんた金持ちやから化けて出たんでしょ。

幽霊
 そやねん。

雫石 
 金持っとると、おちおち死ねまへんな。

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ガタガタの中日に楽勝

広島には弱いけど、さすがにいまの中日には強いな。シーズン途中で監督がいのなってやる気なさげな中日打線をメッセンジャーがええようにあしらった。それでも最後の方はちょっとイライラしたりして2点取られらけど、きょうは極めて短時間の試合で楽勝やな。
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