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迷子の警察音楽隊


監督 エラン・コリリン
出演 サッカリン・ガーベイ、ロニ・エルカベッツ、サーレフ・バグリ

 エジプトからイスラエルに、演奏旅行にやって来たアリキサンドリア警察音楽隊の一行。空港に降りたが、出迎えが来ていない。しかたがないから、自分たちでバスに乗って出発する。ところが、イスラエルの地名がよく判らない一行は、目的地とは全く違う、砂漠の真ん中のへんぴな町に着く。
 途方にくれた一行は、そこにあるレストランの女将に助けを求める。女将がいうには、今日のバスはもうない。今夜はここで泊まんなさいよ。
 一行は、女将の家と、店と、もう1軒の家で泊めてもらう。翌日、バスが来て、一行は無事、目的地に到着。演奏する。
 これだけの映画である。なんてことのない話。退屈な映画か。いえいえ、そんなことはない。なかなか面白い映画であった。
 全編、独特の「間」があり、妙にとぼけている。3人の隊員が泊めてもらって、その家での夕食のシーンがある。お互い、ぎこちない。なにを話していいかわからず、気まずいような、間が持たないというか、観ていて実に微笑ましい。
 隊長と若い隊員一人は、女将の家に泊めてもらうが、ざっくばらんで、さばけた中年女の女将と、謹厳実直な隊長の対比が面白い。現地の童貞の青年がいるが、その青年と若い隊員がローラースケート場に遊びに行く。そこで、青年が想いを寄せていると思われる娘と、青年、隊員の3人が横並び座ってモジモジやっている画面などは、非常に面白い画面だった。
 エジプト人とイスラエル人の微笑ましくも、ぎこちない一夜が明けると、じつにあっさりと別れて、なにごともなかったように演奏する一行。これが昔の日本映画だと、別れの愁嘆場を繰り広げるところだが、このあっさりぐあいが実にいい。
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