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とつぜんコラム№70 かんばん方式に異議あり

 先の中越沖地震のさいに柏崎市内の自動車用エンジン部品の工場が被災して、各自動車メーカーが生産停止に追い込まれた。
 自動車メーカーに限らず、今は「かんばん方式」と呼ばれる生産方式を採用している製造業が多い。
 かんばん方式とはトヨタ自動車が始めた生産方式で、生産に必要な部品の在庫を必要な分しか持たない方式。ジャスト・イン・タイムといって必要なものを必要な時期に必要な数だけあればいいという理屈。明日必要なものは今日あればいい。明日必要なものを昨日やそれ以前に用意することはない。
 この方式が導入されるまでは、製造現場では部品の在庫がゼロになるのを恐れて必要数より多い目に在庫を持っていた。また、長納期品対策として必要とされる時期よりもかなり手前に納期設定して発注がなされていた。
 このやり方だと、確かに組み立てラインに部品を途切れなく供給できるがなにかと不合理な点もあった。
 まず、在庫数を多くするために保管スペースが多くいる。工場のかなりのスペースを資材倉庫に取られる。
 先入れ先出しが困難。先に入荷したものは先に出す。後に入荷したものは後に出す。これは在庫管理の基本。在庫が多くなると先入れ先出しが困難になる。特に食品関係の工場の場合これは絶対に守らなければならない。以前問題になった不二家の場合、入荷した原料の箱の上に積み上げまた積み上げ、一番下の原料が使われないまま放置されていた。そんなものは廃棄すべきなのに使ってしまった。先入れ先出しをやっていればこうはならなかった。
 長いスパンの時間で部品を在庫するので生産中止になることがある。特注品ならいいが、既製品の部品を使っている場合はメーカーが新製品を発売すれば先のモノは旧バージョンとなる。自社ブランド製品のメーカーならいいが、受注生産の企業の場合は客先はどうしても最新の部品を自社製品に使いたがる。受注側の製造メーカーの倉庫の部品はデッドストックとなる。特に電子機器関係はこういうことが多い。IC、LSIなどの半導体は新陳代謝が早い。日本橋、秋葉原などの電子パーツ屋(しばらく行ってないけど今もあるのかな)に、困ったメーカーがデッドストックのICなんかを流したりすると聞いたことがある。
 それに経理上の問題がある。部品の代金は納品された月の請求となり、その月にお金は出て行く。ところが部品が完成品となりお金になるのはずっと先。この間は金利がかかり会社にとって損となる。その上、いずれお金になる物だから資産と見なされ固定資産税が課税される。
 以上のように部品や原料の在庫を持つとろくなことがない。と、いうわけで「かんばん方式」なるものがあみだされた。ところがこのかんばん方式も弊害が大きい。
 このたびの地震のように予測されない異常事態が発生して部品工場が破壊されれば、何ヶ所もの製造ラインがストップする。阪神大震災の時も同様の事態が発生した。
 また、製造現場が必要最低限の在庫数しか持たないから、発注側受注側どちらかがミスすれば、在庫はたちまちゼロになり生産は止まる。
 小生は長らく電機関係の企業で資材購買業務を担当してきた。ある日、納期が一週間後の製品に使う機構部品が必要数にないことが判明した。今日中に用意しなければ納期に間に合わない。で、発注している下請けの金属加工工場に乗り込んで、工場長の後ろに背後霊となってとりつき、大あわててで作ってもらった。この工場の工程を大幅に乱して大迷惑をかけた。
 いくら大企業といえども人間がやっていること、表ざたにはならないが同様の事態があちこちで発生しているのに違いない。「かんばん方式」は下請けいじめなのだ。
 ひと月分の在庫だと、納品は月に1度だけ。ということはトラックでの輸送は月に1度。かんばん方式だともっと頻繁に納品しなくてはならない。トラックも頻繁に走るわけ。かんばん方式は交通渋滞、地球温暖化、環境破壊の原因となっている。環境を考えた車とかで、ハイブリットカーなどといっているが、車そのものはそうかも知れないが、環境に良くない生産方式で車作りをしているのだ。
 こうして見ると、従来の方式だと発注元、大企業にデメリットがあり、かんばん方式だと、受注側、中小企業、環境にデメリットがある。かんばん方式だとか偉そうなことをいっているが、結局、力の強い大企業が、自分たちにとって都合にいい生産方式を採用しているだけである。こんなことをやって過去最高の利益だとさ。その影では何万という中小企業が泣いていることか。
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9月2日(日) ロコモコ


 ロコモコ。ハワイの郷土料理。ひらたくいえばハンバーグ丼をワンプレートにしたもの。ハワイの日系人が考案した料理とされている。
 ハンバーグはファミレスなんかでは一番の売れ筋。ハンバーグはパンより白いご飯によくあう。
 ハンバーグを切ってご飯に乗せる。切り口から出た肉汁とグレービーソースがしみた白いご飯をハンバーグとともに食べると大変うまい。米食い人間なら考えつきそうなこと。日系人が多いハワイで考案されたのは自然なことだろう。
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