自分の過去を振り返った時、ずいぶんと無理をしていた自分がいたことに気づかされる。
確かにそういう時期が必要だったのかもしれない。
そういう時期があったからこそ、今の自分がある。
ずいぶんと、弱くなったと思う。
恐らく、己の限界が見えてきたからだろうか。
己の限界を認めるのが怖かった。
例えるなら、ウサギと亀。
自分はウサギであり続けたいと思っていたのかもしれない。
だが、気づくと自分はウサギではなく亀だったんだと気づく。
それを知ったときの自分の気持ちは尋常じゃない。
うろたえ、もがき、苦しむ。
そして、居直る。
亀でいいじゃないかと。
ずいぶんと気が楽になる。
たくさんのウサギに追い越される。
時には亀にだって追い越される。
でも、腹も立たないし、「どうぞ」と道さえ譲れる自分がいる。
きっと、かけがえのないものを見つけたからだろう。
職場の向かえ側にある小学校の子どもたちの下校が始まりだすと、ざわつきだす。
気分転換に、外へ出て、子どもたちを見送る。
「さようなら」と通るたびにいってくれる。
笑みがこぼれる。
まさに、至福の時である。
「この子どもたちのためにがんばろう」と思える。
そんな時、「亀でいいじゃない」と思える自分がいるのである。