小さな栗の木の下で

保護犬のミニチュア・ダックスを引き取り、
小型犬との暮らしは初めて!という生活の中で、感じたことを徒然に…。

まど・みちお先生、逝く

2014-03-01 | つぶやき
 2月28日、まど・みちお先生が亡くなった。享年104。

 私は、日本ホリスティック医学協会の2013年度版特別号に「いのちのつながり」と題した散文を寄せたのだが、そこにまど先生のことをこんなふうに書いた。

 「さて、『ぞうさん』『やぎさん ゆうびん』『一ねんせいになったら』『ふしぎなポケット』は、誰もが知っている有名な童謡です。作者はまど・みちおさん。昨年11月にまどさんは満103三歳を迎えました。
 2009年には100歳を記念して、新たに二冊の詩集を出版するなど、相変わらずみずみずしい感性でユーモアに富んだ作品を世に送り出しています。

 
 まどさんは生きとし生けるものを題材に、こころを壮大な宇宙に向けて開いてきた詩人です。自然の法則の偉大さに畏敬の念をこめて、数多くの作品に書いてきました。

 まどさんは、著書『いわずにおれない』の中で、「この世の中のありとあらゆるものは、すべてが自分としての形や性質をもっていて、それぞれに尊い。そこにあるだけ、いるだけで祝福されるべきものであり、みんながみんな心ゆくままに存在していいはずなんですよ」と述べています。

 
 地球上に存在する、いいえ、宇宙に存在するすべてのものの多様性を享受し、行間に思いを込めてきたまどさんの詩は、〈いのち〉の讃歌にほかなりません。」

 少年詩も書いてきた私にとって、まど先生は憧れであり、偉大な存在だった。

 いつか同人誌にまど先生のことを書いたエッセイを寄せたら、それを読んでくださったまど先生がご自身の詩画集『とおいところ』を贈ってくださった。とても感激したのだけれど、もっと驚いたのは、まど先生の抽象画の素晴らしさだった。こんな絵を描かれる方だったとは。



 この詩画集と同じタイトルのまど先生の詩が、私は大好きだ。


 とおい ところ

 ゆうがたの
 ひさしの そらを みあげると
 くものすに
 カと ならんで
 ほしが かかっている

 ああ
 ほしが
 カと まぎれるほどの
 こんなに とおい ところで
 わたしたちは いきている

 カや
 クモや
 その ほかの
 かぞえきれないほどの
 いきものたちと いっしょに


 まさに「いのちの讃歌」ですね。

 カビも大腸菌も植物も動物も人間もすべて、遺伝子の構造と原理は共通しているのに、その組み合わせによって2つと同じものが存在しない。1組の両親から生まれる子どもには70兆通りの組み合わせがあるという。つまり私たち一人ひとりは70兆分の1という確率で選ばれたということだ。

 生きものが生まれる確率は「1億円の宝くじに100万回連続して当たる」くらい奇跡に近いことなのだ、と遺伝子研究の権威・村上和雄先生は『生命の暗号』の中に書いている。私たちは「奇跡中の奇跡」としてこの世に存在しているのですね。

 まど先生の詩を読むと、いつもこの「奇跡」が思い出され、厳かな気持ちになるのだ。まど先生は「とおいところ」に還ってしまったけれど、詩集をめくれば、いつでもふっと立ち現われてくださる。感謝をこめて合掌。

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